「ルノーではない、レノルだ」ルノーが自らブランドの発音を変えた意図とは?

グローバルなビジネスの世界において、進出先の国や地域の人に受け入れてもらうためのブランディングを行うことは避けては通れない課題と言えるでしょう。本国のブランディングを貫き通す会社もあれば、現地の人々に受け入れられやすい形にローカライズを行う会社まで、絶対的な正解がない領域だからこそ、その手段は数多く存在します。そんな中、フランスに本社を構える大手自動車メーカーのルノーは、南米コロンビアに進出してから今年で50周年を迎えました。50年もの長い時間をかけてコロンビア人に愛されてきたルノーがこの大きな節目を祝うために公開した動画は、どこまでも現地の人々に寄り添った内容でした。

複数のフランス人が登場する動画は、いずれのシーンにおいてもなぜか“ルノー”を“レノル”と発音しています。空港で友人を迎えに来た男性も、はじめて家族から車をもらった少女も、結婚式を挙げたばかりのカップルも、本来フランス語では“ルノー”と発音するはずの場面で、皆口を揃えて“レノル”と言っているのです。

動画の後半で明かされるその理由は、スペイン語では“ルノー”は“レノル”という発音になるから、という内容。現地の人の言葉で自社のブランドを言い換えるということは誰もができるような判断ではなく、一定の勇気と進出先の国の人々のことを思ってはじめて実現できる広告表現ではないでしょうか。スペイン語が公用語の国において50周年という大きな節目を迎えたフランスの会社ならではのアプローチで、これからもコロンビアの人々とともに未来を描いていきたいと宣言した事例でした。

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