“理不尽なルール”に子供達からブーイング続発。仏NPOによる「人生ゲームで格差問題啓発」

Case: Observatoire des Inegalities Let’s change the rules

人種、宗教、性別、貧富など、様々な格差が存在している現代社会。

フランスのNPO団体・不平等観測所(Observatoire des inégalités)は、格差問題がいかに理不尽かを実感し、啓発するために、子供たちを招待してある特殊なルールにのっとった人生ゲームを体験してもらいました。

通常人生ゲームでは、プレイヤー全員に共通のルールが適応されるもの。しかし、今回はどうやらルールの仕組みが違うよう…

ゲームを始めるにあたり、スタッフはまず子供たちに所持金と所有物についてのルールを説明します。

プレイヤーのうち半分の人には所持金として1,500ユーロ、残りの半分の人には半額の750ユーロを与えます。またプレイヤーのうち1人だけに、3つのストリートと2つの家を与えます。

説明を聞いた子供たちは、「そんなのフェアじゃない!」と大ブーイング。

ゲームが進むにつれ、他にも沢山の“理不尽なルール”が登場します。例えば、ある女の子には“決して逮捕されない”特別なカードを付与。

それに対しある男の子は何も悪いことをしていないのに突然逮捕され刑務所行きに。

驚いた男の子が「どうしてですか?」と尋ねると、スタッフは「それがルールだからだよ」の一言。これには男の子も納得がいかない様子です。

他にも、松葉杖の子は駅の購入を断られたり、女の子は通常の4分の3しかお金がもらえなかったり、黒人の子は“1”しか書かれていないサイコロを使うように言われたりと…ルールはめちゃくちゃ。

わけのわからないルールに、子供たちはイライラしたり、悲しくなったり…。「なんで?」「どうして?」の言葉が連発される状態が続きます。

一連のゲームの様子を収めた映像のラストでは、フランス社会の受け入れがたい現状を説明。フランスではいかに格差問題が深刻であるかを、実際の数字をもとに伝えます。

例えば以下のようなことが挙げられます。

・物件探しの際、人種的マイノリティの14%しかポジティブな反応をしてもらえない。
・高所得者の66%が自身の家を所有しているのに対し、低所得者は16%しか所有していない。
・低所得者もしくは失業者は、高所得者に比べて3倍逮捕されやすい。
・仕事の内容に関わらず、女性は男性に比べ23%給与が少ない。
・電車の駅の30%しかバリアフリーになっていない。
・貧困家庭の子供は授業についていけず、14歳までにその35%の生徒が留年している。

実際の社会にはゲームよりももっと数多くの“理不尽なルール”があるにも関わらず、それを当たり前のように考えてしまっている大人たち…。

子供たちに格差問題について知ってもらうことはもちろん、大人たちには“もう一度子供のような素直な気持ち”で格差問題について考えてほしいと訴える、NPO団体の啓発施策でした。

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