都内書店が「かってに芥川賞・直木賞」を授与? 全国の同姓読書家が選書

日本文学界に大きな影響力をもつ文学賞といえば、新進作家の作品を対象とする芥川賞(芥川龍之介賞)・新進・中堅作家の作品を対象とする直木賞(直木三十五賞)です。2025年上半期に発表された作品を対象とする第173回の選考が、2025年7月16日(水)に行われましたが、いずれも該当作はありませんでした。ともに該当作がなかったのは、1998年1月の第118回以来、6度目だといいます。

この結果を受けて、2025年7月29日(火)から、東京都内の書店が読書愛好者と協力した「かってに芥川賞・直木賞」企画が行われています。参加書店は双子のライオン堂(港区赤坂)、芳林堂書店高田馬場店、久美堂本店(町田市)、黒田書店(日野市)、銀座堂書店(中央区八丁堀)です。

両賞の受賞作は、書店にとって「ドル箱」作品にあたります。そのため、今回の「該当作なし」という結果から販売機会の損失が懸念されています。出版不況が続くなか、書店経営への影響を避けたいとの思いから、この取り組みが生まれました。

全国の「芥川」「直木」姓の人々から推薦図書と選評を募集し、選ばれた書籍を「かってに芥川賞」「かってに直木賞」として表彰するというこの取り組み。選出された書籍は店頭などの特設コーナーで紹介され、“本家”に代わって、販売促進に活用されます。

8月に入ってからも協力書店の募集を続けているといい、希望する店舗には販促用POP、ブック帯、ポスターなどの販促物を提供。全国各地から年齢や職業もさまざまな芥川さんと直木さんからの応募が集まっており、親子での参加も見受けられたといいます。

同様の取り組みは他の書店にも広がりを見せており、未来屋書店の「当店が勝手に選んだ芥川賞」や三省堂書店の読者推薦企画なども話題を呼び、各書店の創意工夫が注目を集めています。主催者は、この企画をきっかけに書店の垣根を超えた協業の輪が広がり、出版不況を共に乗り切る契機になることを期待しているとしています。

出版社が先導しての取り組みではなく、書店やブックラバーたちが立ち上がったこの企画。芥川姓・直木姓の人が勝手に「とっておきの1冊」を紹介するという遊び心が光るユニークなPR/販売促進の事例が生まれました。

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