アイデアが光る新聞広告事例10選|アナログな手法だからこそできる表現に注目

デジタルサイネージやWEB広告など、技術の進歩と選択肢の広がりによって、デジタル広告が主流となりつつあります。そんな今の日本でも、たびたび話題となる新聞広告。

今回はそんなアナログな手法でありながら、大きなインパクトを残す事例をピックアップしてみました。アイデアが光る新聞広告の10事例をまとめてお届けします。

1.元旦らしいおめでたいビジュアルで黒柳徹子さんが登場、講談社の新聞全面広告

株式会社講談社は、朝日新聞、毎日新聞、讀賣新聞にて2024年元旦新聞広告を実施しました。昨年に国民的ベストセラー『窓ぎわのトットちゃん』のギネス世界記録認定、初のアニメ映画化、そして42年ぶりの続編『続 窓ぎわのトットちゃん』の刊行などで大きな話題を呼んだ黒柳徹子さんを起用しました。

黒柳さんのおなじみのヘアスタイルをアレンジし、鏡餅に見立てたビジュアルが特徴となっています。いつも明るくチャーミングな黒柳さんのイメージとともに、元旦らしい雰囲気が伝わるおめでたいビジュアルに仕上がっています。

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2.続きは明日へ。3日分で完成するPR TIMESの“8面全15段”日経新聞広告

プレスリリース配信サービス「PR TIMES」などを運営する株式会社PR TIMESは、2024年1月24日(水)から26日(金)までの3日連続で、日本経済新聞の全国版朝刊8面に全15段広告を掲載しました。(※株式会社PR TIMESは、「PR EDGE」の運営会社です)

今回掲載された広告は、3日分の3紙面を縦につなげることで完成するクリエイティブとなっています。それぞれの紙面には、2023年に東証グロース市場へ新規上場された企業66社(テクニカル上場は対象外)のうち、PR TIMESを利用している54社(81.8%)の企業の社名が連ねられました。

1日目、2日目と上に重ねていくと文章が成立し、3日目が最上部に積み上げられたとき、完成されたメッセージに加えて、54社分の企業名を含めた全貌が明らかとなる仕掛けです。

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3.「未来空想新聞2041」を紙面とWEBで“こどもの日”に発行

パナソニック株式会社は、株式会社朝日新聞社とともに「未来空想新聞2041製作委員会」を設立。2024年5月5日(日・祝)に、“こどもの日は、未来を考える日。”というメッセージのもと、より良い未来をみんなで空想する「未来空想新聞2041」を新聞紙面とWEB版で発行しました。

3年連続の5月5日刊行となる未来空想新聞では、未来の時をさらに1年進め2041年のくらしを空想しています。紙面に登場する未来を想う人は総勢40人。「人」、「社会」、「地球」にとってより良い未来を空想するため、「文化」、「持続」、「共創」、「幸福」、「挑戦」、「魅力」の視点で人選されたものです。2041年の空想紙面を通じ、一人でも多くの読者がともに未来を考え語り合うことで、希望に満ちた未来を切り拓くきっかけになることを期待して企画、実施されています。

ブランケット版12ページフルカラーの紙面を、朝日新聞大阪本社版と東京本社版の一部エリアで朝刊広告別刷りとして配布。さらに、これからの未来を担う世代が少しでも明るい未来を空想できるように、Z世代と子育て世代をターゲットに約20万部を配布しました。

また、未来空想新聞の初の試みとして、紙面配布を希望する高校を募り、1校あたり最大1,000部を無償で進呈。未来空想新聞のコンセプトとの親和性が高い全国の70を超える科学館や、大学のキャンパス内にある一部書店・売店などで紙面配布されます。

そして今回、新聞紙面の一部コンテンツには、ARを活用。インスタグラムのARフィルターを使用した新たな試みとして取り入れています。スマートフォンで紙面の二次元コードを読み込むと、コンテンツの世界をより詳しく知ることができます。デジタルの仕掛けにより新聞紙面の楽しみ方を拡張する体験など、新しい発見を通じワクワクしながら未来を空想する仕掛けが施されました。

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4.産経新聞朝刊に特別ラッピング 国際女性デー記念 変化するメッセージに注目!

