メタバース(仮想空間)を活用した広告・マーケティング事例15選
スマートフォンの普及や生活スタイルの変化などから、広告の主体は従来の新聞雑誌広告やテレビCMからWeb広告やSNSマーケティングへと軸足を移行してきました。とくに近年になって活況になりつつあるのが、メタバース(仮想空間)を活用した施策です。
ユーザーの数や層が限定的であった時代から、ゲームを起点としたメタバースの普及により、その影響力も日に日に増しています。実際に多くの企業や広告代理店がメタバースを活用したマーケティングやプロモーションを行うようになりました。
そこで、今回は近年のメタバース活用施策に注目。広告掲載にとどまらず、説明会や接客など幅広いアクションでアプローチするメタバースの活用15事例をまとめてお届けします。
1. Z世代・α世代へアプローチ!朝日広告社、Fortnite上でマーケティング支援を開始
株式会社朝日広告社は、世界で5億人以上のユーザーが利用する人気ゲームFortnite上で、ゲームメタバース空間「Cinderella Prop Hunt」を2024年6月29日(土)に公開。連携しているクリエイター・制作スタジオと協業し、Fortniteを活用した企業・自治体のゲームメタバース空間制作サービスとマーケティング支援を開始しました。
今回公開された「Cinderella Prop Hunt」は、お城やガラスの靴など、童話「シンデレラ」に登場するアイテムを舞台に、かくれんぼバトルができるゲームメタバース。プレイヤーは、さまざまなアイテムに変身しながら隠れる「ハイダー」と、制限時間内に隠れているプレイヤーを見つけ出す「シーカー」に分かれてバトルを楽しめます。
同社はこれまでに「META MEME」の制作名を用いて、複数のゲームメタバース空間を公開してきました。今回、オリジナルのゲームメタバース空間の開発を皮切りに、企業・自治体のブランドの世界観や商品・サービスを3DCGで表現するとしています。既存のメディアでは届きにくくなっているZ世代・α世代にもアプローチできるゲームメタバース空間を活用したマーケティング支援を行うとのことです。
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2.「冷」を体感する、ニチレイCOLDワールドがメタバース空間clusterに登場!
クラスター株式会社は、株式会社ニチレイと協力し、提供するメタバースプラットフォーム「cluster」内にて、「冷」を体感する「ニチレイ COLD ワールド」を2024年3月25日(月)12時に公開しました。
オープンしたのは、「ニチレイ COLD ワールド」と「ニチレイ COLD サーキット」。食品の「長期保存」「品質保持」「食材の再現性」といった冷やす技術“冷力”を生かした事業を展開するニチレイグループならではの世界がメタバースに出現。
レースゲームを楽しみながら、ニチレイについての知識も学べるほか、複数人でも利用可能なフォトスポットやアバターのプレゼントなどメタバースだからこその企画が詰まっています。
何より実際にアバターでワールドを訪れた人たちが画像をSNSで投稿してくれることで、バラエティに富んだアバターたちが思い思いにワールドを楽しむ様子が垣間見えます。
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3.謎解き×メタバース、見た人に謎を解かせる巨大ポスター広告が大阪・梅田に出現!
