日本に進出した世界最大級の口コミサイト「Yelp」 エリア密着型イベント実施の狙いとは

Case: Yelp

話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく連載「BEHIND THE BUZZ」。

今回は、2014年4月に東京に進出した(日本初進出)アメリカ発の世界最大級の口コミレビューサイト「Yelp」を取り上げます。Yelpでは東京はもちろん、世界各都市で「コミュニティマネージャー」という役職を置き、継続的にユーザー同士が交流出来るイベントを実施しています。そのイベント実施の狙いや、今後の展開予定についてYelp Tokyo コミュニティマネージャー 中澤理香さんにお話を伺いました。

Interview & Text : 市來 孝人
同じ趣味や好みをもつユーザーさんが実際に会って、コミュニケーションできる場をつくる

—まずコミュニティマネージャーとは、どんな役職ですか。

Yelpは、世界29カ国で展開できるようになったのもユーザーのコミュニティがあってこそというサービスです。コミュニティマネージャーを必ず各都市に1人置き、直接ユーザーさんと草の根的にコミュニケーションをしてユーザー数を増やしていったり、ユーザーさん同士が有機的につながってYelpのファンのコミュニティを広げていくことを促進しています。業務としてはオンライン、オフラインそれぞれでやることが半々くらいです。

オンラインでは数百人のユーザーさんとフレンドになっているのですが、コミュニケーションしたり、新しいユーザーさんがいたら「東京のコミュニティマネージャーのRika です」と挨拶をしたりしています。メルマガの執筆も行っていますね。あとの半分くらいがユーザーさんやお店の方、他の企業の方などと直接会うオフラインの施策で、イベントはいままで大規模なもので60人のイベント実施、小さければ3-4人で飲みにいったりもします。ユーザーさんから「今××で飲んでるからRikaさんもよかったら」と声をかけて頂くこともありますね。

—サービスを提供しているどの都市でも、イベントを積極的に実施しているのでしょうか。

そうですね。またコミュニティマネージャーという制度もYelpがスタートした初期からあったものです。

—イベント実施の狙いを聞かせてください。

同じ趣味や好みをもつユーザーさんが実際に会ってコミュニケーションできる場をつくることです。例えばコーヒーやカフェが好きな人、クラフトビールが好きな人なんかが実際にあって情報交換をして盛り上がったりしますね。それから、サイトやアプリの使い方を説明することもあります。またユーザーさんが連れてきてくれた友人の方が、イベント来場後(Yelpを)始めてくれるというきっかけにもなっています。

もう一つ重要なことは、ローカルの素敵なお店を影響力のあるユーザーさんに紹介するということです。イベントは全て無料で、お店にスポンサーして頂いています。例えばイベントの場所が「普通に通りかかったら気づかないけれど、面白い場所」だったりすると、ユーザーさんが「こんなところにこんな場所があるなんて知らなかった」「また来たい」と面白がってくれて、イベント後に再訪して口コミを書いてくれたりするので、そのお店のプロモーションにも繋がっていくという面ですね。

—イベントの内容はどんなものですか。

定型的に決めていることはなくて、基本的にはそのビジネス施設の一番いいところを紹介したいという考えです。実施が決まればお店の方と相談して都度決めます。例えば「森の図書室」であれば「みんなに本に気軽に親しんでほしい」というお店のコンセプトにあわせて本を紹介し合うアクティビティをやったり、麻布十番にあるおせんべい屋さんでは、お酒のつまみとして売り出したい「揚げパスタ」という商品があったので、シャンパンを用意してスタンディングパーティーを実施したり。阿波踊りのお店では一緒に踊りを体験したりと、何かしらの体験を盛り込むことが多いですね。

—イベントの実施の頻度は。

元々はYelpエリートという、ヘビーユーザーの称号のようなものがあります。これがついていると「その都市に詳しい人」と世界中のユーザーから見られて、「今度東京に行くんだけど、おいしい焼肉屋知ってる?」というメッセージが海外から来たりします。その「エリート」への特典として、月に一回イベントに招待するというのがそもそもの位置づけなんですね。
今のところはこの限定イベントとして一ヶ月一度やりつつ、もっと新しい人を呼ぶべく草の根的に頻繁にコミュニケーションを取る機会を取っているところですね。

札幌、仙台、名古屋、京都、神戸、福岡でもコミュニティマネージャーを募集し、イベントを実施していきたい

—社内では、他の都市のイベント情報も共有したりするのですか。

世界中のイベントがアップされているYelp Community Blogというものがあり、これを見ると世界のどの都市で何をやったかがわかります。その国の言語と、英語でも書いてあるのでどの国のものもおおよそ理解出来るようになっています。これを見ながら「このイベントのアイデア面白いな」とか、実施した都市のマネージャーに「どういう風にやったの?」と聞いたりしています。

—今後のイベントの実施予定をお聞かせ下さい。

イベントは引き続き今のペースで実施していきますが、飲食店以外でのイベントも増やしていきたいです。海外ではヨガをやっている都市もありますし、日本・東京なら1月は書き初めともちつきをやっても面白いかもしれません。やはりなにかしら参加型といいますか、非日常な体験が出来る方が満足度も高く参加者同士が話すきっかけにもなりますし、ワークショップ形式でのイベントはどんどんやっていきたいですね。

—国内の他の地域も徐々に展開が広がるのでしょうか。

大阪のコミュニティマネージャーがまもなく入社になるので、12月から同様にイベントが開催されていく見込みです。また札幌、仙台、名古屋、京都、神戸、福岡はお店の情報自体はある程度整備されていて、コミュニティマネージャーは現在募集中という段階です。マネージャーが決まればその都市に根ざしたイベントをどんどん打っていくことになります。

また日本での展開で面白いと思っているのが、2020年の東京五輪を控えこれから多く来日するであろう海外の方とシームレスにつながっているということですね。レビューを書くことで海外の方から読んでもらえたり、実際に「東京の写真いいね」と言ってくれたりする海外のユーザーさんもいますし。

—コミュニティマネージャーの採用にあたっての方向性はどのようなものですか。

特にYelpを使っている方は「地元らしい店」を期待している人が多く、そういった「Yelpっぽい場所」を「Yelpyだね」と言ったりするんです。実際、アメリカから上司が来日する時も顔をつき合わせてカタカタ作業するというよりは、「今度3日間行くから、なんか考えておいて」と言われて「一日は吉祥寺行って、一日は三軒茶屋行って…」と、本当に「街歩き」のようなことを一緒にするんです。
Yelpのミッションも「To connect people with great local business」というもので、「Yelpyな場所」を探すのが好きな人が得てしてコミュニティマネージャーになっていますね。現在は札幌・仙台・名古屋・京都・神戸・福岡のコミュニティマネージャーを募集中(詳細はこちら)です!

【Interviewee】

Yelp Tokyo
コミュニティマネージャー
中澤理香さん

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