食べ物の広告事例まとめ|コピーやビジュアルで話題となった国内外の施策を紹介
たくさんある選択肢のなかから、食べたくなる飲みたくなる……そんな生活者の購買意欲を刺激するため、創意工夫あふれる食べ物の広告が世に送り出されています。
今回は、食欲をそそるためのさまざまな工夫が感じられる、食べ物の広告事例を国内外からピックアップ。15事例をまとめてお届けします。
1. 食べた後の様子だけでシズル感を描いたハーゲンダッツのミニマルOOH

夏はいわずもがな、アイスクリームブランドにとって重要な商戦期。各社とも新しいフレーバーや期間限定のキャンペーンを行い、1人でも多くに振り向いてもらおうと、あの手この手の施策を展開します。そんな暑い夏に、プレミアムな雰囲気をまとう“庶民の高級アイス”とも言えるハーゲンダッツが、イギリスでまさに王者の風格とも言うべき意欲的なOOHを公開しました。
“Devoured(食べ尽くされたあと)”というタイトルで公開された複数のビジュアルで描かれているのは、なんと食べ終わったあとのハーゲンダッツのアイスクリームバーの棒の部分。商品そのものが写っていないのにもかかわらず、なぜか不思議と商品を連想させ、しかもその味や食感、舌触りまでをも想起させるようなシズル感をまとったビジュアルに仕上がっています。
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2.「広告が思いつきません」「#どん兵衛辛麺の広告作ってみた」日清食品が広告を大募集

日清食品が、「日清のどん兵衛辛麺」の広告を2025年8月22日(金)からX(旧Twitter)まで募集しました。「これまで自由な発想を大切にし、商品がみなさんの印象に残るようさまざまな広告を考案してきたが、ついにネタ切れしてしまった」という同社。
「#どん兵衛辛麺の広告作ってみた」というハッシュタグを中心に行われた、このSNSキャンペーン。8月18日(月)に全国でリニューアル発売した「どん兵衛辛麺」は、辛さと旨みのバランスが絶妙な味わいに仕上がっているといい、その魅力をどう伝えるかに悩んだ担当者は、一般ユーザーに広告制作を委ねることに至ったそうです。
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3. 串を刺しちゃえばケバブになる!? 看板ごと貫通させた英・スーパーの広告

夏のイギリスでは、食のバリエーションや即興性が高まるそうです。海の幸、山の幸どちらも旬を迎える食材が多く、またバーベキューやホームパーティーなど複数人で分け合いながら食べる……そうした機会が増えると言われています。大手スーパーチェーンのWaitroseはこの変化を2025年意外性抜群なOOHで表現し、ロンドン市内に夏の到来を告げました。
“Anything is a Kebab If You Put a Skewer Through It!(串を刺しちゃえばそれはもうケバブ!)”というキャッチコピーが印象的なOOHは、ロンドンのCamdenとWest Field Cityの2カ所に設置されました。その特徴は、アナログな作り方で3Dの立体性を表現したこと。玉ねぎやエビ、ピーマンなどが刺さった串が、ポスターをも貫通しています。デジタルサイネージでの3D表現が流行するなかで、あえて昔ながらの手法を採用した事例です。
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4. パッケージを「白抜き」に! 大胆なアイス広告が東西同時に車両ジャック

広告のクリエイティブイメージで、商品パッケージを白抜きで表現する……まさに「ご法度」ともいえる手法を大胆に取り入れた交通広告が登場しました。
これは、「原材料、乳製品のみ」だというアイスクリーム・明治 Dear Milkの広告ビジュアルで採用されたアイデア。クリエイティブビジュアルで、製品パッケージを白抜きにしたことで、“何も足さない”という製品特徴を表現したといいます。
一連の施策で使われているキャッチコピーは、全国約1万人を対象に行ったアンケート結果から考案。「朝から食べたくなる、軽やかさ。」というコピーは、1度ないし複数回同製品を「食べたことがある」と回答した人びとのなかに、朝食代わりにアイスクリームを食べる習慣があるという人が含まれていたことから生まれたそうです。
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5. 利き手じゃない方の手で仕事をすると……チートスの大型施策

チートスは、世界中で大人気のチーズフレーバースナック。日本でも販売されており、PR EDGEでも過去に何度かその遊び心あふれる広告を紹介しています。そんなチートスの調査によると、どうやら99%の人がチートスを食べる時に利き手を使うという事実が判明。
1度でも食べたことがある方ならお分かりになるかと思いますが、チートスは触れてしまうと指先がチーズパウダーによって汚れてしまう……そんな状況に“利き手”という新たな要素を加えた大規模なキャンペーンが2025年アメリカで公開されました。
“Other Hand(もう片方の手)”という施策では、チートスを利き手で食べてしまった人がその後手を洗わずに日常生活を過ごしたら……という架空の設定でさまざまな人が全くもって仕事ができなくなってしまった様子をユーモアたっぷりに描いています。
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6. 森永製菓、ラムネ4万粒を森永社員らが手作業で並べた「ドットアート」広告掲出

