官民連携で、鉄道が通らない町の魅力をポジティブに発信 秩父郡小鹿野町のシティーPR

埼玉県秩父郡小鹿野町が、2025年10月31日(金)から、官民一体で新たなシティープロモーションを始動しました。鉄道の“終点”を越えた先にある静かな谷あいの町が、住民主体の情報発信によって、地域の魅力を都心部へ届けます。

埼玉県秩父郡小鹿野町は、東京都心部からおよそ2時間程度。しかし、同村には鉄道駅はありません。アクセスルートは、西武秩父駅(西武鉄道)を下車して、バスに乗り継いでおよそ35分。もしくは、上越新幹線・JR高崎線の熊谷駅から秩父鉄道を利用すると、秩父駅を経由してバスを利用、およそ30分で到着するといいます。

このプロジェクトの中心となるのは、町民編集部が運営するWebサイト「終点の先、秩父の秘境へ。おがのまち」。地元に暮らす人びとが取材・執筆を担い、自然や文化、日常の物語を発信していきます。観光地としての紹介にとどまらず、暮らしの手触りを伝えるコンテンツが揃いました。

また、SNS上のオンラインコミュニティーとして「おがの町民カイギ+(プラス)」を同時に公開しました。これは、町内外の人がDiscordを活用してリアルタイムで地域の話題を気軽に情報をシェアする場だといいます。町民が発信主体となる“編集型まちづくり”を、まずはオンラインで実践します。

この取り組みが動き出したことを記念して、西武鉄道池袋線の1編成をジャックした特別車両を11月4日(火)から9日(日)までの期間に運行中です。両神山や尾ノ内氷柱、小鹿野歌舞伎など、町の風土や文化を感じさせるビジュアルが、車内を彩ります。

さらに、 11月8日(土)・9日(日)の2日間には池袋駅構内で、源作印ワインやミード酒などの地域特産品を紹介するサンプリングイベントも開催され、都心で“おがのまち”に触れる機会を創出します。

町民編集部・編集長をつとめる新井陽子さんは、「このまちの魅力を、町民の視点で丁寧に伝えていきたい」と語ります。移住者として16年目を迎えるという新井さん自身が、地域のストーリーテラーとなり、町民とともに新たな価値を紡いでいきます。

観光集客や住民誘致、関係人口を創出するうえで、都心からおよそ2時間という近距離にありながら、鉄道駅がないことは事実上のウィークポイントです。

また、自虐的なアイデアを採用したシティーPR発信は、人の関心を招きやすく、取り入れる地域が少なからず見受けられます。しかし、小鹿野町では「鉄道開発がされなかったことで自然と文化が保全された」とポジティブに受け止めていることが光ります。

そして、その不便さこそが、同地の魅力でもあるという事実から“秩父の秘境”と銘打って、官民一体となって情報を発信するこの事例。町内外の人びとのコミュニケーションから、新たな展開の礎となるアイデアが創出されることが楽しみです。

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