2015年上半期話題のCM、au「三太郎」シリーズ展開の狙いとは
Case: au「三太郎」
話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく連載「BEHIND THE BUZZ」。
今回はauのCMシリーズ「三太郎」を取り上げます。松田翔太さんは桃太郎、桐谷健太さんは浦島太郎、濱田岳さんは金太郎として登場するおなじみのシリーズ。自由な発想で昔話の英雄たちが繰り広げるストーリーが好評です。この「三太郎」シリーズ開始の狙いと、これまでの反響について、KDDI株式会社 コミュニケーション本部 宣伝部長 矢野絹子さんにお話を伺いました。
これまでのTVCMで伝えてきたことを見直し。あたらしさを意識
—「三太郎」シリーズが始まったきっかけは、どのようなものだったのでしょうか?
通信事業者としてこれまでも様々なCMをやってきましたが、移動機や料金プランでの差別化が難しい中、何をどうお伝えしたらauのことを好きになってもらえるかということをずっと考えていました。
現在「あたらしい自由。au」というスローガンをauブランドとして掲げていますが、CMでも「auってあたらしいことをどんどんやっていくんだ」という点を訴求したく、新しい「三太郎」シリーズを始めました。
—具体的にはどういった点で「あたらしい」部分を意識されましたか。
昔話って小さい頃から聞いていてなんとなく思い描くイメージがありますよね。それをauらしく変えてみたらどうなるだろうと考えたのが発端です。別々の物語の主人公が友達だったり、現代語で会話したり、といった既成概念を打ち破るようなことをやりたいなと。起用させて頂いた俳優さんも、皆さんが思い描く昔話のイメージとは違う「こういう方が出てくるんだ」という意外性を意識しました。
また、今までTVCMの15秒・30秒という短い時間の中に「こういう移動機が出ました」「こういう料金プランです」と詰めこんでお届けしていましたが、そこも一旦見直しをしようと。
基本的な構造として、CMの前半では特段商品のことを言わず、商品特徴に繋がるような会話劇を繰り広げ、最後に商品が出てきて「あ、そういうことだったのね」と楽しんでもらえる構造にしたのがあたらしい部分ですね。
—CM好感度ランキングでも昨年の12月から今年5月まで、現段階では6ヶ月間首位ですね。
もちろん好感度を得る為だけにCMをやっているわけではないのですが、CM DATABANKさんのランキングで上位に来るということは視聴者の方がauのCMを思い出して下さっている、つまりお客様に届いている証かなと思いますので嬉しい結果ですね。
—特にCMを通して届けたいというターゲット層はどのようなイメージですか。
メインは若年層ですが今や携帯電話は老若男女幅広い方がお持ちなので、お届けしたいという点では全体ですね。CM自体は会話のテンポも早く進むので、若い方以外の方々の反応がどうなるかなと思っていましたが、結果的にはお子さんから50-60代の方まで好きと思って頂いていて良かったです。
—契約の純増数など、効果として現れている面もございますか?
CMだけで直接的に評価しづらいですが、ちょうど市場が盛り上がる春商戦の時期にインパクトの強いCMをやることでより多くのお客様にauショップに来店いただけたという実感はあります。
「三太郎」展開の広がり。「テレビ発信でこんなに反響があるんだ」という発見があった
—auショップで「金太郎飴」の配布というキャンペーンもございましたね。
テレビでCMを見て「あれが欲しい」と言ってくださった方や、SNSに写真をアップされている方もいらっしゃいましたので、店頭での盛り上がりも作れたかなと思います。
—WEB上では期間限定で「あたらしい英雄」シリーズのLINEスタンプも提供されていました。
弊社もこれまでのキャンペーンで何度かLINEのスタンプを実施させて頂いていますが、どういう絵だとチャットの中で使って頂けるかのノウハウを貯めながらやっています。
—「三太郎がハリウッド映画化」というエイプリルフールネタもありましたよね。
ここ数年、auとしてエイプリルフールネタを色々仕掛けているので、「今年は何をやってくるだろう」と期待して下さる方も増えました。今年は「ハリウッド映画化」でしたが、他にも「玉手箱」を活用した案などいくつかある中で、最も楽しんでいただけそうな「ハリウッド映画化」を採用しました。
今は面白い企画があるとあっという間にSNS上で拡散されるので、ソーシャルの世界で皆さんに楽しんで頂けるか・拡散して頂けるか、ということを意識して様々な話題作りをしています。
—今後の展開については。
高校生の方の「やってみた」動画がアップされたり、想像以上に親しんで頂いているなという実感があります。若者のテレビ離れと言われますが、テレビ発信でこんなに反響があるんだということも発見でした。ひとつきっかけがあれば、若い方にもテレビ起点で拡散出来るなと思いましたし、まだまだやり方はあるかなと思っています。
引き続きCMについてはストーリー性を大事にして、シリーズを続けて見ていくと「次はこうなるんだ」と楽しんで頂ける展開を計画しています。好評を頂いているこのフレームは是非長く続けていきたいと思っていますので、出来るだけいろんな展開をしていきたいですね。
KDDI株式会社
コミュニケーション本部
宣伝部長
矢野絹子さん
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