【速報】カンヌライオンズ2024「Craft」部門グランプリ受賞作品まとめ

2024年6月にフランス・カンヌで開催されている「Cannes Lions 2024」。優れた芸術性をもった作品に贈られる「Craft」部門において、デザインの力を最大限駆使した作品を評価する「Design Lions」、アイデアをテクノロジーで表現した作品を評価する「Digital Craft Lions」、純粋な映像美や制作手法を評価する「Film Craft Lions」、斬新なアイデアをアウトプットするときの芸術性を評価する「Industry Craft Lions」の4つの賞におけるグランプリをご紹介します。

Design Lions

Sightwalks(SOL Cement)

デザインの力で社会課題を解決へと導いた事例として見事グランプリに輝いたのは、ペルーに拠点を構えるセメント会社のSOL Cementが行った大型施策でした。視覚障害を抱える人の移動にとって重要である点字ブロックの根本的な課題を特定し、それに対する具体的な解決策をオープンソースとして世界中に公開したのです。

“Sightwalks(見える歩道)”という名前が付けられた施策はまず「点字ブロックは道筋を指し示すツールとしては優秀だが、利用者が目的地に辿り着いたのかどうかを知らせる機能を兼ね備えていない」という設計上の課題に着目。それを解決するために同社はオリジナルの点字ブロックを開発しました。

1本線はレストラン、2本線は銀行、といった具合でシンプルなブロックを特定の公共施設の入り口に配置し、視覚障害を抱える人たちがいつ目的地に辿り着いたのかを誰の力も借りることなく判断できるようにしたのです。ペルー国内の主要都市に用いられた新たなブロックのデザインデータは、その後オープンソースとして世界中に公開されています。今となっては当たり前とも言えるものを分解して新たな課題を発見し、デザインの力を通じて解決するというアプローチが評価され、見事グランプリを受賞することができたようです。

Digital Craft Lions

Spreadbeats(Spotify)

Digital Craft部門では、100年以上前のアニメーション技術を結集させたSpotifyの事例がグランプリに輝いています。同社が行ったのは、スプレッドシートというデータ整理用のツールでミュージックビデオを表現するという、一見意味がまったくわからない壮大なプロジェクトでした。

長方形のセルを使い、さまざまな色や動き、感情までをも再現するために、まずSpotifyはKey frame animationやCurve based animation、Wireframe renderingをはじめとした新旧のあらゆる映像表現手法を研究。その中からスプレッドシートに転用できそうなものを選び、関数として再現することで複雑な映像にすることに成功したのです。

デザイン性や表現という言葉の枠組みを超え、もはやスプレッドシートエンジニアリングとも呼べる超大作はクリエイティブの新たな可能性を指し示すとともに、既存のツールの意外な使い方を提案した点が評価されグランプリを受賞するにいたったようです。

Film Craft Lions

The Square Meter(Hornbach)

Film Craft部門では、ドイツに拠点を構えるDIYホームセンター・HornbachのTVCMがグランプリを受賞しました。“Every Square Meter Deserves to be the Best in the World(1立方メートルしかないスペースでも最高の空間にできる)”というタイトルとメインメッセージで、材料と想像力さえあれば可能性は無限大であることを訴求しています。

横型でも縦型でもなくスクエアのスクリーンサイズで撮影された動画は、主人公の男性が1立方メートルという狭い空間の中で生活している様子を紹介しています。あえて窮屈に感じる画角にすることでCMのメッセージを際立たせていますが、実際に動くセットや目まぐるしく切り替わるカメラワークのおかげで美しく楽しげな映像に仕上がっています。

さまざまな工夫が詰め込まれた多彩な表現力が評価され、激戦区とも言われているFilm Craft部門で見事グランプリを獲得することができたようです。

Industry Craft Lions

The 100th Edition(Frankfurter Allgemeine)

ドイツの新聞紙・Frankfurter Allgemeineが定期的に行っている自社広告“Brilliant Minds(偉大な思考)”の記念すべき100回目のクリエイティブが、グランプリを獲得しました。

さまざまな偉人がFrankfurter Allgemeineを読んでいる様子を写真で切り取り自社の紙面に掲載するというフォーマットのクリエイティブは、これまでアカデミー賞受賞俳優や政治家、実業家をはじめとした著名人を取り上げてきました。その記念すべき100回目としてフィーチャーされたのは、今年103歳になるMargot Friedländerという名前の一般人女性。

Friedländer氏は今となってはドイツ国内に数えるほどしかいないホロコーストの生き残りで、彼女の人生観や言葉を後世に残すべく100人目に選ばれたのでした。写真の撮影はベルリン市内にあるHolocaust Memorialで行われ、世界中の人々、特にヨーロッパ圏の人にとっては重要な日である1月24日、アウシュヴィッツが解放された日に公開されました。メディアとして読者に伝えるべき使命を全うし、それを1枚の写真で表現するという手法が評価されたようです。

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