産経新聞社は、女性の心と体のケアを考える「フェムケアプロジェクト」に伴う企画として、国際女性デーを記念した特別仕様のラッピング紙面を2024年3月8日(金)の産経新聞朝刊に掲載しました。

国際女性デーのシンボルフラワー「ミモザ」に合わせて普段は青色の1面題字を黄色に変更したほか、新聞を見開いた際のインパクトを生かし、内側に折り合わせることでメッセージが変化する仕掛けも施しました。

見開き表面では、女性の不調に寄り添う難しさに戸惑う男性と、不調を気にかけ声をかけてくれたことに嬉しさをにじませる女性が背を向けていますが、印刷された点線に沿って折り合わせると、男女が向き合って「ぜんぶは、わからなくていいかもね。あなたと私はちがうから」という新たなキャッチコピーが現れます。

女性の社会進出が進み、男性の育児休暇取得率も年々増加傾向にあるとはいえ、まだまだ越えられないジェンダーギャップが横たわる社会の中、全部は分からなくてもまずはお互いを知ろうとすることが「やさしさ」の一歩であることを伝えています。

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5.『東京卍リベンジャーズ』最終巻を記念した、“運命をひっくり返す”新聞広告

累計7,000万部を突破し、アニメや映画、ゲームなどへの展開を見せたタイムリープサスペンス漫画『東京卍リベンジャーズ』。その最終巻である31巻の発売を記念して、講談社は2023年1月17日(火)に朝日新聞朝刊に、エリアごとに異なる7パターンの広告を掲載しました。「運命をひっくり返す」というコンセプトで掲載された本広告は、キャラクターもコピーも上下逆さまに描かれ、見る方向によって結末が変わるようになっています。

主人公の花垣武道は、大阪、兵庫、京都、滋賀、奈良、和歌山エリアに。無敵のマイキーこと佐野万次郎は、東京、神奈川、埼玉、茨城、栃木、群馬、千葉、静岡、沖縄(一部)に掲載となりました。タイムリープでこれまで何度も運命を変えてきた作品らしく、結末を自分の手で決められる仕掛けとなっています。

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6. 書体に着目!“長野県には、長所しかない。”という想いを「長体新聞」で表現

 

信濃毎日新聞は、2023年7月5日(水)に創刊150周年を迎えました。これを記念して、“長野県には、長所しかない。”というメッセージを発信する企画「長所県長野県~素晴らしき日々のそばに~ 」プロジェクトを開始しました。

第一弾は、「長体新聞」の広告を150周年の節目を迎える7月5日(水)に展開。これは、今回のテーマに共通する「長い」という言葉から連想し、縦に長く伸ばした長体文字を使用したものです。また、創刊150周年にちなんで、同日より長野県の長所150選を信濃毎日新聞のTwitterアカウントにて継続的に発信。

これまで県民の一番近くで情報を届けてきた信濃毎日新聞。150年間の感謝と県民の郷土愛醸成のため、インパクトのあるユニークなアイデアで、長野県の知られざる魅力を県内外に広く発信するものとなりました。新聞紙面を回転させて視点を物理的に変えさせる、新聞広告だからこそできる施策となっています。

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7.子育て家庭から朝のバタバタを“すこし楽にする”ヒントを集めて一面公開!

大塚製薬株式会社は、飲むバランス栄養食「カロリーメイト リキッド」を通じて、子どもがいる家庭を中心に忙しい朝を過ごされる方々に向けた新しい特設サイトを2023年5月8日(月)より公開しました。

忙しい朝を“すこし楽にする”ひと工夫を「MORNING HINTS」として紹介しています。また、5月19日(金)から3日間にわたり、MORNING HINTSを活用した学び型朝食ビュッフェ「MORNING HINTS ビュッフェ」をリアル開催。とくに忙しい朝を過ごす、子どもを持つ家庭のみなさまに向けたエールとして企画実施されたものです。

さらに、5月8日(月)の読売新聞朝刊では、忙しくバタバタしている朝の様子を視覚化したビジュアルをアイランド広告、15段の2面にて掲出。アイランド広告に掲載するビジュアルでは、子どもが幸せそうに食パンを頬張る姿を映し出していますが、ページをめくると、子どもの周囲で繰り広げられている朝のバタバタを映し出したビジュアルが登場。ユニークな仕掛けで、ある家族の朝の1シーンを映し出しています。

紙面には、トースターから飛び出してしまうパンや赤ちゃんのミルクの準備に追われるお母さん、高い棚からお皿を取ろうと手を伸ばすもお皿が飛び出してしまい慌てるお父さん、ヒーローごっこに夢中で机の牛乳をこぼしてしまう息子、赤ちゃんが散らかし風に舞うティッシュ、時計を見ればもうすでに7時…そんなくすっとする場面を表現しながら、共感ができ、子どものことを考え奔走する姿にぐっとくる新聞広告となりました。

