「60年前のユニットバスを探せ」 風呂文化遺産キャンペーンとは?

日ポリ化工株式会社は、1964年に誕生したオールFRP製ポータブルユニットバス「2号機」を“風呂文化遺産”として位置づけ、現存する実物を探し出し買い取るキャンペーンを開始しました。

関西圏の主要駅で掲出されるOOH広告では「60年前の風呂、探しています」というコピーとともに情報提供を呼びかけています。阪急梅田駅や近鉄沿線の駅構内・バス停といった生活導線での展開により、幅広い世代に向けて話題化を狙う構成です。


阪急関大前駅

ユニットバスが示した生活革新

ユニットバスがまだ一般化していなかった1960年代、同社は「日本中の家に、あたたかいお風呂を届けたい」という想いのもと、既存の住宅事情を問わず設置できる“持ち運べるお風呂”の開発に挑戦しました。

素材には新時代のFRPを採用し、洗い場付きポータブルユニットバスとして完成したのが「2号機」です。銭湯中心だった暮らしに家庭での入浴習慣を浸透させるきっかけとなり、日本の戦後復興期における生活の質を大きく変えた発明といえます。


阪急梅田駅地下

情報提供と報酬設計による参加促進

本施策は単なる広告告知に留まらず、実際に「2号機」を探し出す参加型のプロジェクトとして行われます。1964年製ユニットバスを所有する、または所在を知る人からの情報を公式サイトで募り、現物確認ができた場合には当時の販売価格を現代価値に換算した60万円で買い取ります。

さらに情報提供者にも記念品が贈呈されるなど、参加意欲を高める設計が施されています。プロモーションムービーの公開と合わせ、オンライン・オフライン双方で情報を募りました。

ブランドヒストリーを活用した広告手法

今回のキャンペーンは「過去の製品を探す」というユニークなアプローチから、ブランドの歴史的価値を再認識させる狙いが見えます。

製品の保存・買い取り自体は文化財的活動ですが、その呼びかけをOOH広告で展開することで、広告を目にする人々に「ユニットバスの始まり」という新鮮な驚きを与えています。同時に、2025年に開設されたショールーム「BATHVERSE」での展示とも連動し、過去と未来をつなぐストーリーテリングを強調しています。

過去資産を活かし未来を描く施策

ユニットバスは日常的な存在ですが、その源流を知る人は多くありません。「60年前の風呂を探せ」という呼びかけを通じ、消費者参加を促すと同時に、ブランドの歴史的価値を再発見させます。

レトロな文脈と現代的な報酬設計を組み合わせることで話題性と参加意欲を引き出し、さらにOOHとデジタルを連動させることで認知の広がりを設計。単なる懐古に留まらず、「新しい風呂文化を創る」という企業ビジョンを未来へつなぎます。

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