“バズ”の先、需要を喚起する為に〜マジョリカ マジョルカが仕掛けた「ギフト」施策とは
Case: マジョリカ マジョルカ「マジョリ画」
話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく連載「BEHIND THE BUZZ」。
今回は、資生堂の化粧品ブランド「マジョリカ マジョルカ」の施策「マジョリ画」を取り上げます。特設サイト上でイラストレーターの宇野亞喜良氏協力の元、合計4.4予(4,439,495,401,425,400,000,000,000)通り以上の組み合わせが作成可能なジェネレーターで似顔絵を作成し、SNS上でシェアできるのみならず、ギフトボックスセットを購入すると、その似顔絵カードと、ジェネレーター上で使ったアイテムが実際に届くという仕掛け。
SNS上でのシェアから、どのように購入までの導線を設計したのか、資生堂ジャパン株式会社 マジョリカ マジョルカ ブランドマネージャー 朝倉萌さんに伺いました。
今までの化粧品になかったジャーニーを作る
—まず、施策が始まったきっかけについて教えて頂けますか?
マジョリカ マジョルカのブランドとしての提供価値は、新しい「かわいい」の発見・出会いです。その点を、デジタルを使ってどのように提供していくかと考えた時に、ギフトというエモーショナルなオケージョンにチャンスがあるのではないかと考えました。店頭でのシェアも、どうしてもCMを沢山投下するブランドがリードするなど競争が激しいので、今までの化粧品になかった購買ジャーニーを作りたいなと。
コンセプトを定義した企画書の一ページ
—なぜ「ギフト」に着目されたのでしょうか?
近年、ギフトはどんどんプチになって、身近になってきていますよね。人と人との繋がりを結んでくれる、というニーズは確実に高まっているのではないかと考えました。ギフトにするアイテムとして、化粧品は食べ物に次いで2位という調査結果もありましたし、単に「モノ」を売るのではなく、大切な人にスペシャルな思いをのせて「コト」といて届ける、というのを我々としてもやっていきたいという思いから生まれたアイデアですね。
イラストレーター・宇野亞喜良先生とのコラボレーションが実現できたので、先生の世界と、ブランドの世界観を融合して没入してもらい、楽しみながら自然にブランド体験をしてもらえるようなサイト作りを心がけました。そのためサイト上では商品を前面に出すのではなく、「魔法のエッセンス」と呼んでいます。
—ギフトボックスについてのこだわりはありますか?
これを手に取れば、新しい「かわいい」に出会える、という意味を込めて『かわいいが詰まった辞書』をイメージしています。また、中にある窓の中には、サイト上でつくったマジョリ画を差し込むこともでき、パーソナライズギフトにすることができます。(入っている商品は)サイト上で「魔法のエッセンス」として使用した商品がそのまま届きます。
—SNS上でのシェアだけではなく、リアルに届く点がやはり特徴的ですよね。
WEBキャンペーンは、バズらせることが仮に出来ても、それが販売に結びつかないということが悩ましい点だと思います。この点を解消すべく、納得感のある「自分へのごぼうび」や「友達へのギフト」としてのオケージョンを設定し、購買を喚起しました。化粧品に使うお財布はある程度決まっているものですが、ごぼうびやギフトに使うためのお財布はどうだろう?と、市場の捉え方を少し変えてみました。
—成果・反響はいかがでしょうか?
150万生成、UUでも250万、PVは1,044万を10日間で記録しました。またオンライン上での売り上げへの寄与という面では、ワタシプラスの売上が前年比380%(発売後1ヵ月)となりました。
競争の激しい、店頭におけるブランドへの期待も高まった
—元々、店頭での課題もあったのでしょうか。
テレビとデジタル両方での施策が展開出来るようなブランドがやはり前に立ちますし、価格競争も激しいです。
多くのお客様が店頭に行くまでに購入するブランドをある程度絞り込んでいくので、そこの想起集合に入り込めるか、そして店頭での露出と、二つの面で強化しないと、お客さまとの接点が持ちにくくなります。
—小売店向けに商談する際、今回の施策は活きましたか?
一番大きかったのは150万生成、広告換算で約5億円という数値でした。元々「かわいい」というブランドイメージの強さがターゲット市場でNo.1だったのですが、それが可視化されました。店頭でも「他にないブランド」と推してくださったり、「お店の中核にしたい」という声を頂いたりもしました。
—一方、ソーシャル上での拡散で意識された点はありますか?
今回はRTやリポストにも力を入れました。最初、クリエイティブなものに関心のある方から、一般の方に、広まっていきました。キャズムを超えられるかどうかの時期は寝られなかったですね(笑)。きっかけは、オーガニックで発生した、イラストレーターの方がタレントさんそっくりのマジョリ画を作ってくれたことです。新たな解釈をして頂いたなと。すごく似ていて面白いんです。
—今後の展開についても教えてください。
マジョリ画は、10月以降も仕掛けを用意していますし、今後もトライを続けたいと思っています。
今回の施策で感じたことは、商品との魅力的な出会いの場を設計する大切さです。また、ブランドの提供価値から逃げないことですね。バズらせよう・話題化させようとすると本来のブランドの価値から離れそうになることもあります。でもそこから逃げずに徹した点が良かったのではと考えています。
資生堂ジャパン株式会社
マジョリカ マジョルカ ブランドマネージャー
朝倉萌さん
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