ご当地をフックに認知獲得からファン作りへ 10の施策例まとめ

「自分ごと化」による共感の獲得が、広報・PRの最重要課題とされる現代。とくに自分が住んでいる地域や出身の地元というのは、その土地に縁のある人にしかわからないあるあるネタも多く、そこに寄り添った商品やサービス作りが活発化しているようです。

そこで今回は、2024年から直近までPR EDGEでとりあげた「ご当地」を切り口にした施策を振り返って、10事例まとめてお届けします。

1. ファン投票で全国販売の座を競う!ビアードパパ“ご当地シュークリーム”総選挙

店内でシューを焼き上げ、注文を受けてからクリームを詰める実演販売方式のシュークリームチェーン店「ビアードパパ」。作り立ての美味しさへのこだわりに加えて、趣向をこらした期間限定メニューが毎月登場する楽しさも人気の理由です。

そんなビアードパパが、全国発売するシュークリームをファン投票で選ぶ「ビアードパパご当地シューファン投票」を実施しました。候補となるシュークリームは全8種類。これまでに限定メニューとして登場したものだといいます。

全国で発売した期間ないし店舗限定商品から選ばれていますが、JR仙台駅店限定の「ずんだシュー」はご当地シュークリームとして現在も販売されているようです。

投票は、特設サイトと、X公式アカウントを連携させて実施。サイトで食べたいシュークリームを選び、投票するとXの投稿画面に遷移。そこには投票完了を報告する旨の投稿テキストなどが自動でセットされています。サイトでの投票とXへの投稿を終えると、1票を投じたことになるようです。

2025年5月12日(月)から31日(土)の期間中、Xのアカウントにつき、1日1回、最大20回行われた投票は、6月5日(木)に結果発表ののち、2026年1月に全国販売される予定です。

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2. 集める楽しさ×ご当地の魅力が融合! ビックリマンチョコから初の47都道府県シールが登場

株式会社ロッテは、2025年9月2日(火)から、「ご当地」をテーマにしたビックリマンチョコの新シリーズ「ご当地ビックリマンチョコ<東日本編>」と「ご当地ビックリマンチョコ<西日本編>」を同時発売しました。

同商品は、1980年代後半に爆発的ブームを生み出した、悪魔VS天使シリーズの40周年記念商品として発売されたもの。サクサクのウエハースチョコに付属するのは、47都道府県をモチーフにしたビックリマンキャラクターのシールで、「ご当地」をテーマにした商品展開はビックリマン史上初めてだといいます。

シールのデザインには、各都道府県の個性が際立つテーマカラーやキャラクターを選定。その地域の特徴をあらわすモチーフも取り入れられています。

<東日本編>に登場する愛知県のシールには、ビックリマンのキャラ「ヘラクライスト」と名古屋城のシャチホコを組み合わせた「シャチホコクライスト」が登場。おなじみのキャラクターと地域のシンボルとの掛け合わせがユニークなデザインとなっています。

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3. 撫子ちゃんが沖縄ジャック! 地元密着で魅せるご当地メディア展開施策

株式会社石澤研究所は、毛穴ケアブランド「毛穴撫子」の数量限定商品「毛穴撫子 沖縄シークヮーサーの重曹泡洗顔」の発売にあわせ、沖縄県内で大規模なメディア展開を実施。ブランドキャラクター「撫子ちゃん」がテレビ・ラジオ・交通広告・街頭ビジョン・Webなどに登場し、地域全体を巻き込んだ“沖縄ジャック”で認知拡大を図りました。

ブランド初になるというテレビCMでは、毛穴悩みに共感を呼ぶ“毛穴あるある”を耳に残る音楽とともに表現。沖縄限定で2種類を放送し、一部インターネット媒体でも配信されました。

あわせて、全国でもトップクラスのラジオ聴取率を誇る沖縄県ならではの施策として、ラジオCM「毛穴撫子ソング編」と「DJ角栓つめ太郎編」を放送し、耳からもブランドを印象づけました。

沖縄唯一のモノレール「ゆいレール」では、1編成の車内広告を“撫子ちゃんのお部屋”にアレンジ。クローゼットにはお気に入りのお洋服、沖縄の思い出写真に、漫画好きの撫子ちゃんが自作した原稿まで……。乗客が移動中にブランドの世界観を体験できます。

さらに、観光名所「国際通り」では全長約1.6kmに設置された98台のデジタルビジョンが連動し、撫子ちゃん映像を一斉放映。約10分ごとに訪れるこの演出は、観光客や地元住民の目を引くものとなりました。

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4. 岡山カレータクシーがご当地カレーのパッケージに!岡山の魅力を全国に発信