森永製菓株式会社は、2025年1⽉13⽇(⽉・祝)より東京、⼤阪、愛知の3都府県にて、試験に臨む受験⽣を応援する「森永ラムネ」の新たな交通広告「ラムネドットアート」を掲出しました。
本広告は「よび覚ませ、集中⼒。」をテーマにした、受験⽣応援シリーズの第3弾。2025年1⽉18⽇(⼟)・19⽇(⽇)に実施される「⼤学⼊学共通テスト」に先駆けて、森永製菓社員の「受験⽣を応援したい」という想いを込めて企画されたものです。
採用されたデザインは、受験勉強を象徴する瞬間をモチーフとしていて、「ひとり黙々と勉強」「電⾞の移動は暗記タイム」「友だちと図書館で宿題」「神様に合格祈願」の計4種。さらに、『よび覚ませ、集中⼒。』の⽂字もラムネで作り、受験⽣応援広告「ラムネドットアート」が完成しました。
「森永ラムネ」はぶどう糖を90%配合(含⽔結晶ぶどう糖として)していることから、勉強時の“集中のお供”として愛⽤されているといいます。そんな受験⽣に寄り添ってきた「森永ラムネ」からの“応援のしるし”として、今回の広告制作に⾄ったものです。
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7. マイナス要素をポジティブに! 食べたい欲求を表現したOOH

さまざまな加工食品を取り扱う大手食品メーカーのKraft Heinzがカナダで販売するKraft Dinnerは、マカロニとチーズを気軽に食べられるインスタント食品として圧倒的な知名度を誇っています。
味と手軽さが魅力のKraft Dinnerですがパッケージが開けづらいという致命的な欠点があり、1度でも食べたことがある人ならわかる“すぐに食べたいのにとにかく開けにくい”というネガティブ要素にフォーカスしたOOH施策が2025年公開されました。
“Unopenable(開封不能)”というストレートなタイトルが付けられた施策は、簡単に開けることができるはずのKraft Dinnerのパッケージがめちゃくちゃに凹んでしまった様子を紹介しています。
今すぐ食べたいのに、パッケージの強度が高くないために思うように開けることができない……本来であればブランドとしてネガティブな要素であるはずの内容をあえて公式に取り上げることでユーザーの共感を煽りつつ、1度でもKraft Dinnerを買ったことがある人であれば理解できるクリエイティブに仕上げました。
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8. シンプルな一言にすべてを凝縮。あえてブランド名を隠したポパイズのOOH

米ルイジアナ州で生まれたPopeyes Louisiana Chicken(以下、ポパイズ)は、フライドチキンやチキンバーガーをはじめとした、チキンが有名なファストフードチェーンで、日本でも米軍基地の敷地内に店舗を構えています。1人で楽しむもよし、みんなとシェアするもよし……そんなファストフードならではの魅力を一言で表現したプリント広告が2025年ヨーロッパで公開されました。
複数種類の広告で描かれるのは、いずれもポパイズの商品をこれから食べようとする人々の手元。ファストフード好きはもちろん、普段あまりフライドチキンを食べない人であっても思わずテンションが上がってしまうような豪華なビジュアルですが、よく見るとポパイズのブランド名が一部隠されてしまっています。
実はこのビジュアルは「いつどんな時であっても目の前にポパイズがあれば断ることなんてできない」というメッセージを表現するためにあえて自社のブランドを少し隠して“Yes”という言葉を作っているのです。
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9. 産後の母親が一番食べたいものはハンバーガー!? 英・バーガーキングのブランディング動画

人生において最も大変な行為であると言われる“出産”。すべての体力を、時には命をも賭ける行為を経た母親たち2,000人に「出産直後に最も食べたいものは何か」と質問したところ、約39%がハンバーガーと答えたというイギリスの調査があります。そんなアンケート結果を受けて、現地のバーガーキングは「すべての母親にハンバーガーを」というメッセージを体現したエモーショナルな長尺動画を2024年公開しました。
“Bundles of Joy(幸せの束)”という動画は、出産直前の辛い時期をなんとか乗り越えようと戦う女性たちと、出産直後の幸せの瞬間、そしてそれをさらに最高な一幕へと変えるためにハンバーガーが届けられる様子が描かれています。
身体中のエネルギーを使い果たして無事出産を終えた身体は、いつも以上に味に対して敏感になるとも言われています。そんな極限状態だと慣れ親しんだハンバーガーの味は想像以上に効果を発揮するのかもしれません。
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10. 内容量は“そのまま”です! プリングルズ新ショート缶がX線で丸見えの「レントゲン広告」

