加速する『リアルタイム・マーケティング』のあり方に一石を投じる、カナダ広告代理店のセルフプロモーション
Case: Reactvertising
恐怖のドッキリ体験を通じて人々に鮮烈な印象を与えるプロモーション『ExFEARiential』や、ネコを使ったプロモーション『Catvertising』など、業界のトレンドを揶揄するような意表を突いた企画を次々と立案し、広告業界における異色の存在ともいえるカナダの広告代理店「John St.」。
今回はリアルタイム・マーケティングをテーマにした、同社の取り組み『Reactvertising』を発表しました。
ソーシャルメディアとスマートフォンの普及により注目を集めている、リアルタイム・マーケティング。ユーザーが求めている情報を把握し、その時点で最も効果的なメッセージを送るという手法は、より多くの人に、そしてより効果的にリーチすることができるというメリットがあります。
例えば2013年2月に開催されたアメリカの一大スポーツイベント、スーパーボウル。試合中に起こった突然の停電の際、オレオはあるツイートをして話題となりました。
「停電?大丈夫さ。」という一言とともにアップロードされたのは、オレオの画像と、「暗闇の中でもダンクする(オレオをミルクに浸す)ことはできる。」という文字。
このツイートは公開直後から注目を集め、多くのリツイートが寄せられましたが、この機転の利いた広告の裏では、ソーシャルメディア・チームが待機しており、試合中に何が起こってもすぐに対応できるようにスタンバイしていたのです。
リアルタイム・マーケティングを行ううえで最も重要なのは、情報収集力と、集めた情報に対して即座に発信するスピード感。そこに目を付けたJohn St.は、『Reactvertising』という部門を立ち上げ、2800人もの新規スタッフをフル稼働して、世の中の出来事に素早く対応できる体制を作ることにしたといいます。
例えば、テレビの報道番組は24時間体制でモニタリング。世界中で起こる様々な時事問題に関連した商品を素早くPRします。
香港における、行政長官選挙をめぐる中国政府と民主派抗議者の攻防「傘の革命」が報道されると『雨傘』を売り込み、ハリウッドセレブのプライベート映像が流出すると『横漏れしない生理用品』を売り出すといった具合。内容や質は後回しにして、とにかくスピードを重視するのです。
さらに今後の目標としては、まだ起こっていない未来の出来事さえも予測し、対応していくことなのだとか。そのために人の脳波を測定し、頭の中でどんなことを考えているのかを探っています。
毎度のことながら、どこまで本気なのかを判断しかねるJohn St.の試みですが、現在急速に拡大しているリアルタイム・マーケティングと、それを企業や広告会社が我先にとこぞって進めていく姿勢に一石を投じる意図があるように思います。
あえて直接的に批判はせず、こんなパロディーにすることで、「こういったマーケティング施策が本当に正しいの?」「流行のバズワードに乗っかるだけでいいの?」と、業界人一人一人に考える余地を与えているのかもしれません。
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参考サイト
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