ライバル製品を宇宙に打ち上げる映像をSNSで配信、米・MillerのPR施策

アメリカの大手ビールメーカーMillerは、同国内で昨今人気が急増しているSeltzerという炭酸アルコール飲料の市場には一切参加しないという強い意思を表明するため、競合社のSeltzer製品をロケットで宇宙に打ち上げる様子を映像配信するSNS施策を公開しました。

 

Seltzerとはサトウキビを原料とするアルコールと炭酸水で作られたフルーツフレーバーが主体の飲料のこと。大半の商品がグルテンフリーかつ低カロリーであるため、健康志向の若年層を中心に需要が爆発し近年各飲料メーカーがこぞって新ブランドを開発、発売しています。

ティザーとして公開された動画では、宇宙ステーションらしき場所でカメラに向かって語りかける男性の姿が。「真のビールメーカーMillerがSeltzerをローンチすることが正式に決まったよ。最初は僕も全然意味がわからなかった。だって僕らはビールを作るのが仕事で、ビール作りの全てを愛しているわけだろう? でも競合他社がこぞってSeltzerに魂を売りはじめて、気付いたらMillerも同じようにローンチしなければいけないというとてつもないプレッシャーが生まれてしまったんだ」と説明する男性。

「だから胸を張って発表しよう。MillerもSeltzerをローンチする……宇宙にね」と続ける男性。ローンチという単語が持つ「発売する」と「発射する」という意味があり、実はMillerがSeltzerを発売するわけではなくビールブランドにとって煩わしい存在でもあるSeltzerを宇宙に打ち上げてしまおうということが施策の真意だったことが分かります。

「どこのメーカーのSeltzerをローンチするかはまだ決めていないけれど、まあ確実に僕らの商品ではないだろうね。太陽に向けて打ち上げるか、ブラックホールに向けて打ち上げるか……別に活動中の火山の火口に向けて発射してもいいんだけどね。まだ詳細は何も決めていないんだ」と半笑いを浮かべながら語り続ける男性。気付けば片手にはモザイクがかけられた他社製のSeltzerが抱えられています。

「正直どうでもいいんだ。僕たちはSeltzerなんか作りたくもなければ、誰かに飲んでほしいとも思っていないし、存在すら認めたくない。だから5月13日にTwitterをチェックしておいて、実際に発射する様子をライブで配信するから!」と、ロケットの中にSeltzerを投げ込みながら男性は告知をします。

そして、前述の通り、実際にロケットの発射までの一部始終がTwitter上で公開。緊張した面持ちでカウントダウンタイマーを見つめる職員たちの様子と、淡々と準備が進められていくSeltzerが積まれたロケット。タイマーがゼロになった瞬間、大きな爆発音とともにロケットは大きく傾き、そのまま倒れてしまいます。

管制室には一瞬沈黙が流れ、職員たちがお互いを見つめ合います。失敗に終わり落胆しているのかと思いきや、次の瞬間には部屋中に歓声が響き渡り、もはやSeltzerという目の敵を排除できるのであれば宇宙に打ち上げなくても、爆発さえしてしまえばいいと言わんばかりに喜ぶ職員たち。

いままでも、そしてこれからもビール作りに一筋でありたいという想いが込められた”Unapologetically Beer(謝るつもりすらない、純粋なビール)”というキャッチコピーで動画は終わります。Millerの硬派な企業姿勢が分かる、このユニークなブランディング施策となりました。

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https://predge.jp/search/post?genre=25

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