両備グループのタクシー事業を運営する岡山交通株式会社は、地域の観光や食文化を全国に発信する取り組みとして、岡山カレータクシーをモチーフにしたレトルトカレー「岡山カレータクシー プレミアムあいがけカレー」を2024年11月2日(土)より販売開始。

本商品は岡山県のカレー店「MARS LAB」を営業するMARS Japan株式会社との共同開発により、地元の食材とタクシー型パッケージを活用し、視覚と味覚で岡山の魅力を伝える施策です。

「岡山カレータクシー プレミアムあいがけカレー」は通常のレトルトカレーと差別化を図るため、岡山交通のシンボルである「岡山カレータクシー」をモチーフにした独特のタクシー型パッケージを採用。

同パッケージは岡山交通タクシーのデザインを忠実に用いて、視覚的なインパクトを高めているのが特徴的です。一般的なレトルトカレーにはない特別感があり、ギフトやお土産としても人気を集めることが期待されます。

このような地元に馴染みのある独自のパッケージデザインは、岡山の観光資源としての「カレータクシー」を全国に広め、地域の知名度向上にも貢献しそうです。

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5. 職人の「うどん愛」と「地域愛」がたっぷり! 丸亀製麺のご当地うどん企画とは

讃岐うどん専門店・丸亀製麺は、2024年11月1日(金)より、47都道府県オリジナルの「釜揚げうどん」を提供する、「わがまち釜揚げうどん47」を開催。各地域でしか味わうことのできない、47種類のつけ汁を開発し、数量・期間限定で販売しました。

47種類のつけ汁は、全国の丸亀製麺で働く麺職人からの公募をもとに考案されました。麺職人は、丸亀製麺のこだわりである「打ち立て・生」のうどんをさらに美味しく提供するうどんのプロ。公募には600件以上の応募があり、日々うどん作りに向き合う麺職人のこだわりや感性が詰まったレシピからは、麺職人たちの「うどん愛」が感じられます。

つけ汁には、各地域の食文化が反映されており、秋田県の「きりたんぽつけ汁」や山梨県の「かぼちゃのほうとう風つけ汁」など郷土料理をアレンジしたものや、静岡県の「桜えびと茶葉衣のかき揚げつけ汁」、山口県の「ふぐの天ぷらつけ汁」など、地域の味をうどんで楽しむことができます。

さらに、栃木県の「餃子風肉つけ汁」や、兵庫県の「玉ねぎ天のポタージュつけ汁」など個性的な商品も。工夫の凝らされたレシピからは、店舗に訪れる地元のお客様がわくわくするようなうどんを作りたいという「地域愛」が感じられます。

各都道府県の「わがまち釜揚げうどん」を食べ、スタンプを集めて応募するスマホスタンプラリーも同時開催。地元だけでなく、他の都道府県にも足を運んでもらう機会を作ることで、複数回の来店が期待できる施策です。

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6. 楽しみながら学ぼう!「ご当地牛乳トレカ」で牛乳と地域の魅力を再発見

有限会社山村乳業は、2025年1月より「山村牛乳1L紙パック」に「ご当地牛乳トレカ」を掲載することを発表しました。このトレカは全国の乳業メーカーが一体となって取り組むプロジェクトの一環で、牛乳の消費促進と地域の食文化の魅力を再発見することが目的。今回の山村乳業の参加は牛乳の魅力を広め、業界全体を活性化する取り組みとして注目されています。

「ご当地牛乳トレカ」は、「集める。遊ぶ。ためになる。」をコンセプトに、牛乳パックの広告欄を活用して、トレーディングカードを展開する新しい取り組み。本プロジェクトは全国の乳業メーカーが参加しており、各地域の特産品や文化を紹介するカードが制作されています。山村乳業もこの活動に賛同し、地域に根ざした食文化を伝えると同時に牛乳業界全体の活性化を目指しています。

カードは牛乳の情報や地域の特産品が記載され、消費者は牛乳を楽しみながらその魅力を深く学ぶことができるもの。種類は「ミルクカード」「キャップカード」「フレンドカード」の3種類で、牛乳パックの広告欄に印刷される形で提供されます。

2024年9月からは「淡路島牛乳」(兵庫県)が、10月には「県北搾り」(広島県)、そして2025年1月からは「山村牛乳」(三重県)がトレカに登場し、それぞれの特徴やこだわりが記されているのが特徴的です。

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7. 新聞から47都道府県のご当地ソングが聴ける!「新聞広告の日」にちなんだユニーク施策

日本新聞協会広告委員会は、10月20日(日)の「新聞広告の日」にあたり、「新聞広告統一PRキャンペーン」を実施。「新聞からご当地ソングが聴こえてくる。」をキャンペーンタイトルに、47都道府県の地図に併記された二次元コードから、YouTubeでご当地ソングが聴ける新聞広告を展開しました。