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8.表からは見られない企業活動を、新聞の表と裏で巧妙に表現した広告

株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、パーパス「世界が進むチカラになる。」の実現に向けて、社会、お客さまをはじめとするすべてのステークホルダーの課題に徹底的に向き合い、その解決に取り組んでいます。

その一環として、2023年3月29日(水)に読売新聞朝刊をジャックし、全10種類のグラフィック広告を掲載しました。

今回の新聞広告では、「企業を、社会を、支えつづける。」をテーマに、自動車や建設業界をはじめ、多種多様な業種ごとに、それぞれ異なるグラフィックとコピーで、サステナブルな社会をめざす企業のパートナーとして支えている取り組みを表現しています。

今回の新聞広告は、小枠広告を使って、交通、食品、船舶、旅行、自動車、建設、半導体、不動産、乳製品、自治体の全10業種をイメージしたグラフィック広告を掲出し紙面をジャックしたもの。この広告は一部がめくれたデザインになっていて、あらゆる業種の裏側から、MUFGがカーボンニュートラルな社会に向けてサステナブルな活動を支援しているというメッセージを込められています。

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9.あえて否定的なコピーを全面に、ふるさと納税制度の意義を問いかける

国内最大級のふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を企画・運営する株式会社トラストバンク。年間で最もふるさと納税への関心が高まる年末の2023年12月26日(火)に、ふるさと納税制度の意義をあらためて問いかける新CMを公開しました。

同時に、X(旧Twitter)などのSNSにて、ハッシュタグ「#ふるさと納税を考えよう」を通じて、広くふるさと納税制度に関する意見や想いを募るキャンペーンも実施。あわせて、一面広告を、26日朝刊の日本経済新聞に掲載しました。

2008年から始まったふるさと納税は、2023年で16年目を迎えました。寄付締め切りの大みそかに向けてふるさと納税への関心が最高潮となるこの年末に、ふるさとチョイスは「一度立ち止まり、この制度の意義を社会全体で考えたい」という想いから、CMを制作したといいます。

2012年に立ち上がった日本で初めてのふるさと納税ポータルサイトである、ふるさとチョイスによる「ふるさと納税をやめよう」と発信する大胆な逆張り施策となりました。

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10.新聞広告を通してライバル同士が讃えあう「#2022年を愛の年に🤝」プロジェクト

朝日新聞社は、 2022年10月20日(木)の「新聞広告の日」の朝日新聞朝刊に、エンタメ、スポーツ、漫画業界でライバルとも言える他者同士が、新聞広告を通して讃えあうプロジェクト「#2022年を愛の年に🤝」を掲載。日常生活に悩みや不安を感じる人が77.6%を超え過去最高を記録するなど、議論や分断が多く生まれた2022年を愛の年にすべく、プロジェクトを展開しました。

内閣府が2022年1月に公表した「国民生活に関する世論調査」によると、日常生活での悩みや不安について「感じている」「どちらかと言えば感じている」と回答した人は77.6%に上り、過去最高を記録。

前回の調査実施は新型コロナウイルス禍以前の2019年度で、その時の63.2%から大きく増加しました。さらに調査実施後も、歴史的猛暑が記録される中でのマスク生活が続いたり、止まらない値上げラッシュが家計を苦しめたりするなど、2022年は生活者の悩みや不安を増幅させる出来事が多く続きました。

そのような社会的背景を受け、新聞広告の日プロジェクト「#2022年を愛の年に🤝」では、少しでもポジティブな機運を醸成すべく、エンタメ、スポーツ、漫画業界でライバルとも言える他社同士が、ひとつの紙面で互いに讃えあう機会をつくりました。

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アイデアが光る新聞広告10事例

日本新聞協会が発表した2023年10月時点の新聞発行部数は2859万部。1年前に比べて225万部減少しています。また、新聞発行のピークは1997年で、その時の総発行部数は5376万部。25年あまりの間に2500万部余りが減少してしまいました(※1)。

読まれる数が減ることで、広告掲載の価値の低下も懸念されますが、新聞ならではの特性を活かしたアイデア満載の広告掲載は話題作りにまだまだ貢献しています。SNSの普及もあり、新聞広告という平面の中に盛り込む仕掛けは写真などの拡散によって大きなエネルギーを持つ事例も増えています。

また、他媒体との組み合わせなどの工夫での相乗効果を見据えた施策もあり、まだまだ活用が期待できる媒体といえそうです。

・※1参照元:新聞の発行部数と世帯数の推移(日本新聞協会)

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