【速報】カンヌライオンズ2025「Entertainment」部門グランプリ受賞作品まとめ
2025年6月にフランス・カンヌで開催中の「Cannes Lions 2025」。卓越したエンタメ性を持った作品に贈られる「Entertainment」部門において、純粋なコンテンツとしての作品性を評価する「Entertainment Lions」、ゲームの新たな可能性を見いだした「Entertainment Lions for Gaming」音楽業界における優れたコラボ事例や独創性を評価する「Entertainment Lions for Music」、さまざまなスポーツとブランドをつなぐ架け橋となった事例を評価する「Entertainment Lions for Sport」、4つの賞におけるグランプリをご紹介します。
Entertainment Lions
Night Fishing(Hyundai)
若年層の興味関心を得るために韓国の自動車メーカー・Hyundai(ヒョンデ)が公開した劇場作品“Night Fishing”が、エンタメに特化したブランデッドコンテンツの新たな形を実現したとして見事グランプリを獲得しています。この事例は以前PR EDGEでも紹介しているとおり、同社が販売しているEV車・IONIQのプロモーションの一環として制作された13分尺の映画です。
日本でもしばしば取り上げられている“若者の車離れ”から脱却するためにHyundaiが企画したのは、IONIQに搭載された7つのカメラだけで撮影されたショートフィルム。通常であれば自由に動き回れるカメラワークで撮影した方がいい映像になると思われていますが、あえてその真逆を突き詰めることで独特の間合いや緊張感を演出することに成功しています。
完成した映像は実際に映画館でチケットを購入して鑑賞する、まさに本物の映画として公開され、販売価格が1ドルだったにも関わらず同時期に公開されていた他の作品と比べて300%もの売上額を記録。
メディア露出率は脅威の100%、若年層による指名検索率も200%上昇し、ブランド好意度は98%がポジティブなものに。純粋なエンタメ映像作品としての完成度もさることながら、意外性や話題性、本当に映画館で放映してしまうという手法の徹底ぶりが評価に至ったのではないでしょうか。
Entertainment Lions for Gaming
Call of Discounts(Mercado Livre)
南米最大規模の通販プラットフォーム・Mercado Livre (メルカドリブレ) は、日用品から大型家具、食品からニッチすぎる商品まであらゆるジャンルの商品がワンストップで揃えられる大人気ショッピングサイト。
そんなMercado Livreと、2024年10月に発売されて今もなお膨大なプレイヤー数を誇る大人気シューティングゲーム・Call of Duty: Black Ops 6(COD)とコラボした大型キャンペーンがグランプリの座に輝きました。
CODの人気ゲームモードの1つ・Prop Huntは2つのチームに分かれ、片方のチームはマップ内に点在するあらゆる日用品や家具の姿に化け、もう片方のチームは化けた相手チームのメンバーを見つけ出して倒すという、いわばシューティングゲーム版かくれんぼのようなモード。
化けることができる物はなんと420種類にも及び、発売から半年以上経つ2025年6月現在でも多くのプレイヤーが日々プレイしています。その特殊なゲームモードに着目したMercado Livreは、Prop Hunt内に登場する420種類の物はすべて自社のサイトで購入することができる、実在する商品であるということに気がつき、南米を代表するサッカー選手でもありゲーマーとしても知られるネイマールを起用したキャンペーンを企画しました。
キャンペーンの内容としてはネイマールが隠れる側のチームに所属し、一般ユーザーが彼を見つけた上でゲーム内で倒すという参加型のもの。憧れのネイマールと一緒にゲームができるというだけでなく、速く見つけて速く倒したプレイヤーには、“その瞬間ネイマールが化けていたもの”を割引価格で買うことができるクーポンが配られたのです。
国民的なセレブを起用し、直接的なインセンティブを加えることで、多くのゲーマーを巻き込んだ成果が評価され受賞に至ったようです。
Entertainment Lions for Music
Tracking Bad Bunny(Rimas Music)
2024年に行われたアメリカ大統領選挙のトランプ候補(当時)の選挙演説に応援として駆けつけたコメディアン・Tony Hinchcliffe氏が「海のど真ん中にゴミみたいな島が浮いてるのを知っていますか?たしかプエルトリコとかっていう名前なんですけど」という失言をし、中南米にルーツを持つ多くのアメリカ人から強く非難されたことをご存知でしょうか?
