ガラスレス工房で「できたて」を体験化 老舗の信頼を可視化する文明堂の店舗戦略

文明堂東京が、ガラスのないライブキッチンを併設した店舗を京都・伏見に2026年3月5日(木)にオープンしました。同店では、作業工程の可視化によって安心感を醸成し、開放的な実演販売で来店客の購買意欲を刺激します。

かつて同社の創立者・宮﨑甚左衛門は「目の前で箱に詰めることで、安全な商品であることをそのまま伝えられる」と実演販売を立案したそうです。その精神にあらためて立ち返り、消費者が作業工程を見学しながら購入できる店舗を設計しました。

文明堂 伏見カステラ工房は、ガラスの仕切りを設けず、菓子づくりの様子を間近に見られる開放的なライブキッチンを併設した店舗です。カウンターの高さは、小さな子どもでも製造の様子が見えるよう約1mに設定。音や香りはもちろん、できたての温かさまで伝わってくるような臨場感が感じられる空間となっています。

製造工程の見学は、ノウハウ保全の観点から公開しにくいもの。しかし、生活者にとってはエンターテインメント性が高く、世代を超えた知的好奇心を刺激します。近年は工場見学がレジャースポットや体験型コンテンツとして注目を集めており、同店も年齢を問わず多くの人の関心を集めそうです。

また、カステラを丁寧につくる様子を目視できる環境は、購買行動を後押しする要因のひとつとなるでしょう。

通常カステラは、一晩寝かせて生地をなじませる“熟成”という工程によって、もっともおいしい状態になるといいます。その一方で、「焼きたてのふわふわを味わいたい」というニーズが寄せられていました。

そこで、「できたてこそ一番美味しいカステラ」という新しい発想のカステラづくりに挑戦。試作を重ね、約1時間かけてじっくり焼き上げた「釜出しカステラ」を完成させました。

関東では3店舗で展開している「釜出しカステラ」ですが、関西で購入できるのは文明堂 伏見カステラ工房のみ。持ち歩きやすい1切れサイズで提供し、限定販売という希少性を武器に集客につなげます。

そのほかにも、季節限定商品を用意することでリピーターの再訪を誘導する工夫を欠かしません。伏見稲荷大社がモチーフのイラストが焼印された商品のほか、どら焼き、フィナンシェなども販売。京都のお土産が購入できる新たな観光スポットとなることも期待されます。

また、建物のデザインには「誰かを想う、あなたのために。」という同社の哲学が反映されています。ゆるやかな曲線を描く大きな屋根は、お客様をやさしく包み込む思いをかたちにしたもの。

開放感があり光が差し込む明るい店内や、カステラの焼き色を想起させるこげ茶色のタイル、買い物後にゆっくり過ごせるテラスの設置など、商品はもちろん滞在の快適さにも気を配った店舗設計となっています。

新店舗では、「釜出しカステラ」をはじめとした店頭限定商品で来店動機を明確にしつつ、地域住民はもちろん、観光客の立ち寄りも促します。

創業時からの「お客様の目の前で箱に詰める」という精神を現代の店舗体験に翻訳し、ブランドの歴史と安心感を、購買につながるライブ体験として再提示した事例といえるでしょう。

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