「階段から落ちました。」セレブが投稿した謎のFBメッセージが解決の糸口となるDV撲滅啓発施策

Case: Curiosity saves

5分に一度、女性がDV (Domestic Violence: 家庭内暴力)の被害を受けているというブラジルで、暴力撲滅等に取り組む非営利組織のDisque-Denunciaが、“セレブとFacebookの編集済ボタン”を利用した啓発施策を実施し大きな成果を挙げることに成功しました。

夫やパートナーから暴力を受けている女性の被害件数は膨大であるといわれていますが、恐怖から実際に助けを求める人は少なく、ブラジルでも被害者女性たちの救済方法の考案が課題となっています。

顔や体に傷を負っていても、概して“転んだ”、“ぶつけた”等と言うだけで本当の理由を明かすことがない被害者から真実を聞きだし、救いの手を差し伸べるべくDisque-Denunciaが着目したのが、セレブとFacebookの編集済ボタンです。

ブラジルで人気を誇る30名の女性有名人に協力を仰ぎ、彼女たちのFacebookページで、「テーブルの角にぶつけちゃった」、「階段から落ちたの」、「ドアノブにぶつけただけ」等、DVの被害者がよく使う傷跡の理由を投稿してもらいました。

彼女たちの投稿を見たファンは、ん?どうしたんだろう?と『興味・関心』を抱きます。この『興味・関心』こそがDisque-Denunciaの狙いです。

それぞれの投稿には“編集済”ボタンが表示されており、この投稿が何かしらかの編集が施されたものであることがわかります。この“編集済”ボタンをクリックすると、編集履歴を閲覧することができます。

謎の投稿に“興味”を抱いたファンは、より詳細な情報を求めて“編集済”ボタンをクリックします。

そして、そこに現れたのが、下記のメッセージ。

何かおかしいなと思ったら、今まさにあなたがとった行動をとって下さい。
詳細情報を求めて下さい。多くの場合、“ドアノブ”は“暴力的な夫”のことですが、被害者はそれを言う勇気がないのです。
暴力に気付いたらお電話を!

Disque-Denunciaによる暴力撲滅運動であることがわかるという仕掛けでした。

この取り組みは、瞬く間にメディアの関心を集め、ブラジル中で大きな話題となりました。

協力した30名のセレブには、Facebook上のファンが合計で8300万人います。本施策のエンゲージメントは18万件、2000万人以上にリーチすることに成功しました。

またこのFacebook施策は400万ドル相当の広告効果があったといい、何より、本施策実施後わずか1か月で、過去6か月を超える被害報告があり、暴力被害の発見につながりました。

ちょっとした『興味・関心』がDVの解決の糸口になることをFacebookの一機能を通して訴求し、DVへの問題意識を高め、被害者救出へつなぐことに成功した取り組みでした。

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