ホラー×アパレル、消費社会における感性の豊かさを取り戻すニューブランドの挑戦
日々の想像からホラーな世界を創造するクリエイティブプロジェクト「UNREASONED」は、アパレルブランド「UNREASONED Clothes」を、2023年11月7日より本格始動しました。
同アパレルブランドでは、ホラー・スリラーな世界観を原作から創造し、グラフィックデザインとして洋服に落とし込んだアパレル商品を展開していきます。全19点の商品をECサイトにて販売開始するほか、店頭販売としてデザフェス(DESIGN FESTA)vol.58の11月12日(日)に出展もしました。
「UNREASONED Clothes」では、イラストレーションを主軸にした「Bare Series」とグラフィック・コラージュを主軸にした「Delusion Series」の2つのシリーズを展開予定となっています。
「Bare Series」は、人間の生身のパーツを描いたイラストレーションを洋服に落とし込んだシリーズです。心理状態や感情の起伏に応じて繊細に変化する人間の身体を題材にし、人間の心理や感情の動きを表現していきます。
「Delusion Series」は、頭に浮かんでしまう恐怖や不穏な情景をグラフィック・コラージュで表現し、洋服に落とし込んだシリーズです。未知のものへの探究心や好奇心、不穏な空気に包まれたような不安を引き起こすデザインを揃え、「UNREASONED」な世界観を体現していきます。
今回のブランド展開の背景には、「コンテンツ消費が早い時代だからこそ、じっくりと堪能する時間を楽しんでほしい」という思いがありました。近年、クリエイティブ市場の課題として、コンテンツ消費の高速化が挙げられます。時代の変化とともに、映画や動画、本、音楽などのクリエイティブコンテンツは、生活の隙間時間を埋めるように消費されるようになりました。また、世の中に提供されるコンテンツには、ショート動画や倍速機能などの形態が増えています。
そんな状況に疑問を呈するように、「UNREASONED Clothes」では、1つ1つのデザインの世界観を深く作り込みをしています。そして、コンテンツに対してじっくりと向き合うことで初めて完成される「楽しみ」を堪能できるよう、クリエイティブを設計しています。
今回、ブランドのコンセプトとして設定された「ホラー」には考察理由があります。まずは、昨今市場を伸ばしているホラー映画(※1)に着目。ホラー映画が普及している要因として、若者を中心とした余暇時間の使い方の変化により、有料動画配信サービスの利用者は年々増加し(※2)、そもそもの映像作品を視聴する母数が増えたことが考えられます。また、研究結果によって、恐怖体験の効果として、ストレスの解消となるという示唆があります(※3)。
これらのことから、ホラーに触れる機会が増えたこと、ストレス過多な現代においてホラーに触れることでストレス解消した経験が増えたことで、手軽に受けられる心理的刺激を求める人が増えているのではないかという仮説を考え、「UNREASONED Clothes」のコンセプトが設定されています。
そのため、1つ1つのデザインに、日常の中で出会う体験や、ほんの些細な出来事から想像してしまう「恐怖や不安」など、誰しもが経験する「感情」をもとにした物語を、短編映画のように確立しているのが特徴です。今後、各デザインに設定された物語や背景を記した文章コンテンツ「UNREASONED Books」や、デザインの世界観を耳で感じることができる楽曲コンテンツ「UNREASONED Records」の配信を予定しており、デザイン自体をより長く深く堪能してもらえるようなブランドを目指すとしています。
まず、アパレルブランドという枠を超えて、挑戦的な活動をしようというコンセプトがユニークな事例です。新しい施策や取り組みは万人に受け入れてもらいやすいように、どうしても時代の流れやトレンドばかりを追いかけてしまいがち。しかし、そこに疑問を持って明確にノーと突きつけながらも、受け入れられやすいコンセプト作りはマーケティング分析の視点で徹底されています。
果たして、このニューブランドの仮説はどう成長していくのか、気になるブランディング事例がありました。また、アパレル以外に展開される予定のコンテンツにも非常に期待が持てます。
・※1:the numbers 「Box Office History for Horror」より https://www.the-numbers.com/market/genre/Horror
・※2:ICT総研「2023年有料動画配信サービス利用動向に関する調査」より https://ictr.co.jp/report/20230421.html/
・※3:Kerr, M., Siegle, G. J., & Orsini, J. (2019)「Voluntary arousing negative experiences (VANE): Why we like to be scared. 」より https://psycnet.apa.org/record/2018-51113-001
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https://predge.jp/search/post?genre=27
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