地方新聞社×ローカル鉄道 両者の強みを掛け合わせた特別広告プランが誕生した理由|前編

2025年10月1日(水)より、千葉県銚子市を走るローカル鉄道の銚子電鉄において「1140 最低賃金号」の運行が実施されました。(PR EDGEの紹介記事はこちら

これは、千葉県の最低賃金が10月3日(金)から時間額1,140円となることにちなんだもの。厚生労働省千葉労働局が、最低賃金の改正と引き上げに関する助成金などの広報施策として実施したものです。運行期間中は、特別ヘッドマークとなるほか、車内には最低賃金に関する広報・啓発ポスターが多数掲示されました。

2024年6月に千葉日報社の広告プランとして、車両広告ジャックと新聞広告、広報支援をセットにした「特別プラン」が登場してから実施される初めての事例です。

この広告プランの誕生から関わり、初の事例実施へと導いた千葉日報社の田村理さんに、その内幕についてうかがいました。地方新聞社発の広告プラン誕生の舞台裏をお聞きした前編と地方新聞社×ローカル鉄道が生む新たな価値について語られた後編でお届けします。

前後編の前編、後編はこちらから

千葉日報社から提供されている、銚子電鉄と連携した広告プランとは、どのようなものなのでしょうか。

田村 銚子電鉄の車両11編成(2両編成)の広告枠を占有する「車両ジャック」と、弊社による広報支援をセットにした独自のプランです。広報支援には、新聞広告掲載やプレスリリース配信が含まれています。

見どころは、ヘッドマークに任意の名前を入れられること。今回は「最低賃金号」という名称になりましたが、そのほかにも企業名やブランド名を掲示できます。そして、新聞社による広報支援がセットになっていることで、単なる車両広告を超えた話題性を創出できる点が強みです。

この広告プランが誕生した背景を教えてください。

田村 検討が始まったのは2024年初頭です。当時、私はデジタルマーケティング局で新規事業開発を担当していました。実は私、2016年から2020年まで銚子・海匝支局の記者をしており、竹本勝紀社長とも懇意にさせていただいていた経緯があります。

部署の異動後も定期的に銚子電鉄の記事を書くなど、交流を続けていました。そして、新規事業を担当するようになってから、コラボレーションできないか提案する機会が増えていたんです。


千葉日報社の田村さん

具体的には、どのような連携から始まったのですか。

田村 まず、銚子電鉄のまとめページを弊社で作成し、定期的に更新することからスタートしました。銚子電鉄のECサイトへの誘導リンクを掲載する代わりに、銚子電鉄の車両内広告に弊社のオンライン会員募集広告を出していただきました。これはPR TIMESでプレスリリースも出しています。

※該当プレスリリース:銚子電鉄の記事まとめ“ちょうし良く”配信 千葉日報、中吊り・バナー広告で「相互乗り入れ」

さらに、私が立ち上げた動画学習サイト「千葉日報カルチャー」で、銚子電鉄を題材にした映画『電車をとめるな』の配信と解説をセット販売するなど、関係を深めていきました。

その流れで、車両ジャックの広告プランが生まれたのですね。

田村 そうです。さまざまな連携を重ねるなかで、この企画を思いつきました。ただ、私は当時、マーケティング部局の人間で、広告営業がメインではありませんでした。そこで、実際に営業担当者に「こういう商品があったら売れると思うか」とヒアリングし、価格設定などを銚子電鉄側と調整して商品化しました。

 

2024年6月に広告プラン誕生のプレスリリースが出てから、実際に運行開始となった事例が登場したのが2025年10月と、約1年のブランクがありました。そこにはどんな背景があったのでしょうか。

田村 プラン自体に話題性があったので、たくさんのメディアにも取り上げていただき、実際に引き合いもいただきました。ただ、なかなか成約には至らなかったんです。理由を具体的に申し上げるのは難しいのですが、銚子電鉄の車両の雰囲気と商材のマッチングという点で、認識のずれがあったことが主な理由だったように思います。

銚子電鉄に実際に乗車されたことがない方からすると、車両をイメージしづらい部分があったようです。首都圏から足をのばして銚子電鉄に乗りに行く人は、よほど鉄道好きでない限り多くありません。銚子電鉄の存在を情報としては知っていても、実際の乗車体験がないため、ギャップが生じたのだと思います。

 

そんな紆余曲折ののち、初めての実施例となったのが「最低賃金号」でした。この施策の依頼元となった厚生労働省千葉労働局からの問い合わせは、いつ頃あったのですか。

田村 2025年の春ごろです。2025年度(令和7年度)の施策として、最低賃金が10月に改定されることにあわせて、中小企業向けの支援制度を広報したいとのご相談でした。そこからの調整に時間がかかりましたが、何とか10月の実現に至りました。

なお、2025年春に私は部局改編で編集局に復帰しましたが、事業としては継続して担当しています。

 

「最低賃金号」という名称はどのように決まったのですか。

田村 千葉労働局からの問い合わせ段階では、最低賃金改定と中小企業支援制度の周知という目的は明確でした。「最低賃金号」という名称自体は、やり取りのなかで出てきたものです。ヘッドマークに文字を入れられるのが大きな特徴ですから、それが実現したことが今回のニュースバリューにつながったと思います。

実際にこの特別広告プランでの、初の運行に関してはさまざまなメディアにも取り上げられ、想定以上の反応を得られたと思っています。

意外だった反応などは、ありますか。

田村 PR TIMESのプレスリリース記事が、Xで大きな反響をいただきました。県内の著名なインフルエンサーが関心を示してくださり、それをきっかけにさらに広がったと認識しています。「これを見に行こう」といったポジティブな反応が多く、好意的に受け止めていただけたと思います。

広告プランの内容だけを見ると「いろいろ、できるんだな」と流されてしまいがちです。しかし実際に実現し、画像や素材を見ていただくことで、「こういう風になるんだ」とより具体的にイメージしやすくなったようです。絵に描いた餅ではなく、実現したからこそ、次につながる手応えを感じています。

(前編・了)

続く後編では、地方新聞社×ローカル鉄道が生む新たな価値について、くわしくお聞きします。前後編の前編、続く後編はこちらから

(取材・文/見野 歩)

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