妖怪美術館が選出 情報の正体がぼやける時代に“今年の妖怪”が教えてくれるもの
妖怪美術館(香川県・小豆島土庄本町)は、その年の世相を象徴する“妖怪”を選定する企画「今年の妖怪」を実施しています。2025年に選ばれたのは、AI時代の不透明さを象徴する「AI妖怪 ミームー」。応募総数2,519件から選出されたといい、2025年12月21日(日)に、小豆島・西光寺で発表されました。

西光寺・山門前で行われた「今年の妖怪」発表の様子
この「今年の妖怪」を選び発表するという取り組みは、2022年から始まりました。SNSなどを通じて募集した“不可解・不条理なエピソード”をもとに、その年ならではの妖怪が選ばれます。
妖怪美術館は、昔から日本人が説明のつかない出来事を“妖怪のしわざ”として受け止めてきた文化に着目。現代における不思議や違和感を“妖怪化”することで、社会に生じるモヤモヤに柔らかな距離感を作ることを企図しました。
2025年の「AI妖怪 ミームー」は、まさに“現代の不気味さ”を象徴しています。作者が見えないまま拡散するAI生成コンテンツや、意図が不明な動画やミームが急増する状況は、現実の出来事と虚構の境界を曖昧にし、情報を受け取る側の不安を高めています。
とくに、2025年に話題になったTikTokなどで流行しているネットミーム「イタリアン・ブレインロット」に代表される、意味のないAIキャラクターの連鎖的な拡散は、妖怪美術館が“現代の妖怪”と捉える現象そのものです。
ミームーは、ヘソにある“目”で情報を吸収し、舌で味わい、AI画像や動画を生成して分身化しながら人々の生活に“ぬるり”と入り込む存在だとされています。明確な意図が見えないまま影響だけが広がるという特徴は、まさに今日の情報環境に重なるようです。

2025年「今年の妖怪・AI妖怪ミームー」(画:柳生忠平)
年末を迎えると多くの企業や団体が「今年の○○」を発表します。これは、駆け抜けた1年を象徴的に振り返る季節施策として定着したものです。

妖怪美術館の公式キャラクター「みちしるべぇ」
世の違和感を“妖怪”というフィルターでとらえ直し、社会に寄り添いながら問題を照らそうという、妖怪美術館の試み。2025年は、情報の不確かさが増す現代において、私たちが何を信じ、どう向き合うべきかを改めて問いかける存在が選ばれました。
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