この新聞広告は、世代を超えて会話が広がるよう、各地域の情景を伝えることで新聞広告の魅力向上を目指したもの。2024年10月16日(水)から20日(日)(掲載紙によって異なる)まで、日本新聞協会加盟社が発行する76紙に掲載されました。全国各地の新聞社が推薦したご当地ソングの中から、運営事務局が選んだものが載っているそうです。

「北海道・東北」「関東」「中部・北陸」「近畿」「中国・四国」「九州・沖縄」の6ブロックごと、紙面のカラーは異なるデザインに。地図に併記された二次元コードをスマホで読み取るとYouTubeに遷移し、47都道府県それぞれのご当地ソングを楽しめます。また、キャンペーン特設サイト経由でもご当地ソングを視聴可能です。

さらに、キャンペーンサイトやSNS(X、Instagram、Facebook)では「あなたの好きなご当地ソングとエピソード」を募集する投稿企画も展開。Xでは「神奈川県のご当地ソングといえば箱根八里」「徳島県の進め!すだちくん。帰りたい!と思った時によく聴く」など、各地域のユーザーから多くの声が集まっています。

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8. ゆずファン心理を捉える!ライブ会場13カ所の最寄り駅に“ご当地”広告を掲出

日産自動車株式会社は、2024年10月19日(土)から開始した、アーティスト・ゆずの全国ツアー『YUZU ARENA TOUR 2024-2025 図鑑』に、軽の電気自動車「日産サクラ」を通じて協賛。昨年実施したコラボレーション企画「ゆずサクラ」の第2弾として「愛する街から、愛する街へ。 #ゆずサクラ 2.0」を実施。

ともに横浜にルーツを持つゆずと「日産サクラ」は、2023年に開業した音楽アリーナ「Kアリーナ横浜」のこけら落とし公演で「#ゆずサクラ」と題した初コラボを実施。

柚子の皮や茎、葉っぱをモチーフにした世界に1台だけのコラボラッピングカー「ゆずサクラ」を実車化し、Kアリーナ横浜などへの展示を行ったとのこと。さらに、横浜駅も「#ゆずサクラ」ビジュアルでジャックしていたそうです。

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9.「宇宙味」に「大仏味」?! 茨城の魅力を伝えるご当地アイスクリームのアイデア

茨城県の乳業メーカーであるトモヱ乳業株式会社は、クラウドファンディングサイト「Makuake」にて、茨城県内44市町村をイメージにしたオリジナルのアイスクリームを販売しました。

トモヱ乳業は、茨城県古河市に本社・工場を構え、牛乳やヨーグルトなどの乳製品を取り扱う企業。北関東トップクラスの飲料メーカーですが、製品の約7割がOEM(受託製造)のため、社名が消費者の目に直接触れることが少なく、認知度が低いことが課題でした。

また、本社のある茨城県は、2023年度都道府県魅力度ランキングで最下位という状況で、「牛乳をたくさん使う商品」×「茨城県の魅力」の掛け合わせで、乳製品の消費拡大と茨城県の魅力度アップを狙うアイデアが考案されました。

販売されるアイスクリームの味は6種類。笠間市の栗を100%使用した「栗味」や古河市の「ミルク味」、稲敷市の「いちじく味」など、地域特産の食材を使った味が並びますが、なかには「大仏味」や「ネモフィラ味」といった変わった味も。味の想像がつかない珍しいラインナップが話題を集めています。

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10. 地域愛を感じるATMサービス! 大分県のATMがご当地言葉で利用者をお出迎え

株式会社イーネットは、2024年7月1日(月)から大分県内のファミリーマートなどに設置されたATMで、ご当地言葉による音声挨拶サービスを始めました。このサービスは、地元の方言を使った挨拶で地域に根ざした身近な存在になることを目的としています。

今回の施策では大分県を3つのエリアに分け、それぞれの地域の方言で「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」の音声を流します。

たとえば中津市では「いらっしゃいませ」が「いらっしゃいませ、ようきたなー」に、大分市では「ありがとうございました」が「おーきに、ありがとー」に、玖珠郡では「ありがとうございました」が「おーきん、ありがとー」に変わります。この音声は大分銀行の各エリアの支店の従業員が担当しており、地元のアクセントや言葉遣いを再現。これにより利用者は、ATMを使うたびに地元の特色を感じられ、親しみがわくものとなっています。

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「ご当地」を切り口にした施策、10事例まとめ

わかりやすい方言やご当地の特産品をフックにしたものから、ちょっと変わり種なものまで出揃いました。

たくさんの種類を揃える必要があることが多いものの、その分広く「自分ごと化」を発信できるというメリットを感じさせられる事例集となりました。

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