マネーフォワードが迎えた本格的なPR活動 ー検索流入が前月比10倍になる日も
Case: 家計簿・資産管理ツール「マネーフォワード」のPR活動
自信を持って薦められる製品・サービスができたのに、なかなか世間に知ってもらえない。広告を展開しようにも予算には限りがあり、広報もやってみたいがやり方が分からない――。
こんな悩みを持っているスタートアップは多いのではないでしょうか。
金融イノベーションカンファレンス「FIBC2014」で大賞を受賞、スタートアップの審査会イベント「Launch Pad」では4位入賞するなど、注目を集めている個人向け家計簿・資産管理ツール「マネーフォワード」を運営する株式会社マネーフォワードも同じような悩みを抱えていました。同社は2013年11月、「マネーフォワード」に続くツールとして、クラウド型経営サポートツール「マネーフォワード For BUSINESS」をリリース。
新サービスを世に送り出したからには、より多くの人に認知・利用してもらいたい――。
そんな思いはあるものの、当時の同社は設立からまだ1年強のスタートアップ。広報経験者が不在の中、手探りで広報業務に取り組んでみることになりました。
そんな状況で本格的に始めてみた広報業務でしたが、開始から約4ヶ月でメディアに記事掲載してもらえる頻度が“週1以上”に増え、「マネーフォワード For BUSINESS」の会員登録にもつながるという結果に。
どのような取り組みが広報活動の成功につながったのか、同社マーケティング本部長の田平公伸氏、社長室 広報の菅原民江氏にお話を伺いました。
会社として初めて本格的な広報活動。不安は大きかった
――以前の広報活動のご状況について教えてください。
(菅原氏) 「マネーフォワード」の新機能追加・アップデートのたびにプレスリリースを出したり、会社の経営面に関するリリースを発表したりするくらいでした。
組織的には動けておらず、広報担当者も不在でした。プレスリリースも会社のホームページに記載するくらいで、あとは社長が個人の人脈を活用して、知人のメディア関係者に相談するくらいでしたね。
さすがに「マネーフォワード For BUSINESS」のリリースに向けて「広報も強化しよう」という話になり、私が広報を担当することになったんです。ただ、入社したばかりで広報経験もなかったので、不安は大きかったです。
プレスリリース配信サービスだけでなく、Web PR全体の企画・サポートを依頼
――そんな中で迎えた初めての本格的な広報活動、PR TIMESと一緒に取り組まれたそうですが、どんなきっかけがあったのですか。
(菅原氏) 2013年11月に開催されたTechCrunch Tokyo 2013のスタートアップバトルに参加して、PR TIMES賞を受賞したのがきっかけです。副賞がプレスリリース配信サービス「PR TIMES」のサービスを3カ月間無料で利用できるというものだったので、ちょうど11月末に「マネーフォワード For BUSINESS」をリリースするし、まずは使ってみようと。
それがきっかけでやり取りさせていただくようになり、プレスリリース配信サービスだけでなく、Web PRの企画プランニングもお手伝いいただけるということで、そこまで含めてサポートをお願いすることになりました。
具体的には、広報戦略全体の立案、PR TIMESを使ってのプレスリリース配信、人的なコネクションを生かしての記者や有力なブロガーの方々へのアプローチ、他にも自主調査の企画・設問作成・調査代行・集計・分析などの業務をお願いしました。
メディア露出が週1以上に。会員登録率UPにも効果
――2013年11月末から2014年3月末までに22件のプレスリリースを配信しました。マーケティングの責任者として、田平様は広報活動の成果・影響について、どのように感じられましたか。
(田平氏) まずメディアに取り上げられる機会が増えましたね。広報に力を入れるようになってから、多くのプレスリリースを出したこともあり、週1回以上は取り上げられるようになりました。
露出が増えただけでなく、成果にもつながっています。「マネーフォワード For BUSINESS」の会員登録者についてサイト来訪した経路別に分析してみると、メディア掲載記事経由で来訪したユーザーの登録率が非常に高かったのです。さらに掲載記事がソーシャルメディアで話題になって拡散されたことで、登録者数が一層増えました。
「記事掲載の効果は掲載直後の短期的なもの」と思われる人が多いかもしれませんが、長期的な効果も出ています。マネーフォワードが認知され、サービス名で検索したときに掲載記事が検索エンジンで上位表示されているので、掲載から1カ月経っても掲載記事経由の流入が一定量は続きました。
短期・長期で登録者の獲得につながっているわけです。メディア記事経由の来訪者が増え、なおかつ登録率の向上にもつながっているのではないでしょうか。
検索流入増にも効果あり。知名度アップで最有力サービスとして紹介の媒体も増えた
またメディアに掲載されたことで、検索からの流入にもプラスの効果があったようです。検索エンジン経由の流入数は、広報活動が活性化したころから増え始めるようになりました。2月後半以降は毎週のように前週を上回る流入数になり、3月に入ると前月に比べて10倍になった日もあります。
また、ブランド面でも見逃せない成果がありました。よく競合サービスを比較して表にまとめ、「どのサービスがオススメ」と分析する記事や個人ブログがありますよね。その比較表の最初に「マネーフォワード For BUSINESS」の名前が書かれることが多くなったんです。最初に名前が出ていれば、読者の中には「このサービスが一番有名なんだろう」と思っていただける方も出てきます。
競合サービスよりも後発のサービスにも関わらず、最初に名前が挙がるようになったのは、広報活動に力を入れて、多くのメディアに掲載いただき、サービス自体の知名度が上がったおかげでしょう。
PR TIMESは”広報経験豊富な先輩”。広報業務について多くを学べた
――広報業務の担当者として、PR TIMESのサポートを受けたことで、広報業務にどのようなプラスがありましたか。
(菅原氏) PR TIMESとお仕事をご一緒することで、実に多くのことを学べました。ある意味、PR TIMESは広報経験豊富な先輩社員のような存在。新人の私としては、PR TIMESの仕事の進め方を見ながら、広報の仕事を覚えていきました。
例えば、プレスリリースの作成にしても「どんな情報をリリースするべきか」という企画のところから、記者の方に分かりやすく伝える書き方のテクニック、記事にしてもらえやすい配信のタイミングなど、広報経験がないと分からないノウハウを教わりました。
広報活動に対する考え方も大きく変わりましたね。広報業務について以前は「新製品リリースなどがあるときだけ動く”受け身”の業務」だと考えていました。
けれどPR TIMESから、「自主調査リリースを配信することでメディアにアプローチする機会を増やせる」「新聞記者や専門誌の編集者に直接電話で連絡を取れるようになると掲載確率が上がる。そのためには事前に人間関係を構築しておく必要がある」など、自分たちから働き掛けるようにすれば、いくらでも能動的に仕掛けていける業務だと認識を改めました。
また計画的に広報活動を組み立てていこうという考え方も、PR TIMESから学んだことです。1年を通してどのようなイベントがあるかを把握した上で、それぞれのイベント前には何をしておかなければならないのかと業務を組み立てていきます。
例えば「2014年4月からは新生活スタートに加えて消費増税があるから、こんな広報活動をしたら効果的だろう」と計画的に準備していけるようになりました。
『自主調査の企画・設問作成等を任せることで、プロフェッショナルのノウハウを吸収』
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