通勤路をラグビーチームカラーが駆ける——Honda HEATを街のアイコンに

宇都宮の街を走るLRTこと「ライトライン」に、本田技研工業(以下、ホンダ)の社会人ラグビーチーム「三重ホンダヒート」(以下、Honda HEAT)のチームカラー、黒と赤が鮮やかに浮かび上がるラッピング車両が登場。この車両は2025年12月27日(土)から運行を開始するといい、選手から立ち上がる熱気をビジュアル化して「HEAT AND BEAT」というメッセージを掲げたデザインです。

次世代型路面電車であり、宇都宮駅東口と芳賀・高根沢工業団地を結ぶ「宇都宮芳賀ライトレール線」の愛称でもあるライトライン。宇都宮市民の通勤・通学の動線に自然と溶け込みながら、スポーツチームの存在感を市民の日常へ浸透させる取り組みです。

宇都宮市とホンダの関係は、長い年月をかけて築かれてきたもの。宇都宮市東側に隣接する芳賀町・高根沢町にまたがる芳賀・高根沢工業団地は、1970年代初頭から首都圏整備法に基づく都市開発区として、栃木県と地元自治体により整備を推進してきました。

そのなかでホンダが進出企業として名乗りを上げ、本田技術研究所四輪R&Dセンター(栃木/栃木県芳賀郡芳賀町)をはじめ、テストコース(栃木プルービンググラウンド/栃木県芳賀郡芳賀町)や研究施設を設置。この歴史を背景に、宇都宮圏域はホンダ、なかでも研究・開発機能の拠点として、地域の産業基盤と深く結びついてきました。

一方で、LRT開業は街の移動構造を大きく変える契機となったといいます。従来、ホンダはJR宇都宮駅東口と芳賀工業団地をつなぐ従業員向け通勤バスを多数運行していました。しかし、2023年のLRT開業に合わせ、この通勤バスを廃止。渋滞緩和や脱炭素への貢献を理由として、企業の移動政策が都市交通のあり方を見直しました。

こうした背景のもとで走り始めたHonda HEATのラッピング車両は、宇都宮市のリブランディングの一翼を担います。2026–27シーズンから本拠地を三重県鈴鹿市から、栃木県グリーンスタジアムへ移す同チームにとって、宇都宮は新たなホームタウン。通勤・通学でLRTを利用する宇都宮市民の視線を奪うことで、チームの認知と親近感がうまれます。スポーツチームが街の文化資源として根づくこと、さらには、シビックプライドの醸成を期待します。

このラッピング車両は、宇都宮市が進める「プロスポーツのまち宇都宮」の施策とも連動。産業・交通・スポーツという異なる領域を1本のレール上でつなぐことで、シティーブランドに新しい表情を与えます。企業の歴史が街の基盤を支え、公共交通が人の流れをつくり、その動線上にスポーツチームが存在感を示す……通勤・通学路に走るチームカラーが、やがて“街のアイコン”として市民の記憶に刻まれていくことでしょう。

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