クリエイティブスタジオ「KAMITSUBAKI STUDIO」とYouTubeで配信中のショートアニメ「HELLO OSAKA」によるメタバース企画、『KAMITSUBAKI STUDIO presents バーチャル謎解きミステリー「魔女謎解」with HELLO OSAKA』が、謎解き付きの巨大ポスター広告を2024年3月31日(日)まで阪急うめだ本店前のムービングウォーク横に掲出しました。
「魔女謎解」の舞台は、阪急大阪梅田駅周辺の茶屋町エリアをモデルにしたメタバース空間。大阪らしいモチーフやネタも散りばめられており、街の散策と合わせて謎解きが楽しめます。
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4.渋谷のシンボル「109」に現実世界とメタバースを連動させたデジタルツイン広告が出現
株式会社SHIBUYA109エンタテイメントは2023年12月、Epic Gamesが運営するオンラインゲーム「Fortnite」内にて“現実世界を超越した渋谷”が舞台のオリジナルゲームマップ「SHIBUYA109 SHOOT and RUN」をリリースしました。ゲームマップ内でゲーム体験や広告枠を提供しています。
新たに2024年1月15日(月)より、SHIBUYA109渋谷店のシリンダーに掲出された「今年も、Uber Eatsで、いーんじゃない?」と同じ広告を、「Fortnite」ゲームマップ内のSHIBUYA109シリンダーにも掲出。現実世界とメタバースが連動したデジタルツイン広告が出現しました。
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5.若年層にアプローチ! 松井証券がフォートナイトで投資体験を提供
松井証券株式会社は、オンラインゲーム「フォートナイト」に証券業界初のメタバース「MONEY TRADE FIGHT by 松井証券」を8月上旬に公開すると発表しました。本プロジェクトは、若年層がゲームを通じて投資の基本を楽しく体験できるように設計されています。
プレイヤーはゲーム内でアイテムを収集し、価格変動するポーションを売買してゲーム内マネーを増やすことで、投資の基礎を学べます。これはフォートナイトのメタバースを活用した新しい形の投資教育の試みであり、若年層への投資啓発を目指すものです。
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6.駅がリアルを超える“ビジネスフィールド”に!「バーチャル大阪駅3.0」のビッグスケール施策
西日本旅客鉄道株式会社、株式会社JR西日本コミュニケーションズ、株式会社JR西日本イノベーションズは、REALITY XR cloud株式会社とともに、「バーチャル大阪駅 3.0」を2024年3月に開業することを発表しました。
JR西日本グループでは、初のXR施策として2022年8月にリアルの大阪駅をバーチャル上に再現した「バーチャル大阪駅」を開業しました。そこで、リアル同様に駅がバーチャルでも集客力を発揮することを証明。続く第2弾となる「バーチャル大阪駅 うめきたワールド」では、REALITY XR cloudと協力し、ユーザーの自律的な発信活動を可能とするさまざまな仕掛けが構築されました。
そして、スマートフォン向けメタバース「REALITY」上のワールドで、過去最高の来場者数を記録するなど、バーチャルならではのさらなる集客を実現しています。
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7.メタバース×TikTok×クリエイターが古都京都を切り取ると、新しい魅力が見えてきた
一般社団法人渋谷未来デザイン、大日本印刷(DNP)、京都市は、TikTok(ティックトック)とともに、京都の魅力発信拠点であるメタバース空間「京都館PLUS X」とTikTokを連動させたプロモーションを実施しています。
今回の企画では、TikTokで大人気の映像クリエイター「ぞのさんっ」が制作した、京都市の観光名所を舞台にしたショート動画をメタバース空間とTikTokそれぞれで公開し、相互送客を図ります。
「ぞのさんっ」は、約300万人(2023年6月末時点)のフォロワーがいるTikTokクリエイターです。一級建築士でもあり、会社員を経て宿泊事業で起業し、コロナ禍を機に映像クリエイターとしての活動を開始した多彩な才能の持ち主。ウィル・スミス氏が紹介する世界11の国・地域のクリエイターとして日本人で唯一選出された実績があります。
TikTokが持つ情報拡散力やコミュニティー力と、メタバース空間の三次元(3D)の表現力、そして参加者のアクティブなコミュニケーションや体験機会など、お互いの強みをかけ合わせた新たなプロモーションとして、今後も積極的に展開していくとしています。
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8.メタバース×マッチングアプリ「Memoria」なら宇宙デートも夢じゃない!
