「自分の“肉声”でつくる合成音声」米ALS協会のディープラーニング技術を応用した支援プロジェクト

Case: Project Revoice

アメリカのNGO、The ALS AssociationによるALS(筋萎縮性側索硬化症)患者を支援するプロジェクトをご紹介。

全身の筋肉が萎縮していくALSの症状によって自力での発声ができなくなった患者のために、かつて会話できていたころに録音された音声を合成するシステムを開発。「自分の声」で会話ができるようにしようという取り組みです。企画名はその名も「Project Revoice」。

提唱者のPatt Quinn氏は、話題となった「アイスバケツチャレンジ」の仕掛け人でした。この活動の3年後、彼は自らの声をALSで失います。

「Project Revoice」では、まだ会話が可能だった時期に収録された本人の肉声をパーツ化。これをプログラム上でつなぎあわせることによって、会話文を作り出します。

ディープラーニング技術を応用してさまざまな人々の発声パターンを学習し、自然な会話として遜色のない音声を出力できるようになりました。

システムお披露目の日。親族たちが見守るなか、Quinn氏はアイトラッキング(視線検出)で文字を指し示しながら「会話」をはじめます。

「もうコンピューター・ボイスでしゃべるのは終わりだ」発せられるのは、まぎれもないQuinn氏本人の声。

「最初聴いたときに、何が起きているか理解できないかもしれない。でも次には理解できるはずだ。自分の声を出せるということが、どれほど心強く、魅力的か」と語ります。

その場にいる人からは、「誰が“かわいそう”だって? そんな気持ちすら湧いてくるんだ」涙と歓声が、部屋のなかを埋め尽くします。

この試みは、メディア露出により8.5億以上のリーチ、4,100万人以上の話題に上ることに。さらには毎週100人以上のALS患者たちがこのプロジェクトに参加しているといいます。

「多くのALS患者に、声を取り戻してあげたい」というQuinn氏の願いから立ち上げられた「Project Revoice」。自身もやがてその“当事者”として、自ら作った仕組みに助けられることに── 感動的なドラマの一部始終を収めたこの動画は、未来への大きなムーブメントを生み出すこととなりました。

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