「3.11、検索は応援になる」の裏側 Part2 〜 施策を通して見えた「Yahoo! JAPANらしさ」

Case: 「Search for 3.11」プロジェクト

話題になった(=「バズった」)日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく新連載「BEHIND THE BUZZ」。

初回は、2014年3月11日にYahoo!検索で「3.11」というキーワードで検索したひとりにつき10円が、Yahoo!検索から公益財団法人東日本大震災復興支援財団の「一般寄附金」へ寄付されるという東日本大震災の復興支援に貢献することを目的としたプロジェクト。

当プロジェクトを担当したのは、ヤフー株式会社 メディアサービスカンパニー 検索メディアユニット マーケティンググループ 統括 西田修一さん。Part2では、目標以上の額が集まり急きょ寄付の増額を決定した過程、さらには「検索」を使った取り組みの構想についてうかがいました。

「実施までの過程」などPart1はこちら

12日午前には寄付の増額を決定

—検索者数50万人(寄付金額500万円)という目標でしたが、250万人(2,500万円)以上の数が集まったという結果を受け、目標を超えた額も全て寄付すると急きょのリリースがありましたね。この点を決断されたのはいつですか。

ソーシャル上で話題になっている様子は、やはり経営陣も見ていました。なので「ひょっとしたら超えるのでは」「超えたら上限額を検討しないとね」という話は社内で出ていました。しかし、目標として設定した50万は(これまでの検索実績を踏まえると)相当大きい数字で、シェアしてくれた方がどれだけ検索という行動に移るかは読めませんでした。なので、ひとまずは「結果を見て相談させて下さい」と話をしていました。

—そんな中、3月11日に集まった検索数は250万以上。

翌12日の午前中にはすぐに社内で承諾を得ました。すぐに話が通るように私の上長も社長(宮坂学CEO)の会議終わりの出待ちをしてすぐに話をしてくれました。

—社内での反響も大きかったですか。

今回の取り組みは社員が自発的にシェアしてくれたり、周りに広めてくれたりして、結果的には全社を挙げての応援になりました。

—西田さんご自身は、やはり3月11日は一日張り付いて検索数の動向をチェックされていたのですか。

実はその前日に発熱で39度位まで上がってしまい、当日の朝少しお休みしてから出社したんです。予想以上に声が広がる中、当日どれだけの数が集まるのか?と考えているうちに具合が悪くなってしまって。それほどずっと考えていました。

募金の仕組み

—こうして集まった検索数「1人」あたり「10円」の仕組みを教えて下さい。

シンプルに「3.11」のユニークブラウザ数を集計して、その数に10を掛ける形です。検索した一人の人が複数のデバイスで検索している可能性も有るため、厳密には「人」ではありません。ただ、より多くの人に分かりやすく伝わるように「人」という表現をしています。集まった検索数・金額の多さはもちろんですが、検索という形でみんなの応援が積み上がって大きな力になったことが伝わると良いなと思います。

—募金対象となる3月11日の翌日以降も、反応はありますか。

募金の対象自体を当日に限定したことにより「自分もやりたい」と思ってもらうインパクトはあったと考えています。その後、キャンペーンページのFacebookでのシェア数が当日で80万台だったのが、2週間近く経っても100万近くまで増え続けています。また、これをきっかけにYahoo!検索を使おうという声もありました。実際に利用するユーザーがこの日を境に増えているのは確かです。

—募金先「東日本大震災復興支援財団」の選定について教えて下さい。

これまでも弊社の「ソーシャルアクションラボ」での活動などもいっしょに行っていたという実績がありました。複数の寄付先を選定することも考えましたが、寄付額がどれだけになるかが分からない中、まずは確実に一ヶ所に寄付を届けることが必要と考えこの一ヶ所への寄付としました。ちょうど今、寄付に必要な様々な書類を準備しています。

「Yahoo! JAPANらしさ」を活かして

—今後も、このような検索を使った取り組みは行われる予定はありますか。

東日本大震災の復興支援に向けての取り組みはこれからも続けていきたいです。また、このスキームを使って「Search for good」という大きなコンセプトの元で、様々な形で社会の役に立つ活動をする可能性があります。例えばビックデータから(天候や災害などについて)何らかの傾向の抽出をして、それを元にしたアラートを出したり、全国を回ってその傾向を伝えていくということも出来るかもしれません。今回の取り組みをきっかけに、これから社内でも様々なアイデアを膨らませていくところです。

Yahoo! JAPANらしさとは「心に響く」ということです。元々社内にも編集スタッフがいることが表すように「人を介在させて、人に伝えていく」ことがある種のらしさだと考えました。人の心に伝わる、かつ社会に貢献出来る取り組みを今後も行っていきたいと考えています。

 

【Interviewee】
ヤフー株式会社
メディアサービスカンパニー 検索メディアユニット マーケティンググループ 統括
西田修一さん

ランキング

最近見た記事

最新記事

すべて見る