貧困=ホームレスだけじゃない。屋根の下で貧困暮らしを送っている人がいることを訴求した“オープンハウス”企画
Case: Open House
カナダで設立し、現在世界約120か国で社会福祉事業、教育事業、医療事業を推進する国際的なキリスト教組織の救世軍(The Salvation Army)が、カナダで、貧困生活を余儀なくされている人々への支援を呼びかけるために、“一見わかりずらい貧困生活の実情を見せるオープンハウス”企画を実施しました。
新築や中古物件の内覧会であるいわゆるオープンハウス。こちらの物件も売りに出ているようで、多くの人が内覧に訪れます。
外観はとても素敵な家。この家で生活している人がまさか貧困生活を余儀なくされているとは思いもよらないですよね。
内覧会に訪れた人もそれは同じです。どんな素敵な家なんだろうと笑顔で足を踏み入れたものの、一瞬にしてその表情は曇ります。
雑然としたリビング。テーブルに置かれた無数の督促状。古びた本棚。壊れたランプ。
各部屋には、カナダ全国に30万人はいるとされている貧困家庭の実情がディスプレイされています。
“5世帯に1世帯が、家を確保するために支払能力以上の家賃を払っている。”
“7人に1人の子供が、お腹を空かせて通学している。”
“5人に1人のカナダ人が、金銭的な理由で食事を抜いている。”
“10世帯に1世帯が、一見普通の家に暮らしているようでも貧困生活を余儀なくされている。”
オープンハウスを開催するにあたり、看板を立てることはもちろんのこと、周辺住民や店舗にチラシを配布した他、内部に置く家財道具は実際に貧困家庭が使用していたものにするなど用意周到な準備が行われたといいます。また、オープンハウスには不動産業者役の人物を配置し、来場者に物件を紹介するだけでなくキャンペーンの主旨を説明しました。オープンハウスには隠しカメラが20台設置されており、訪れた人の表情が撮影されました。
カナダの救世軍は、昨年、食糧やシェルターの支援により貧困に苦しむ180万人のカナダ人を支援するための寄付を募ることができたといいます。
本動画の他に、マウスで自由にオープンハウスを内覧することができるウェブサイトの公開されています。
貧困というとホームレスを想像してしまう人も多いと思いますが、たとえ家があっても、貧困生活を余儀なくされている人が大勢います。屋根がある家に住んでいても貧困に苦しんでる人がいることを訴求し、そのような人々への支援を呼びかけるアンビエント施策でした。
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