資生堂クリエイティブ、色覚多様性に着目した「MY COLOR MY BEAUTY」を発表
資生堂クリエイティブ株式会社は、色覚多様性(※1)に着目し、「SHISEIDO Universal Beauty Design(R)」プロジェクトチームの一環として、ビューティーの世界における見え方のちがいを体感できるメイクアップ「MY COLOR MY BEAUTY」を提案しました。
本プロジェクトは流行やマジョリティの好みを反映した市場のカラーメイクアップは全ての生活者に「美しい」と思って受け入れられているのかという観点で「美を疑え」というテーマに基づき、色覚の違いによって生まれる新たな美を探求し、ビューティーの多様性を表現する取り組みです。
色覚多様性の理解を深める表現を共同開発
本施策「MY COLOR MY BEAUTY」は、色弱模擬フィルター「バリアントール(※2)」を使用して色覚マイノリティの視覚を再現し、一般色覚者と呼ばれるC型色覚をもつ方が異なる視点で色を体感できるメイクアップキットとビジュアルの制作に挑戦したプロジェクトです。
今回の取り組みには、色覚マイノリティかつ視覚障がい(弱視※3)を持つ畝本彩美(あぜもとあやみ)さんが共創パートナーとして参加。畝本さんは、メイクアップ商品選定やビジュアル制作のディレクションに深く関わり、色覚マイノリティの世界観を株式会社資生堂ビューティークリエイションセンターのメイクアップアーティストたちと共に表現しました。
「MY COLOR MY BEAUTY」の制作プロセス
本施策では畝本さんが「美しい」と感じる色を選び出し、その色を基にメイクアップキットを開発。選ばれた色は畝本さんの色覚で見た際の見え方と、色覚マジョリティとされるC型色覚者が見た際の見え方を対比させる形でビジュアルに表現されたことで、色覚の違いによって感じられる美しさの多様性を明確に示しています。
さらに、畝本さんは「MY COLOR MY BEAUTY」ビジュアルの制作時、メイクアップモデルの撮影ディレクションにも参加。撮影は「バリアントール」を使用してC型色覚者であるスタッフが畝本さんの色覚に近づけた状態で行われ、彼女が見ている色の世界を再現して新たなビューティー表現を共に完成させました。
色覚多様性に基づく新たな美の創造
本プロジェクトは色覚の違いによってもたらされる新たな美しさを探求し、全ての人が「美」を享受できるようにするための試み。資生堂クリエイティブは色覚マイノリティや視覚障がいを持つ人々との共創を通じて、「美を疑え」をテーマに新たな「色覚多様性を体感できるメイク」を提案しました。
同社は2025年初頭に「MY COLOR MY BEAUTY」を含む一連の活動を一般公開する予定。本公開を通じてマイノリティの視覚世界をより多くの人々が体感し、色覚多様性への理解がさらに広がることが期待されます。
色覚多様性を体感できるメイクを提案する本施策は、同社の社会における多様性を尊重する姿勢を示すもの。視覚的な違いが美に与える影響を探り、新たな価値を創造するこの取り組みは、企業が持つ社会的責任を美の領域で具現化する一例として、多くの人々に感銘を与えるものではないでしょうか。
※1:網膜が光を受けた際に色を感じる錐体細胞は3種類ありますが、遺伝等の先天的または事故などの後天的な要因により、錐体の数が少ないために色の捉え方が違う方々が一定数存在します。最も割合の多い色覚型は「C型色覚」で、色覚マイノリティである「P型色覚」および「D型色覚」をもつ方は、日本では男性約5%・女性約0.2%、欧米では男性約8-10%・女性約0.5%の割合で存在すると言われており、他にA型色覚、T型色覚をもつ方もいます。
※2:一般色覚者と呼ばれるC型色覚をもつ方が、P型色覚やD型色覚の方の見え方を体験するためのカラーユニバーサルデザイン・支援ツール。伊藤光学工業株式会社、豊橋技術科学大学、高知工科大学による産学連携プロジェクトから生まれ、タカラサプライコミュニケーションズ株式会社にて販売中。 https://www.variantor.com/jp/
※3:色弱と弱視は異なります。色弱とは色の識別が一般とは異なること、弱視は眼鏡などで矯正しても十分な視力が得られない状態を指します。
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