2000号分の表紙で表参道駅をジャック!10代〜70代の心に響いた「ananアーカイブ展」とは

Case:通巻2000号記念キャンペーン「ananアーカイブ展」

話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく連載「BEHIND THE BUZZ」。

今回は、株式会社マガジンハウスが、総合女性誌『anan』が通巻2000号を迎えたことを記念して、2016年4月11日〜4月17日 東京メトロ表参道駅構内にて開催した「ananアーカイブ展」について取り上げます。創刊から46年間分の表紙を振り返るアーカイブ展開催の経緯から、予想を超える反響、そしてSNS上での意外な盛り上がりまで、株式会社マガジンハウス マーケティング局 宣伝プロモーション部 宮下明久さんにお話を伺いました。

Interview & Text : 坂巻 渚
現在の読者から創刊当時の読者まで。46年間の歴史を沢山の方に伝えたい。

<1970年の創刊号の表紙>

— まず、「ananアーカイブ展」開催の経緯からお教えいただけますか。

宮下:『anan』は今年の4月に、「週刊女性ライフスタイル・総合誌」としては初めて、通巻2000号を迎えました。初めは、2000号の販売促進のために読者招待のイベントなども検討していましたが、せっかくこれまで長い歴史を築いてきた雑誌なので、一部の方をイベントに呼ぶだけではなく、もっと沢山の方に楽しんでいただけるような企画にしよう、と考えたのが始まりです。創刊から46年ということを考えるとこれまでの読者の年齢層は幅広く、下は10代から上は70代位の方までいらっしゃるんです。今の読者の方に『anan』の歴史を知っていただくことはもちろん、以前読者だった方に久しぶりに『anan』を思い出してもらったり、まだ読んだことのない方にも興味を持ってもらえるような、幅広い層にアプローチできる企画ということをキーとして考えました。

— 表紙のアーカイブを展示するというアイデアには、どのように辿り着いたのですか?

宮下:もともと2000号の誌面で表紙のアーカイブ特集をすることになっており、その特集が元になっています。実際表紙を並べてみると、当時流行していたファッション、ライフスタイルから当時一斉を風靡したアイドルまで、その時代の特徴が見えてきて結構面白いんですよね。これを人通りの多い場所で展示したら、幅広い年齢層の方に興味を持っていただけそうだと感じ、割とすんなり今回の企画が決まりました。本誌と連動することで雑誌の販売促進にもなりますしね。インターネットが普及し、雑誌を読む人が減ってきている中で、改めて雑誌の良さを感じてもらう機会にもなればと思いました。

— 企画が決まってから、アーカイブ展を実現される上で苦労されたことはありますか?

宮下:まずは、表紙が全て揃うのかという点が心配でしたね。ただしっかりと担当セクションが、時系列で綺麗に表紙を保管してくれていたのでかなり助かりました。今回の企画は表紙がないと成り立たないので(笑)ただ2000号のうち、約1600号分はデジタル化されておらず、最初は表紙をデジタル化することから始まりました。

— 2000号となると、表紙の並べ方やサイズを決めるのも大変そうですよね。

宮下:そうですね。スペースが限られているものなので、代理店の方にもご協力いただきながら、図面を作って配置を考えていきました。並べ方は基本的に時系列にしましたが、サイズについては時代時代で話題になったものやユニークな表紙のサイズを特別大きくするなどしてバランスを考えました。最近はタレントさんの表紙が多いのですが、昔はイラストの表紙があったりと今とは表紙のテイストもだいぶ違いましたね。

<「ananアーカイブ展」の展示風景>

懐かしさに、アイドルに。様々な目的で賑わったアーカイブ展。

—展示期間中、通行者の方々の反応はいかがでしたか?

宮下:立ち止まって熱心に見てくださる方が多くて驚きました。面白かったのが、年代ごとの表紙の所に、当時の読者と思われる方が立ち止まっているんですよね。創刊して間もない頃の表紙の辺りだと、60代、70代くらいの方々です。年齢層が上の方にアプローチするのは難しいと思っていたので、「懐かしい、昔読んでいたわよ。」などと、一つ一つじっくりと見てくださっている様子は嬉しかったですね。
あとは、アイドルが表紙の辺りはかなり人気で、そこは年代関係なくアイドルのファンと思われる方々が集まっていました。同じアーカイブ展でも時代によって、見る方に特徴が出ていたのは意外で面白かったですね。

<実際の展示期間中の様子>

立ち止まって写真を撮る人が続出。予想を超えるSNSでの盛り上がり。

— SNSもアイドルファンの方を中心にかなり盛り上がっている印象を受けました。

宮下:特にtwitterは写真付きの投稿が非常に多かったのですが、あそこまで写真を撮る方がいらっしゃるとは予想外でしたね。もちろんアーカイブ展に注目したただくのはとても嬉しいことなのですが、途中であまりにも人が集まり過ぎてしまって、展示期間の後半には警備員を配置したくらいです(笑)みなさん写真を撮るだけでなく、長い時間留まったり、中にはしゃがみ込んでじっくりとご覧になっている方などもいました。最初はタレントさん目的でアーカイブ展を見に来られた方が多かった気もしますが、「さすがanan!」「ananってこんなに歴史があったんだ!」などのコメントも数多くいただいていることを考えると、最終的には雑誌に繋げることができたのではと感じています。また、当時を懐かしく思い出している方がいたことも嬉しかったですね。

— 今回表紙のアーカイブの他に、特集タイトルの展示やフォトブースも設定されたと伺いました。

宮下:はい。これまで『anan』では、「好きな男、嫌いな男」「にゃんこLOVE」など、時代時代に合わせインパクトや共感を生む言葉を作ってきて注目を浴びてきました。今回のアーカイブ展でも、せっかくであれば表紙と合わせて、これまで話題になった200ほどの特集タイトルの展示も行おうということになったんです。連動して、メトロ各路線では、話題になったananの特集タイトルを中づり広告にして展開しました。
フォトブースについては、自分が『anan』の表紙モデルになれる「じぶんanan」というコーナーを設けました。

<特集タイトルの展示(左)と「じぶんanan」のフォトブース(右)>

— 今回、アーカイブ展を実施されて、当初の予想と比べて手応えはいかがでしたか?

宮下:今回特にKPIは設定していなかったものの、予想以上に、駅構内、またSNS上でも盛り上がったと感じています。社内からはもちろん、広告を出稿していただいているお取引先やタレント事務所からも、嬉しいお声をいただいています。

— 最後に今後の方向性について教えていただけますか。

宮下:本や映画・ファッション・タレント、そしてライフスタイルまで様々なジャンルを扱う総合雑誌があまりなくなってきている中で、弊社全体としても『anan』を一冊買えば一週間を楽しめるということを色々な形で発信していきたいと感じています。編集部がいつも面白い特集を企画してくれているので、我々宣伝プロモーション部は本誌とうまく連動しながらフレキシブルに面白い宣伝方法を考え、エリアを問わず幅広い年代の方々にももっとアプローチできるような企画を考えていきたいと思っています。

株式会社マガジンハウス マーケティング局 宣伝プロモーション部 宮下明久さん

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