白内障患者の横顔を映し出す、“光と影”を利用した幻想的な募金活動
Case: Shadow Faces
目の代表的な疾患である、白内障。手術によって治療することができ、費用もさほど掛からないことから、先進国においては深刻な病気ではありません。しかし発展途上国では、経済的な理由から手術の費用を負担できず、結果失明に至ってしまう人が2千万人以上いるそうです。
そこで、途上国における貧困問題に取り組む団体「Christian Blind Mission」は、白内障治療のための寄付を募るキャンペーンをスイスで行いました。
キャンペーンの場として選んだのは、チューリッヒの街を見下ろす絶好のロケーションに位置する五つ星ホテル「Dolder Grand Hotel」。クリスマスの時期に高級ホテルに泊まりに来るのですから、宿泊客はレジャーに費やすお金のある、比較的裕福な人たちだと推測できます。
富裕層にターゲットを絞り、『50スイスフラン(約5,800円)の寄付で白内障の患者を治療することができるのですよ』ということを訴えようとしましたが、高級ホテル内に大々的な広告を打ち出すのは、ホテルのラグジュアリーな雰囲気を損なってしまいます。
そこで考案したのが、50スイスフラン紙幣を使って表現した、光と影の幻想的なモチーフ。
表面に金属加工を施した紙幣を、折り曲げたりカーブをつけたりして形作ります。そして光を当てると、その影が壁に人の横顔となって映し出されるようにしたのです。
このようにして78パターン制作された横顔は、実際に発展途上国で白内障を患う患者たちのものです。シルエットの下には患者の名前、年齢、国籍が記されています。
『わずか50フランあれば、この人たちを暗闇の中から救うことができるのです。』というメッセージと共に、たくさんの人の横顔が影となって、ホテル内の壁に映し出されています。
このアーティスティックな募金活動は地元のメディアに取り上げられ、キャンペーン期間中の寄付の金額は、前年に比べて12%も増加したそうです。
『この人たちが光を失くしてしまわないために、あなたの善意が必要です』ということを、美しくも心に響く方法で訴えかける、見事な表現だと思いました。
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動画はコチラ
参考サイト
I believe in advertising
http://www.ibelieveinadv.com/2013/12/christoffel-blindenmission-shadow-faces/
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