陰謀論から始まる観光広告? 定石を外し続けるIcelandairの新アプローチ
PR EDGEではこれまでも、Icelandairが手がける、皮肉とユーモアを巧みに織り交ぜた観光プロモーションを紹介してきました。
過去にPR EDGEでも取り上げたCMは、あまりにも美しい絶景が「AI生成画像ではないか」と疑われてしまう現象を題材に、AI画像が日常に溶け込んだ時代ならではのトレンドを軽やかに取り扱ったもの。
一方、今回のキャンペーンが扱うのは見た目の真偽ではありません。オーロラをめぐる陰謀論という題材を通じて、事実そのものが疑われる時代をユーモアで描き出す、さらに踏み込んだ視点が見られます。
動画では、アイスランドの夜空を彩るオーロラをめぐり、自称「オーロラ陰謀論者」が天文学者に対し、「オーロラはプロジェクターで映しているのでは?」「見える時間帯が決まっているのは怪しい」など、突飛な質問を次々と投げかけます。
専門家は、オーロラが太陽風と地球の大気が引き起こす自然現象であること、地域や季節が限られる科学的理由を丁寧に説明しますが、陰謀論者はなかなか納得しません。このニュース番組やポッドキャストを思わせる構成の中で繰り広げられる、“噛み合わなさ”自体が笑いを生み、視聴者を引き込みます。
この動画の秀逸な点は、オーロラの仕組みや観測条件といった、少し専門的でありながら思わず気になってしまう情報を、押しつけがましくなく伝えている点です。通常であればテロップやナレーションで説明されがちな内容を、コメディー仕立ての会話に落とし込むことで、自然と頭に入ってくる構成になっています。
さらに本作は、アメリカを中心に広がる陰謀論文化を真正面から否定せず、メタ的な視点で描いています。何でも疑う姿勢そのものを笑いに変えることで、「事実とは何か?」を逆説的に浮かび上がらせているのです。
観光広告といえば、美しい映像や感動的な音楽で魅せる手法が王道。しかしIcelandairはこれまでも、その定石をあえて外し、「本物なのか?」と疑わせるようなテイストで観光地の魅力を伝えてきました。
今回も“信じない人”を主役に据え、広告としての一貫性を保ちながら新たな切り口を提示しています。
誤解や疑問をユーモアに変えながら解きほぐすことで、オーロラへの理解と関心が自然と深まり、やがて「本物を見に行ってみたい」という感情へとつながる設計。その巧みさが光る事例です。
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