【BEHIND THE BUZZ】「3.11、検索は応援になる」の裏側 Part1

Case: 「Search for 3.11」プロジェクト

話題になった(=「バズった」)日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく新連載「BEHIND THE BUZZ」。

初回は、2014年3月11日にYahoo!検索で「3.11」というキーワードで検索したひとりにつき10円が、Yahoo!検索から公益財団法人東日本大震災復興支援財団の「一般寄附金」へ寄付されるという東日本大震災の復興支援に貢献することを目的としたプロジェクト。

当プロジェクトを担当したヤフー株式会社 メディアサービスカンパニー 検索メディアユニット マーケティンググループ 統括 西田修一さんに語っていただきます。

Part1では3月11日、当日までを時系列に振り返ります。

昨年の10月には社内で提案

—まずは、このプロジェクトが立ち上がったきっかけをお話頂けますか。

元々「検索」を使って世の中をどう働きかけていくか、どうよくしていくかという活動をしたいという思いがありました。その思いを元に昨年社内で立ち上がったのが「Search for Good」というコンセプトです。このコンセプトの元、検索で世の中を良くしていく様々なチャレンジをしていこうと。そこで真っ先に思いついたのが東日本大震災「Search for 3.11」でした。

この「Search for 3.11」という草案自体は、「Search for Good」のコンセプトが立ち上がった昨年10月中には社内で提案していて、この段階ですでに「検索を使っての寄付」という企画のコアとなる部分も明確にありました。

しかし、実際に「3.11」と検索をどう紐づけるかは社内でも議論に時間がかかりました。まずは目的を絞ろうと明確になったのは、「風化防止」と「復興支援」という2つ。これらの目的を、検索を使ってどう達成していくかというところから考えていきました。

—それらの目的を分かりやすく伝える為に、様々なコンテンツを作っていったのですね。

震災に起こった日から今に至るまでの東日本大震災関連のキーワードを可視化するビジュアライザーを制作したり、伊勢谷友介さんや佐々木俊尚さんなど復興に対し積極的に活動しかつソーシャル上での発信力のある著名人の方々に、これまでも支援に積極的にコミットしているからこその説得力のあるコメントを頂きました。

今回公式にコメントを頂いた方以外の著名人の方も、SNS上の拡散などで応援してくれました。これらの取り組みで風化を防止し、ユーザーに自分ごととして意識してもらえるようにしました。

[3.11 検索ビッグデータビジュアライザー]

—さらに「復興支援」にあたるのが「検索」ですが、実現までの過程で最も深く議論された点はどんな点でしょうか。

検索対象とするキーワードを「3.11」にするかどうか、応援メッセージの方がいいのではないかなどと議論がありました。「3.11」で検索すると、あの日を風化させずに記録として残る数々のページが検索結果に表示される。

検索をするからにはその結果にも意味を持たせたかったので、「3.11」が最適だと考えました。また、結果シングルバイトの半角数字・記号のみ。つまり日本語入力が出来ない環境でも検索が出来るワードになったことで、海外からの検索の可能性も出てきました。

予想外の海外からの反応

—海外からの反応もあったのですか。

3月11日当日に英語版のページも用意したのですが、これは元々私のワシントンD.C.(アメリカ合衆国)に住む知り合いからFacebookで「英語版はないの?あれば、ここにいる友達にもシェアしたい」という連絡をもらったことがきっかけでした。

英語版のページを用意したことで、より海外でも検索しやすくなる。この辺りはフレキシブルに動けましたね。実際にどの国からの検索があったかはこれからデータを見ていこうというところです。

さらには各国のYahoo!でも紹介されて、海外のYahoo!の社員から「Amazing」という評価も伝わってきました。こうした各国での事例共有は普段は(文化の違いなどで)理解されづらい点もありますが、今回は反応がありました。「検索」という既にあるシステムを使ってこれだけ大きな取組みが出来た点も評判が良かったです。

—当初、検索者数50万人(寄付金額500万円)を目標とされていましたが、結果は250万人(2,500万円)以上の数が集まりました。これほどの反響は予想されていましたか。

ティザーサイトをリリースした当日(3月4日)はFacebookでのシェア数が約1万、翌日には2万ときて、実施先日の10日には17万シェアまできました。このシェアの伸びは見ていたものの、実際に3月11日に検索者数がここまで集まったのは予想以上でしたね。

 

【Interviewee】
ヤフー株式会社
メディアサービスカンパニー 検索メディアユニット マーケティンググループ 統括
西田修一さん

3/27(木)Part2 公開予定

目標以上の額が集まり、急きょ寄付の増額を決定した過程
「検索」を使った取り組み これからの構想 etc…

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