インターネットの仮想空間でデートすることで内面から恋に落ちるマッチングアプリ、恋愛メタバース「Memoria(メモリア)」において、新たなワールドが4つ開発され登場しました。いずれもメタバースならではの体験が気軽にできるデートワールドとなっています。
今回解禁されたワールドは、「宇宙」、「キャンプ場」「遊園地」「まちがい探し」といった、メタバースであることの特徴を生かした、現実ではできないような体験を気軽にすることができるもの。
デートワールドが追加されることによりMemoria内で複数回のデートを楽しめるようになり、より相手の内面を知る機会が増えることでカップルが成立しやすくなることを目指しています。Memoriaでは今後もさまざまなワールドを増やして、より効果的なサービスとなるようにしていく予定です。
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9.「ラスベガス」「福岡」「秋葉原」を再現!世界最大級のVRイベントで近未来に触れる
ギネス世界記録™を取得した世界最大のVRイベント『バーチャルマーケット2023 Summer』の出展企業第1弾として、各企業のブース内容および企業ブースが出展されるバーチャル会場の詳細が発表されました。
記念すべき10回目の開催となる本イベントでは、日清食品、JR九州、キヤノンマーケティングジャパンなど、さまざまな業種の企業の初出展が決定。
さらに今回バーチャルマーケット初の試みとして、今話題のChatGPTを活用した「会話ができるAIキャラクター」を会場に案内役として導入します。このAIキャラクターは、ユーザーからの問いかけに対しまるで人間が接客しているかのように会話形式で受け答えすることが可能です。
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10.荏原製作所が実施した、2024年卒向けメタバースインターンシップ
荏原製作所は、性別や国籍さらには経験や職種といった違いを認め合い、多様な人材が活躍できることが企業・個人の成長に不可欠という考え方から、目に見える情報に頼らず本質的な観点で物事を見られるメタバース空間を2022年9月より導入。そして、2022年12月および2023年1月に同社専用のバーチャル空間上で、2024年卒向けのインターンシップを行いました。
本インターンシップでは、同社のバーチャル空間(アクアリウムとオフィスルーム)を使用し、選考を通過した約50名の学生全員がアバターとなり、ディスカッションとプレゼンテーションを伴うグループワークを実施しました。
参加した学生からは、「オンラインミーティングの環境とは異なり、アバターを使用することで参加者同士の距離感が近く、緊張せずにワクワクしながら参加できた」「アバターを使用することで可視的な違いによる先入観が無いため、スムーズに会話ができ意見を言いやすい環境だった」「対面やオンラインに加え、メタバースを組み合わせた働き方がしたい」といった感想が多数寄せられ、活発なディスカッションとなったそうです。
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11.ゆのくにの森の魅力をリアルに体感できる「ゆのくにの森 メタバース美術館」
株式会社ゆのくにの森は、伝統工芸のテーマパーク「ゆのくにの森」の魅力を体感できるメタバース空間「ゆのくにの森 メタバース美術館」を、2023年1月11日より開館しています。
来場者数がコロナ禍前の水準には戻っていない状況のなか、テーマパーク「ゆのくにの森」では、時間や場所、情勢を問わず、「ゆのくにの森」の魅力を伝えられる方法を模索。テキストや写真では伝えきれない当該施設の魅力を、国内外問わずさまざまな方に伝えることを目指し、「ゆのくにの森 メタバース美術館」を開設したとのことです。
ここでは、石川県を代表する50種類以上の伝統工芸体験や、人気写真スポットのアンブレラスカイなど、コンテンツの魅力をまとめた14個の動画を、メタバース空間上で楽しめます。
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12.洋服のデザインから着せ替え、教育コンテンツまで! H&Mがメタバース作品を公開
世界的なファッションブランドのH&Mは、ユーザーが自作のゲームを公開できるオープンプラットフォーム「Roblox」内で自社の世界観を体現したオリジナルのゲーム「Loooptopia」を公開し、同社が提供するファッションを着て楽しむだけでなく、自ら洋服をデザインしたり、リサイクルしたりできるコンテンツを開放しました。
「Loooptopia」ではスタンダードなTシャツからジャケットまで幅広いジャンルの洋服でアバターを着せ替えることができるほか、同社が提供している洋服のリサイクルサービスの仕組みや意義について知ることができる教育コンテンツなど、老若男女が楽しめるコンテンツを公開しています。
