明日を「戦前」にしないための企業広告ーー戦後80年にのんと伝える|毎日新聞社

毎日新聞社が、2025年8月8日(金)に新CM「のんと毎日新聞 今もどこかで篇」を公開しました。同社は、俳優・のんさんを2022年から企業広告に起用。TV CMへの出演をはじめ、多彩な共同プロジェクトを展開しており、このCMは「のんと毎日新聞」シリーズの第4弾にあたります。

CMは、のんさんが原っぱで寝転び、風の音に耳を澄ませる穏やかな場面から始まります。しかし、彼女が聴き取ったのは遠くから聞こえる銃声や爆発音といった“現実の音”。……「今もどこかで若者たちが戦場に送られる」というナレーションが、「無関心でいることの危うさ」を静かに問いかけます。

広告主である毎日新聞社は、その前身となる旧・東京日日新聞、旧・大阪毎日新聞が第二次世界大戦中、戦意高揚に加担した過去を重く受け止めています。そして、この歴史的責任について戦後一貫して自己検証と反省を重ねてきたそうです。

「戦後80年」という節目に、「今も、世界のどこかで起きている戦争」に気づくきっかけをつくりたいと考えたことが、このCM制作の背景にあるといいます。

このCM制作に携わった株式会社POPSのクリエイティブディレクター田中淳一氏は、「広告表現として扱うにはかなり難題でデリケートなものだった」といいます。

しかし、世界各地で第二次世界大戦以降最多となる61の紛争が起こり、36カ国が関与する現状を踏まえて、戦争を否定したり、反戦を訴えたりするだけでなく、毎日新聞が果たすべき社会的存在意義を示す必要があると考えました。そこで掲げたクリエイティブコンセプトは「関心領域を広げることが、戦争を拒む力になる」。これは理論物理学者アインシュタインと心理学者フロイトの間で、1932年に交わされた往復書簡での対話からインスピレーションを得たそうです。

「今の世界には、みんなでやらなきゃいけないことがたくさんあるのに」と、戦争の火種となり得る「分断」を危惧することも伝えた60秒の映像作品。平和を願う心を伝えると同時に、「フィルターバブル」「エコーチェンバー」など、自分好みの情報ばかりが無意識に集まってくる仕組みが整っている現代だからこそ、マスメディアとして数々の視点や事実を伝える新聞社の矜持や、パーパスを熟慮する姿勢が描かれています。

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