駅名標が語る企業のルーツ。JR西日本とアース製薬の地域連携広告

JR西日本とアース製薬株式会社は兵庫県赤穂市の播州赤穂駅と坂越駅にて、駅名標を活用した広告掲出を実施。播州赤穂駅には「忠臣蔵のふるさと アース製薬 発祥の地」、坂越駅には「北前船寄港地 アース製薬 坂越工場前」と掲示され、地域の歴史と企業のルーツが一つの駅名標の中に織り込まれています。

地域と企業の歩みを伝える、駅名標の活用

今回の施策は、交通インフラである駅名標を「情報を届ける場」として活用するもの。播州赤穂駅の「発祥の地」、坂越駅の「工場前」といった表記からは、アース製薬が赤穂市にルーツを持ち、現在も坂越に主要工場を構えていることが読み取れます。通勤や観光で駅を訪れる人々にとって、普段目にしている駅名標にこうした情報が加わることで、企業と地域のつながりを自然と意識させられる構成です。

また、「忠臣蔵のふるさと」「北前船寄港地」といった地域の歴史的背景も添えられており、企業広告でありながらも観光的・文化的な要素が盛り込まれている点が特徴的です。こうした取り組みは、地域の魅力を再認識するきっかけにもなるでしょう。

神田駅の先行事例から、地元赤穂への展開へ

アース製薬は2023年10月、東京・JR神田駅にて駅名標の副名称表示や発車メロディの変更を含む広告施策を実施。ホームの駅名標には「アース製薬本社前」と表示され、発車メロディには同社のCMソング「モンダミンのうた」が採用されました。

さらに、駅の各改札口には「モンダミン口」「アースジェット口」など自社製品名が副名称として掲出され、企業の本社所在地である神田地区とのつながりを印象づける構成も。本取り組みは、2025年に創業100周年を迎える同社の記念施策の一環でもあり、企業と地域の関係性を可視化する事例として注目されました。

広告でありながら“地域の顔”としてなじむ表現

駅名標は、地域の玄関口としての役割を果たす存在。そのスペースに企業名を添えることは押しつけがましくなるリスクもありますが、本施策では「ふるさと」「工場前」といった言葉を添えることで、地域の文脈に自然と溶け込む形に仕上げられています。観光客や地域住民が目にした際にも、違和感なくその意味を受け取れる構成となっており、企業の自己主張よりも地域との関係性を丁寧に伝える表現が印象的です。

企業にとっては、こうした取り組みを通じて地域との結びつきを明確にし、企業姿勢を示す機会になるはず。また地域側としても観光や話題性の喚起につながり、まちの魅力を多角的に発信する一助となりそうです。

日常の中にある「物語」を広告に

今回の駅名標を活用した広告展開は、企業と地域の歩みを自然に伝える取り組み。情報量は控えめながら、そこには地域の歴史、企業の誕生と現在、そしてそのつながりへの敬意が込められています。

こうした広告手法は企業ブランディングや地域との関係づくりを進めていくうえで、今後の参考になる事例のひとつ。日常に溶け込む駅名標にこそ、伝えたい物語を乗せる価値がある……そのことを示しているような施策でした。

その他の広告事例についてはこちら
https://predge.jp/search/post?genre=24
会員登録、メルマガの受信設定はこちら
https://predge.jp/

ランキング

最近見た記事

最新記事

すべて見る