愛情表現の裏に隠された言葉の暴力。DV防止を啓発する、視覚的トリックを利用した看板広告

Case: Emotional abuse is harder to see

女性や子供に対するDV。殴る・蹴るといった身体的なものに加え、精神的・性的な暴力なども含まれますが、中でもお金を使わせない、常に監視する、人前で侮辱するなど、相手の自尊心を破壊することによって自分の支配下に置く『強制的コントロール』は非常に表面化しづらいのが特徴です。

この問題点にスポットを当て、“見えないところで起きている暴力”について広く人々に知ってもらうため、ドメスティックバイオレンスの防止啓発に取り組む英国のチャリティー団体・Women’s Aidが、視覚的なトリックを利用した看板広告を掲示しました。

ロンドンのほか、4都市の道路わきに設置されたこの広告には、『I love you no matter what(どんな事があっても、君を愛しているよ。)』というメッセージが書かれています。

ところが車が徐々に近づいていくと『You are mine no matter what(君は俺の物だ)』と、全く別のフレーズが浮かび上がる仕掛けが施されているのです。

これは、周りの人たちには一見愛情表現に見える言動の裏に、実はパートナーに対する脅しや暴力が隠れている場合があるのだ、ということを示唆したもの。

掲げられた看板は他にも数種類あり、遠目からは妻に対する夫の優しい言葉のように思えますが、近づいてみると、女性を威圧し、恐怖を植え付けるような内容となっています。

『You have no idea how great you are (君は本当に素晴らしい人だ)』
『I’ll make you question who you are (自分が誰だかわからなくしてやる)』

『You must know that I love you (君を愛している事を知っているよね)』
『No one will ever love you (誰もお前を愛してはくれないだろう)』

『You look great wearing that to the party (パーティーに着ていくその服、とても素敵だよ)』
『You are not wearing that to the party (そんな服を着てパーティーに行くな)』

『You look beautiful in that dress (そのドレス、本当に似合うよ)』
『You look like a tart in that dress (そんなドレスを着て、まるで売春婦だ)』

2015年、イギリスではこのようにパートナーの心を強制的にコントロールすることは精神的虐待にあたるとして、刑事罰を課すという法案が公布されています。それから1年が経ったことを記念して実施された本キャンペーンは、2016年12月19日より2週間にわたり展開されました。

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