USJがドレスコードの一部改訂や新たな社内規定・制度の導入をする目的とは?
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)が、従業員ひとりひとりが「自分たちに限界を設けず、 昨日の自分を超えて、それぞれの個性や視点を発揮できる職場づくり」を目的として、今年の9月から従業員のドレスコードを一部改訂。さらに加えて、今夏には「同性パートナーシップ制度」「サポート休暇制度」「出生支援休職制度」といった新たな制度を導入しました。
新しいドレスコードは、お客さんや従業員の声などを参考に作られており、親しみやすさや清潔感のある印象を前提に、男女で異なっていたルールを統一した上で、メイクや髪色において従業員それぞれの自己表現をより自由に行えるように一部緩和されました。(※国籍や宗教などの文化的な背景の観点から「ボディピアス」や「タトゥー」は衣装に隠れる場所に限り。)
新制度の概要
「同性パートナーシップ制度」
事実婚や自治体等の同性パートナーシップ証明を受けたものも対象者とし、慶弔見舞金などの授与が可能に。また、社内ではLGBTQ+へのアライ(支援)表明を意味するステッカーやバーチャル壁紙を配布し、LGBTアライの意思を可視化することで、より一層お互いを尊重しあえる職場環境の醸成に努めてまいります。
「サポート休暇制度」
けが・病気に加え、介護・看護やボランティアでも休暇取得が可能に。
「出生支援休職制度」
不妊治療を目的とした休職取得が可能に。
今回は、個人の人種、民族、性別、性的指向、性の同一性や表現、宗教、年齢、婚姻状況、国籍、祖先、妊娠または出産、病状、身体的または精神的障害、または法律で保護されている特性または状態に関わらず、従業員それぞれの多様性を尊重した職場づくりを行なっている、USJの人材開発担当者にお話をお伺いしました。
今年の夏から新たな制度として「同性パートナーシップ制度」「不妊治療休暇制度」「出生支援休職制度」を導入し、さらに9月からはパーク内で働く従業員のドレスコードの一部を改訂した、その経緯や目的を教えてください。
USJを運営する弊社では、 常にゲストの期待を超え、心の底から超興奮・超感動 できる “NO LIMIT!” な エンターテインメントを生み出すことで世界中を超元気にすることを目指しています。 そのため、お互いを尊重し、従業員それぞれの固有の視点や個性をNO LIMIT!(限界を設けず)に発揮できる職場づくりを重視して、この夏に新しい人事制度の導入や就業ルールの緩和を行いました。今後もさらにDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の観点から取り組みを行っていきます。
これまでに従業員から、これらの制度の導入や身だしなみの規定を緩和してほしいといった要望があったのでしょうか。
特にクルーから具体的な要望があり、それに応えたわけではございません。かねてよりゲストおひとりおひとりに対しまして、積極的にお声がけをさせていただくサービススタイルを推奨しておりました。そのため、クルーひとりひとりの個性がNO LIMIT!(枠にとらわれず)に発揮できる職場環境を推進しており、多様性を重視する制度をクルーの意見も聞きながら作り上げてまいりました。今年は特にメディアなどでも多様性に関するニュースが大きく取り上げられていますので、エンターテインメント企業であるわが社でもぜひ推進すべきで、クルーたちからの支持も得られると考えました。
USJは従業員それぞれの固有の視点や個性を発揮できる職場づくりを目指しているとのことですが、これらの新たな制度や取り組みに対して、従業員やその家族、お客さんなど世間からの反応はいかがですか。
インターネットで数多く報じられたこともあり、その反応を注意深くみてきましたが、おおむね好意的に受け入れられています。クルーたちは現代のエンターテインメント企業として当然のことだととらえてくれているようです。ゲストからは「清潔感があれば、容姿の自由がある程度認められることには大賛成です。こういうことをUSJで取り入れるのは嬉しく、さすがです。」などの賛同コメントを多数いただきました。
従業員それぞれの固有の視点や個性を発揮できる環境にすることで、どのような効果が得られるとお考えでしょうか。
私たち従業員が固有の視点や個性を発揮できる環境を整備することにより、従業員ひとりひとりが自身の能力を最大限発揮できることにつながり、ワールドクラスのエンターテインメントを実現する上で必要なことだと考えています。また、ひとりひとりが自身の能力を発揮しながら業務に従事することは、仕事へのやりがいや達成感を感じやすくなり、モチベーション向上も期待しています。
近年、人種、年齢、性別など多様性に対する社会の考え方が大きく変わりつつありますが、USJとしては多様性についてどのようにお考えですか。
USJでは、日々多様なゲストのみなさまをお迎えし、超興奮・超感動のエンターテインメントを通じて、ゲストのすべてのみなさまひとりひとりに超元気になっていただきたいと思っています。そのためには、私たち自身が多種多様であることは重要で、その重要性を理解し、尊重することにより、だれもが超元気になれるエンターテインメントを生み出せると考えています。よって、「多様性」は私たちに求められているものであり、私たち自身の成長につながる重要な要素と捉えています。
今後も従業員ひとりひとりの多様性を発揮できるような職場にするための制度や施策を積極的に導入していくのでしょうか。
積極的に導入していきたいと考えています。先日、大阪市が実施する「大阪市LGBTリーディングカンパニー」認証における最高評価の三つ星認証を獲得しました。弊社の取り組みもまだまだ道の途上ですが、今後も地域社会のみなさまとの連携も深めながら、取り組んでまいりたいと思っています。
最後に一言お願いします。
今後も社内での取り組みはもちろん、社外関係者との対話を通じてさらに連携を深め、多様性を尊重しあえる社会づくりへ貢献していきたいと考えています。
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