「くず米を使った100%分解できるストロー」が国内にとどまらず世界中で需要拡大中

日本国内における米の1人当たりの年間消費量は、昭和37年度をピークに減少傾向が続いています。具体的には、昭和37年度は118kgの米を消費していましたが、令和2年度の消費量は半分以下の50.8kgにまで減少しています(※1)。

そこで、中小規模の農家では、くず米を家畜の餌とすることも少なくありません。それを買い取ることでコメ農家に寄り添い作られているのが、この「米ストロー」です。原料の7割をくず米、残りの3割をコーンスターチとした100%天然由来成分でできており、プラスチックを一切使用しないストローとして2019年中国にて開発されて以降、月間2000万本の製造を行い、アメリカ、シンガポール、ドイツ、ドバイなどに向けて輸出されています。

この米ストローはおよそ100日をかけて土壌や海中で完全分解されるため、コンポストや植物の肥料などとして処理することも可能で、耐久性はおよそ2時間で無味無臭の使い心地が特徴です。

さらに2022年には「福岡市トライアル優良商品」となり、福岡市にある九州大学農学部のくず米を原料としたオリジナル米ストローを製造。就労支援施設によって梱包された状態で納品され、地方創生とともにPRにもつなげています。日本国内では飲食店をはじめ企業のノベルティやOEMでの導入が86社ほど進んでおり、SDGsや食育の授業の一環として教育機関の導入も増えています。

使い捨てプラスチックストローは、プラスチック資源循環法で有料化となる「特定プラスチック使用製品」12品目のひとつ。代替素材を使用した商品への需要の高まりを受けたこともあり、日本国内での順調な販売市場の拡大も納得です。

企業CSRへの貢献ともなる、本来なら捨てられてしまうものを新しい技術との組み合わせで有用な商品にする発想力、何気ない日常生活の中からヒントを見つけるアンテナの広さが求められているのかもしれません。

・※1出典元:農林水産省「米の消費動向」

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