【速報】カンヌライオンズ2023「Engagement」部門グランプリ受賞作品まとめ

2023年6月にフランス・カンヌで開催された「Cannes Lions 2023」。時代の言の葉に乗ることでユーザーを巻き込み、大きな話題を獲得することができた作品を賞賛する「Engagement」部門において、多くの企業の興味関心を引くことができた作品を評価する「Creative B2B Lions」、データを最大限活用した作品を評価する「Creative Data Lions」、斬新なターゲットの絞り方がなされた作品を評価する「Direct Lions」、シームレスにクリエイティブとメディアを融合させた作品を評価する「Media Lions」、戦略的なコミュニケーション手段が取られた作品を評価する「PR Lions」、SNSとインフルエンサーの力を最大化させた作品を評価する「Social & Influencer Lions」の6つの賞におけるグランプリをご紹介します。

Creative B2B Lions

「EART4」(B3 Stock Exchange & UN Global Compact)

ブラジルの証券取引所B3 Stock Exchangeと国連が世界中の企業に対して掲げるイニシアチブ「UN Global Compact」が合同で実施した施策がグランプリを受賞しました。さまざまな企業の経済活動による地球環境の悪化がいかに深刻であるか伝えるべく公開された施策は、世界のビジネスリーダーたちが最も注目するであろうIPOという切り口で表現されています。具体的な内容としては、地球を1つの企業に見立て、B3の拠点で架空のIPOイベントを開催。地球の気温上昇や貧困率など、ビジネスにおける数値であれば到底IPOはできないような悲惨なデータを決算書という形で見せることで多くの企業の興味を引くことに成功しました。

結果的に5,800万件ものメディア露出を通じて、ブラジルのトップ企業の70%がUN Global Compactの目標達成に賛同。企業活動と対極にあると言われている地球環境そのものの改善に向け、多くの企業が動き出しました。

Creative Data Lions

「The Artois Probability」(AB Inbev)

1366年にベルギーで創業したステラ・アルトワは、ヨーロッパだけでなく世界を代表する大手ビールブランドの1つです。そんなステラ・アルトワがヨーロッパの歴史といかに深い関わりを持っているかを描くために、美術界を代表する名作をフックに企画した限定イベントがグランプリを受賞しました。

ステラ・アルトワの社史とともに、蓄積された600年分の流通データや商品データを参照することで、ブリューゲルやマネなど、美術界の巨匠たちが描いた作品に描かれているビールを特定しました。作品に描かれているビールはどれくらいの確率でステラ・アルトワ製のビールなのかを表現することで、ビールを通じて歴史を知ることができるという前代未聞の展示会が完成。長い歴史を誇るブランドならではのデータ活用法が評価され、受賞にいたったようです。

Direct Lions

「Runner 321」(Adidas)

野球、サッカー、バスケットボール…多くのスポーツ競技において、ダウン症候群を抱える人が脚光を浴びるということはほとんどありませんでした。そんな状況を変えるべくAdidasが実施した、ランニングという最もシンプルかつ間口の広いスポーツにおいてダウン症候群の人専用の背番号を作るという施策がグランプリを受賞しました。

21番目の染色体が3本あることが原因のダウン症候群の特徴にちなみ、321という背番号はダウン症候群専用のものであると打ち出したAdidas。この施策はNIKEやアシックスをはじめとした多くの競合他社からの賛同を得ることになり、世界6大マラソン大会のすべてにおいて321番の背番号をダウン症候群のランナーに渡すという結果を生み出しました。”スポーツはすべての人のためにある”という理念を社会的にも意義のあるメッセージに落とし込んだことで、多くの企業やユーザーの目に触れたことが評価につながったようです。

Media Lions

「#TURNYOURBACK」(Dove)

多くのSNSに導入されているフィルター機能は、美白効果や小顔効果をはじめとしたさまざまな効果を持っており、一部のユーザーからは絶大な支持を得ているものの、同時に美しさの定義を行なってしまうことで多くの人の自己肯定感に悪影響を及ぼしてしまうという課題を抱えています。この課題を根本から否定し、”人間はありのままの姿でも美しい”というメッセージを強烈なハッシュタグで表現したダヴの事例がグランプリを受賞しました。

「#TURNYOURBACK(背を向けよう)」というストレートなハッシュタグを通じて、フィルターが発動しない背中をカメラに向けるというムーブメントを巻き起こしたダヴの事例は、10億インプレッションとTikTokで1.1億再生を記録し、2人のハリウッド女優がアカデミー賞受賞会場での撮影会でカメラマンに背を向けるという事態に発展。SNSというメディアが定義する美しさに真っ向から挑戦したことが評価され、受賞へとつながりました。

PR Lions

「Self Love Bouquet」(Doordash)

アメリカのフードデリバリーサービスDoordashがバレンタインデーに行った、女性のセルフプレジャーの啓蒙施策がグランプリを受賞しました。アメリカ国内において男性よりも女性の方がセルフプレジャーグッズを所有しているのにも関わらず、69%の女性はその行為を語ることに対して後ろめたさを感じているというデータに基づいた施策は、Doordash上で11本のバラと1つのバラ型セルフプレジャーグッズをセットにして販売。

社会的にタブー視されがちなトピックに疑問を投げかけ、多くの人の言の葉に乗ることができた事例は39,000ものSNS上での投稿を生み出し、7.9億インプレッションを獲得した高い話題性が評価され受賞へといたりました。

Social & Influencer Lions

「Flipvertising」(Samsung)

テクノロジー大手のサムスンから販売されている折りたたみ型スマートフォンZ Flip 4が実施した、「ユーザー自ら広告のターゲティング対象にされる」という前代未聞のキャンペーンが斬新さと意外性を評価されグランプリを受賞しました。Z世代がターゲットの商品であるにも関わらず、多くのZ世代は広告に触れることは嫌いだと回答している事実を受け、サムスンが実施したのは「デジタル広告のターゲティングアルゴリズムを逆算して、正しい単語の組み合わせを検索したときにのみターゲティングされるたった1つの“正解”の動画広告を見た人にZ Flip 4を1台プレゼントする」というキャンペーン。

本来であれば避けるべき存在として多くのZ世代から嫌われている広告そのものを逆に探させるという宝探し要素に多くのインフルエンサーが注目し、それぞれのSNSアカウントでユーザーを巻き込みながら発信する事態に発展。エンゲージメントは600%も増加し、“正解”の広告にたどり着くまでの間Z Flip 4について何度も検索したユーザーたちは次第に商品そのものの魅力に気づくこととなり、わずか数台分しか用意されていなかったプレゼント企画であるにも関わらず売上を32%も伸長させることに成功しました。

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