1人で抱え込まないで 性被害のホットラインを訴求した政府の啓蒙動画
Central Statistics Officeが実施した2022年度の調査において、女性の52%が人生を通じて1度は性暴力の被害に遭ったことがあるというデータや、18歳から24歳までの若年層でさえも22%が性暴力の被害者になってしまったことがあるという残酷な結果が出ているアイルランド(編集部注:Central Statistics Officeは、アイルランドの中央統計局)。
本来は1%もあってはいけないこの数字を少しでも下げるためにさまざまな企業やNPOが支援活動を行っており、女性だけでなく男性も対象とした包括的なケアに国家として取り組んでいるようです。そんななか、アイルランド政府は性暴力ホットラインの認知度を向上させることを目的とした全国規模のTV CMを公開しました。
“You’re Not Alone(あなたは独りではない)”という動画の主役を務めるのは、性暴力の被害に遭ってしまった1人の女性。「あの瞬間から何秒、何分、何時間経ったのかをずっと数えている……それなのに時間はまるで止まったかのよう。誰にも言えないから、誰からもほしい言葉をかけてもらえない。でも、心の準備ができたからこそ、私は自分の人生をもう1度自分のものにできる」というナレーションとともに、心を開くことができずにいた女性の葛藤と苦悩を紹介しています。映像的な描写は、モヤがかかっているだけの曖昧なものではありますが、ナレーションの言葉は重すぎるほどの生々しさをまとっていることが伝わってきます。
性暴力の撲滅という本質的な課題の解決は目指しつつ、被害が発生してしまったときのアフターケアの重要性をオブラートに包むことなく表現することで、1人でも多くの人が心を開くことができる社会になってほしい……そんな想いがうかがえる事例でした。
その他のCSR事例についてはこちら
https://predge.jp/search/post?genre=28
会員登録、メルマガの受信設定はこちら
https://predge.jp/
記事をブックマークする
記事をブックマーク済み
0