ジョークだとしても行き過ぎた侮辱として、一時期アメリカのSNSやニュースで大きく取り上げられたこの失言に対するアンサーとして公開された、プエルトリコ出身の大人気アーティスト・Bad Bunnyが新アルバムに仕込んだ“ある仕掛け”が中心となった企画がグランプリを手にしました。
Spotifyのグローバルアーティストランキング1位を3年連続で獲得している名実ともにプエルトリコを代表するアーティストとして活動するBad Bunny。そんな彼が新たに発売したアルバムをSpotifyで開くと、そこに表示されていたのは曲名ではなく謎の数字と文字の羅列……実はこれはすべて地図上で表示することができる座標で、それぞれが事前に仕込まれたプエルトリコ内の看板やグラフィティと連動していたのです。
この事実に気づいたSNSユーザーはすぐさまGoogle Mapsで曲名を当てるための“バーチャル宝探し”を開始、Bad Bunnyのファンの輪を飛び越えて多くの人を巻き込んだ参加型の施策へと発展していきました。
見つかった曲名は「君をプエルトリコに連れて行こう」や「忘れられないダンス」「故郷に帰ろう」など、その多くはプエルトリコに人を誘致するような直接的な内容でした。
Hinchcliffe氏に“ゴミみたいな島”と称されたプエルトリコの魅力や美しさを詰め込み、能動的に島内を冒険したいと思えた設計が功を成し、結果的には1億8000万人もの人がGoogle Maps上でプエルトリコを訪れ、3000万ものエンゲージメントをオーガニックで獲得、メディア露出においては4000万ドル以上の効果を叩き出しました。
祖国を思う気持ちからGoogleとSpotifyを巻き込み、世界中のファンがプエルトリコという国の美しさに気づくきっかけを作ったことが評価されたのではないでしょうか。
Entertainment Lions for Sport
Haaland Payback Time(Clash of Clans)
PR EDGEでも何度か紹介しているスマートフォン用シミュレーションゲームのClash of Clans(クラッシュ・オブ・クラン)は、誕生から13年経つ今もなお根強い人気を誇る大人気コンテンツです。
そんなClash of Clansの熱烈なファンであることを公言しているのが、イングランド生まれノルウェー育ちのサッカー選手アーリング・ハーランド。10歳の頃から遊び始めて今もなおプレイを続けている彼は、フォワードとしての類稀なる才能を発揮することで世界中のサッカーファンから人気を集めていますが、同時に彼の対戦相手のチームのファンからはひどく憎まれています。
そんなハーランド選手を起用したClash of Clansの大規模なコラボキャンペーンがグランプリを獲得しました。
同ゲーム初となる実在する人物をキャラクター化し、ハーランド選手が10年以上かけて作り込んできた彼の城を一般ユーザー向けの攻略対象として公開。
ハーランド選手が活躍すればするほど相手チームのファンの怒りのボルテージは上がっていき、ゲーム内で彼に直接“復讐”できるようにしたのです。サッカーでは負けてもClash of Clansでは負けない……そんなファン心理を突くことでとてつもない量の話題を生み出しました。
OOHやサイネージ、Web広告や新聞広告でもハーランド選手の活躍に応じてレスポンシブなメッセージングを徹底することで、Clash of Clansユーザーとサッカーファンを繋げることに成功したこの施策。
なんと3400万人もの人がハーランド選手の城を襲い、アクティブユーザー数は150%も増加。単純なスポーツ選手タイアップに留まることのない緻密な設計と“スポンサーする選手のアンチ”を対象とした大胆なターゲティングが評価されたようです。
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