視覚障がい者が本気で打ち合う 光と音で情報を伝えるロービジョンボクシング
株式会社TBWA HAKUHODOは、落合陽一氏、社会起業家の成澤俊輔氏らとともに、新しいインクルーシブ格闘技 Low Vision Boxing(ロービジョンボクシング)の開発を進めています。
2026年10月1日(木)からクラウドファンディングを開始し、12月5日(土)には福島県のKNOCK OUT 常葉アリーナで、成澤氏とプロキックボクサー・小笠原瑛作選手による特別試合の実施を目指します。(クラウドファンディングのサイトはこちら。)

TBWA HAKUHODOによると、日本の視覚障がい者のうち、約7割から8割が弱視といわれています。視覚障がい者が参加できる競技が広がる一方、晴眼者と同じように本気で打ち合える格闘競技はまだありません。
そこで、弱視の当事者である成澤氏が落合氏とともにロービジョンボクシングを発案。TBWA HAKUHODOらと開発を進め、既存の競技に補助を加えるのではなく、異なる見え方を持つ選手が同じリングで戦える競技を目指しています。

成澤俊輔(世界一明るい視覚障がい者)

落合陽一(筑波大学デジタルネイチャー開発研究センター センター長・図書館情報メディア系教授)
開発にあたり、格闘技に必要な視覚情報を、対戦相手の位置、対戦相手の攻撃、自分の攻撃のヒット、自分の位置の4つに分類しました。LED、加速度センサー、圧力センサー、振動モジュールを一体化した専用ギアと、3Dオーディオを発するリング設備を開発。
視覚に頼っていた情報を光や音などへ変換し、見え方の違いにかかわらず同じリングで競い合える環境づくりにつなげています。なお、現在は、機材やルール、安全管理体制、演出方法などを検証している段階です。
こうした技術は、選手への情報伝達だけでなく観戦にも活用されます。グローブに取り付けたLEDの光、距離や動きを表現する音、リアルタイムで表示されるヒット判定などによって、観客にもリング上の攻防を伝える仕組みです。選手に情報を伝えるための技術を観戦者にも広げることで、新たな観戦方法へと展開し、エンターテインメントとしての価値にもつなげています。
視覚障がいによる見え方の違いに対し、既存競技に補助を加えるだけで終わらせず、ルールや道具、競技空間そのものの見直しへ広げたロービジョンボクシング。そこで生まれた技術を観戦にも生かし、新しい競技と観戦体験の双方へ展開するインクルーシブデザインの事例です。
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