ライフネット生命保険がオウンドメディアを立ち上げた理由とは
Case: ライフネット生命保険「ライフネットジャーナルオンライン」
話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく連載「BEHIND THE BUZZ」。
今回はライフネット生命保険が8月28日にオープンした、さまざまな角度から人生と仕事とお金について考えるウェブメディア「ライフネットジャーナル オンライン」を取り上げます。立ち上げの狙いを、ライフネット生命保険株式会社 マーケティング部長 岩田 慎一さんに伺いました。
「読んで得した」「ためになった」読後感のある情報を
—まずは「ライフネットジャーナル オンライン」立ち上げのきっかけを教えて頂けますか。
「ライフネットジャーナル」は2011年に主にメディアの方に向けた広報誌として誕生しました。保険の豆知識から社内の様子まで、さまざまな情報をお届けすることで、メディアの方からお問い合わせや取材を頂いたりということがありました。また、一部ご契約者の方にもお送りしたところ、「ライフネット生命の会社の雰囲気が伝わる」と評判も良くて。一方「もっと手軽に見られないか」という声もありました。WEB上で元々pdfでも出してはいましたが、pdfで閲覧するのは特にスマホで見るのが不便だったりしますから、いずれオンライン化したいねという話もしていました。
もう一つは、当社の出口(代表取締役会長兼CEO)や岩瀬(代表取締役社長兼COO)がいろいろなメディアで取り上げていただく中で、そういった話題を自社サイトにもっと活かしていきたいなと。また、当社では、社員がリレー形式で執筆する「社員ブログ」を開業前から継続しており、これらの自社の情報を集約して、お客さまが回遊出来る仕組みができないかなという点がありました。
大きくこの2つがきっかけとなって、今年の8月に「ライフネットジャーナル オンライン」が立ち上がりました。
—立ち上げに向けて動き出したタイミングはいつ頃ですか。
構想自体は昨年からずっと話をしていましたが、活発化したのは今年の初め頃ですね。私を中心に社内にもう一人、また外部のライターさんやカメラマンさんにご協力を頂きながら運営しています。
—コンテンツの方針は。
コンセプトは「人生・仕事・お金」です。当社のお客様の中心は30代です。保険を検討するのは、ご結婚、ご出産、家の購入など、生活状況が大きく変わるタイミングの時が多いです。今は保険検討していないけれど、いずれ検討するタイミングが訪れる主に30代の方を中心に想定し「読んで得した」「ためになった」という読後感のある情報を提供していきたいです。
前身の「ライフネットジャーナル」
—これまで(「ライフネットジャーナル」時代)と変えた点はありますか。
これまではどちらかというと社内の話が中心でしたので、社外の方のインタビューを掲載するのはこれまでと大きく違う点ですね。これからも様々な方のインタビューは充実させていきたいです。また、動画コンテンツを入れたという点もWEBならではです。ユーザーさんの反応も見ながら拡大していきたいと思っています。
【筋トレ動画】毎日3分! 体幹を鍛えてアンチエイジング 内で公開されている動画
—参考にされたサイトなどはありますか。
ありとあらゆる雑誌やWEBは今までも見ていましたが、こういうことを「始めよう」となると視点が変わりますね。どういうものに「はてなブックマーク」がつくかとか、Twitterで拾われるかとか、Facebookのいいね!がつきやすいとか。WEBでは例えば「サイボウズ式」や「LIG」さんのブログはよく見ました。また、当社もこれまで「デイリーポータル Z」さんや、「ライブドア」さんでコンテンツタイアップを実施してきたので、これら過去の記事がそれぞれどう評価されてきたのかと見直したりもしました。
—それらを見直して何か気づいた点はありますか。
やはりよく言われている、タイトルと写真の重要性ですね。見てもらう為のきっかけ作りとしてとても大事であると感じました。特にスマホで見て頂く為に、写真とタイトルはとても重要だなと。一方で、文章自体をきちんと読んで頂きたいという思いもありますので、ストレスなく読んで頂けるための最適なレイアウト作りについては引き続き考えています。
今後の構想とオウンドメディアを持つことの意義
—反響はいかがですか。
佐々木紀彦さんのインタビュー記事がNewsPicksで取り上げられて反響も大きく出ました。「ライフネットらしい」と評価頂いたり、これまでの読者さんからも「ネット上で見ることが出来て便利ですよね」という声も頂きました。また、これは今回に限ったことではありませんが、ソーシャル上でどう評価されているかという点は常にチェックしています。
なぜ「ハトが選ぶ保険」企画が実現できたのか?DPZ林・安藤が出口に迫る 取材中の風景
(写真提供:ライフネット生命保険)
—御社の本サイト流入、契約数増などの成果は。
本業へのインパクトは、まだまだこれからです。まずこのサイトの目的は、保険ニーズが顕在化した時に当社のことを一番初めに思い出して頂くきっかけ作りだと思っています。なので、まずはライフネットジャーナル オンラインを定期的に見て頂くという習慣をこの半年から一年程度で作っていくことが大事ですね。
—いわゆるオウンドメディアを持つことの意義については、どうお考えですか。
当社の本サイトは保険を検討・申し込みする場なので、そこでまったく違ったコンテンツを提供するのは限界があります。本サイト上では出来ない幅広いコンテンツを切り出して展開することは、当社のようにSNS経由でのお客さんとのコミュニケーションも重要視している会社としては必要なことだと思います。また、これまで深い階層にあって届きづらかった社員ブログなどのコンテンツが皆さんの目に留まりやすくなったのかな、とも思っています。
—今後の方向性についてお聞かせ下さい。
どういうコンテンツがどれくらいご評価されるか、という点を見始めているところなのでまだまだ方向性は絞っていませんが、個人の想いとしては世の中にあまり出ていない「仕事・人生・お金についての情報」を積極的に取り上げていけるような場になればと思っています。今回立ち上げにあたり様々なサイトを見る中で「ネット上にはこれだけインタビューコンテンツがあるんだ」と思いましたが、一方で「深堀りしているインタビューコンテンツはまだまだ少ないな」とも思いました。深堀りしたコンテンツは一年後か二年後か分からないですけれど、ふとした機会に日の目があたって拡散されることもあると思います。その点は面白いなと思っているので、いずれ評価されるように真摯に取材する方々に向き合ってコンテンツを作っていきたいですね。
【Interviewee】
ライフネット生命保険株式会社
マーケティング部長
岩田 慎一さん
0