劣悪な住環境に苦しむ人々の存在を周知する、“穴の開いた”マグカップ
Case:Mug leak
大きな経済格差と貧困問題が存在する、ラテンアメリカおよびカリブ海地域。一握りの富裕層がほとんどの富を所有し、より豊かになる一方、多くの人が劣悪な環境の中での生活を余儀なくされています。
特にスラム街などでは水や電気などのインフラ整備がなされておらず、また屋根の代わりにタープで覆っているだけ、という粗末な住居で暮らす人も多いため、治安や健康面での問題の改善が課題となっています。
中南米において貧困層の人々の生活向上のために活動する人道支援団体・TECHO(スペイン語で“屋根”の意味)では、このような状況を広く周知し、また寄付を募るためのグッズを制作しました。
一見したところごく普通のマグカップですが、飲み物を入れるとカップの底から漏れてきてしまいます。
実はこれ、底面にちいさな穴が開けてあり、わざと飲み物がこぼれるような作りになっているのです。そして穴のそばには以下のようなメッセージが。
If just one leak annoys you, imagine what it would be like to live without a roof.(ほんの少し飲み物が漏れただけでイラッとしてしまったあなた、もしも屋根のない家に住むことになったら、と想像してみて下さい。)
先進国に住む私たちにとって、雨風をしのげる家があるというのは当たり前のこと。しかし世界にはその“当たり前”を享受できない人がたくさんいるのです。
マグカップという身近な日用品を通じて、遠い国で厳しい生活を強いられている人々の苦しみを直感的に知ってもらおうという意図の、啓発キャンペーンでした。
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