予告動画では、Robloxのアバターが“Looptopia”の世界に飛び込み、メタバースならではの風景を駆け巡る様子や、真っ白な状態の服にビビッドなデザインを施す場面を紹介し、ブランド理念を伝える手段に留まることなく、サービスや商品そのものをコンテンツ化することでユーザーが前のめりに体験したいと思えるような内容に仕上がったようです。
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13.新宿を疾走する3D映像+553時間のライブ配信、ユーザー起点のニッサン施策群
「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー2023)」(JMS2023)に出展する、近未来の新たな電気自動車(以下、EV) コンセプトカーの第4弾「ニッサン ハイパーパンク」の情報が公開されました。また、ショー開催にあわせて、新宿の街頭ビジョン「クロス新宿ビジョン」にて、EVコンセプトカーシリーズの巨大3D映像を期間限定で放映されました。
日産は、“体験しよう。日産が描く未来を。Experience the future with Nissan”をテーマに、EVが提供する未来の世界と、そこに暮らす人々「コンセプトキャラクター」を通じて、モビリティのワクワクするような未来を感じてもらえるような企画を用意。
日本のランドマークともいえる新宿の3Dビジョン。多くの方の目に留まる屋外ビジョンを活用することで、日産が目指す未来の姿や、そこで活躍するコンセプトカーへの期待感を盛り上げています。
これまでに発表した「ニッサン ハイパーアーバン」「ニッサン ハイパーアドベンチャー」「ニッサン ハイパーツアラー」、そして「ニッサン ハイパーパンク」のコンセプトに合わせたもの。3Dで現実世界に飛び出し、ダイナミックに疾走する様子は、“未来が近づいてくる”ワクワク感が楽しめる映像となっています。
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14.「バーチャルマーケット2022 Winter」のBEAMSメタバース店で、約40名の社員がバーチャル接客
ビームスは、xR領域において業務提携を結ぶ株式会社HIKKYが2022年12月3日から18日まで開催したVRイベント「バーチャルマーケット 2022 Winter」に、5度目となるバーチャルショップを出店しました。
バーチャルリアリティマーケットイベントにおけるブースの最多数として2021年にギネス世界記録™に認定され、世界最大のVRイベントとなっています。
今回のBEAMSバーチャルショップは名古屋の街並みをイメージしたワールド「パラリアル名古屋」内にあることから、名古屋・愛知の知られざる魅力を発信するBEAMSの人気企画「大名古屋展2022」のコーナーが店内1階に登場し、名古屋グランパス・クロスプラス・中日新聞の地元企業3社が参加。
グランパスくん・手前みそちゃん・ドアラの3キャラクターがそれぞれプリントされたコラボTシャツを販売しました。実物大のグランパスくんと手前みそちゃんは、ユーザーが遊べる仕掛けも搭載されています。
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15.息の匂いで世界が滅ぶ!? リステリンが特殊な設定のメタバースを公開
マウスウォッシュブランドのリステリンが、ブラジルでオンラインゲーム「Breathcalypse(世界の「臭」焉)」を公開し、すべてのプレイヤーが初期設定で“口が臭い”というバッドステータスの状態でスタートさせることで、口臭予防の大切さをアピールしました。
ゲームの概要を説明した動画は「ある日突然、人類がみなひどい口臭がする状態で目を覚ましたらどうなるだろう? そんな世界にはソーシャルディスタンスや気まずい友情といった生ぬるいものではなく、完全なカオスに包まれていることでしょう」というメッセージで幕を上げます。
ゲーム内容は、ユーザーがCOMPLEXOと呼ばれるバーチャル空間の中でキャラクターを作り、自由に生活できるというものですが、全キャラが開始時に緑色の息を撒き散らしており、プレイヤーには何の説明もありません。
息を放っておくと視界がぼやけたり、キャラクターの制御が効かなくなったり、いずれは事故や事件へと発展してしまうことも。そんな混沌を回避するために、プレイヤーは街中にある自動販売機からリステリンを購入し、口臭を取り除く必要があります。
メタバース活用施策15事例まとめ
広告掲載はもちろんのこと、説明会や接客など幅広いアクションでのアプローチが可能なところがメタバース活用のポテンシャルの高さ。
また、現実世界とのハイブリッド施策やSNSとの掛け合わせ施策など、まだまだ開拓余地のあるところも多いようです。今回はまとめ記事として数年前の施策も掲載させていただきましたが、日進月歩のメタバースの世界において、今後どのような業種や施策が展開されるのか気になるところです。
その他の事例集についてはこちら
https://predge.jp/search/post?othres=6806
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