【速報】カンヌライオンズ2024「Entertainment」部門グランプリ受賞作品まとめ
2024年6月にフランス・カンヌで開催中の「Cannes Lions 2024」。卓越したエンタメ性を持った作品に贈られる「Entertainment」部門において、純粋なコンテンツとしての作品性を評価する「Entertainment Lions」、ゲームの新たな可能性を見いだした「Entertainment Lions for Gaming」音楽業界における優れたコラボ事例や独創性を評価する「Entertainment Lions for Music」、さまざまなスポーツとブランドをつなぐ架け橋となった事例を評価する「Entertainment Lions for Sport」、4つの賞におけるグランプリをご紹介します。
Entertainment Lions
We Are Ayenda(WhatsApp)
企業の広告コミュニケーションやブランデッドコンテンツを優れたエンタメ作品として仕上げた事例に送られるEntertainment Lionsで見事グランプリを受賞したのは、SNSプラットフォームWhatsAppがサッカー女子アフガニスタン代表チームの命を賭けた逃走劇をドキュメンタリー映像として仕上げた事例“We Are Ayenda”でした。
2021年に過激派組織タリバンがアフガニスタン全土をテロ行為で脅かした際、標的となった一般市民の中でも特に女性はひどい迫害を受けることになってしまいました。当時開催前だったFIFA女子ワールドカップに向けて日々練習に励んでいたアフガニスタン代表チームもその例外ではなく、彼女たちが国外への逃亡を図る際に使用したのがWhatsAppだったのです。
スマートフォンに備え付けのショートメッセージだとタリバンにやりとりがバレてしまうことをおそれた彼女たちが、プライバシー保護の観点から暗号化されたメッセージでやりとりができるWhatsAppをいかに活用して自らの命を守ったのかを描いた長編ドキュメンタリー作品は、多くの人に観られました。タリバンの残酷な行いから逃れようとする人々のリアルを描きつつ、プラットフォーマーであるWhatsAppがいかに貢献したのかを描き切った点が評価され、受賞にいたりました。
Entertainment Lions for Gaming
The Everyday Tactician(X Box)
ゲームの魅力を最大限引き出した事例を賞賛するEntertainment Lions for Gamingにおいて、さまざまなゲーム機でプレイすることが可能な人気サッカーシミュレーションゲームFootball Manager 2024の事例がグランプリに輝きました。リアルなサッカークラブのデータを分析しながら最強のサッカーチームを作り上げることが醍醐味のこのゲームが着目したのは、サッカーが盛んな地域における深刻なレベル格差でした。
強豪チームは莫大な予算と豊富な知見を持ち合わせたスタッフを揃えている中、中堅以下のチームの多くはお金や人などあらゆるリソースが枯渇しているため、ランクを上げることができないという課題があります。その内の人的リソースを解決するためにFootball Manager 2024はBromley FCという中堅クラブとタイアップし、あえてプロではなくゲーム内で豊富な経験を積み重ねてきた一般人ゲーマーを戦術家としてチームのスタッフに招き入れたいという求人募集を行ったのです。
多くの応募が集まる中、最終的には1人の男性が採用され、彼のサポートの下Bromley FCは着実にその順位を上げることに成功。15億を超えるインプレッションを叩き出したことや、Football Manager 2024のプレイヤー総数を190%も上昇させたことが評価され、見事グランプリを獲得しました。
Entertainment Lions for Music
Errata at 88(Johnnie Walker)
音楽コミュニティの発展に貢献し、優れた音楽の使い方を実現した事例を評価するEntertainment Lions for Musicでグランプリに輝いたのは、世界的なスコッチ・ウイスキーのブランドとして知られるJohnnie Walkerの施策でした。
今となっては日本でも絶大な知名度を誇る南米生まれの音楽ジャンル・ボサノバ。その産みの親であるAlaíde Costaという名前の女性は、当時の女性への差別的な風潮のせいもあり長らくフィーチャーされることはなく、ボサノバ音楽の発展に貢献してきた立役者であるにも関わらずその知名度はないに等しいレベルでした。そんな中、ニューヨーク市内で開かれようとしていたボサノバの大規模なコンサートにも呼ばれていなかったCosta氏を1人でも多く知ってもらおうと試みたJohnnie Walkerは、2つの施策を行いました。
まず1つは、Costa氏の半生とボサノバ音楽の発展にいかに貢献したかを伝えるために見開きの新聞広告を掲載したこと。そして、ニューヨークで開かれるコンサートの公式スポンサーとして出資をすることで招待ゲストとしてではなく正式な出演者としてCosta氏をステージに上げる、ということ。本来浴びるべきスポットライトを盛大に照らし当てることで、Costa氏に関するYouTube上での検索数は318%、Spotifyでのリスナー数は800%も伸長し、Johnnie Walkerのブランド好意度も業界ナンバーワンの座に返り咲くことができました。特定の音楽カルチャーに深く根差した文脈を理解し、それをスポンサーという形で解決した姿勢が評価され多くの応募の中から見事グランプリを手にすることができたようです。
Entertainment Lions for Sport
WoMen’s Football(Orange)
スポーツ界の発展に貢献した広告を称賛するEntertainment Lions for Sportでは、フランスの通信会社Orangeが行った女子サッカーの啓発動画がグランプリを獲得しました。
2023年に開催されたFIFA女子ワールドカップのタイミングに合わせて公開された動画では、サッカー男子フランス代表の選手たちが華麗なパス回しやフィジカルを発揮して美しいゴールを決めるシーンが紹介されていた……と思いきや、実はすべて女子フランス代表選手の動きに上からVFXを重ねた合成映像だったのです。
男子サッカーに比べて著しく低い知名度と人気に悩む女子サッカーの魅力を最大限描きつつ、もはや比較対象ではなくどちらも面白いスポーツであるという見せ方をすることで、誰も傷つけることなく女子スポーツの人気を向上させることに成功しました。5,000万ものいいねを獲得した動画はフランス広告界史上最もバズった動画として、最終的には女子スポーツの変遷を教えるための教育ツールとしても活用されるに至りました。
その多大な影響と未来への展望を差し示すことに成功した事例として、見事グランプリの座を手にした啓発動画でした。
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