世界140カ国以上で販売されているポテトチップスの代表的ブランド「プリングルズ」。同社は2024年9月2日(月)より、内容量はそのままに、ショート缶をさらにコンパクトにするという商品改定を実施。しかし多くの消費者にとって、パッケージが小さくなると「内容量が減った」と感じやすいという課題が浮き彫りに……。そこで消費者からの疑念を払拭するため、X線を使って新ショート缶の中身を可視化する「PRINGLESCAN(プリングルズスキャン)プロジェクト」を開始しました。
本プロジェクトは従来の広告手法では伝えきれない「コンパクトになっても内容量はそのまま」という事実を、X線で実際に中身を見せることで証明するという大胆な表現で発信しています。
事実を分かりやすく伝えるだけでなく、消費者の目を引き、印象深くブランドを認知してもらえる可能性にあふれた注目の施策です。
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11.「人類の叡智の結晶」「煎餅界最強」SNS投稿をそのまま広告にした「瀬戸しお」新CM

株式会社栗山米菓は、人気の揚げせんべい「瀬戸しお」の新しいWeb CM「どうやらうまいらしい」篇を2024年9月2日(月)より公開しました。
このCMシリーズは、SNSで実際に投稿されたユニークなコメントを広告コピーとして採用し、SNSとの連動を強化することで消費者の関心を引いてブランド認知度の向上を狙った斬新な取り組みです。
「瀬戸しお」の新CMでは、X(旧Twitter)上で投稿された実際のコメントがそのまま広告コピーとして使用されています。
「人類の叡智の結晶」や「煎餅界最強」などのコメントが取り上げられ、商品の魅力を独特の語感で表現。これにより、消費者にとってリアルな評価が反映されていることが伝わり、信頼性と親近感を高めています。
また、CMは全5篇からなり、それぞれ異なるコメントをユーモラスに描写しています。
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12.「クールにいこうぜ。クーリッシュ」熱く、真っすぐ、ひたむきに頑張る人々との対比広告

株式会社ロッテは、 “飲むアイス”の「クーリッシュ」ブランドのプロモーションの一環として、CMキャラクターの藤原大祐さんをはじめ、さまざまなジャンルから、とにかく熱く、誰よりも真っすぐ、ひたむきに頑張る方々を起用した交通広告を東京、神奈川、千葉エリアにて2024年7月8日(月)より順次掲出しました。
「クーリッシュ」のスローガンである「クールにいこうぜ。」に込めた思いを、各出演者の熱い、むしろ熱すぎる姿とともに届ける今回の広告。「そのアツさを、今、クールと呼びたい。」熱く頑張るその姿こそ、「クール」であると「クーリッシュ」は伝えていくとしています。
アーティスト、空手家、野球選手、熱波師、芸人、チアリーディング部、サッカークラブ with クーリッシュとなった今回の施策。徹底的に熱さを伝えることで、商品訴求へと繋げる、ユーモアと熱量満載の施策となりました。。
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13. 二度見必至!視覚的インパクトのある日本農産工業の「三ツ星たまご」電車広告

日本農産工業株式会社は、2024年7月1日(月)から首都圏の電車内で機能性表示食品「三ツ星たまご」の新たな交通広告を掲出。本広告は「日額96円(税込)」というキャッチフレーズで健康サポートを提案し、思わず二度見してしまうデザインで注目を集めています。
「三ツ星たまご」は、血中の中性脂肪を下げるなどの3つの機能を持つ機能性表示食品です。広告では、日々の健康習慣として取り入れやすいたまごの魅力を、美容と健康を意識したスタイリッシュなあしらいで強調。電車内広告にて、通勤や通学の人々に視覚的に強いインパクトを与え、健康意識の向上を目指します。
広告のデザインは電車内の他の広告と調和しつつも、たまごの存在感を際立たせる工夫がされているのが特徴的。これにより通行人が二度見してしまう効果を狙い、自然な形で商品に関心を持たせています。
本プロモーションはSNSや特設サイトも同時に展開し、オンラインとオフラインの両方で消費者にリーチする戦略が取られている点は秀逸です。なお、特設サイトでは「三ツ星たまご」の詳細な情報がさまざまな角度から紹介されており、さらに消費者の購買意欲をかき立てる仕様となっています。
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14. “悪用”された瓶の情報を大募集 ハインツの大胆なキャンペーン

世界中の家庭や飲食店で愛されているケチャップブランドのハインツは、使い勝手の良い逆さの瓶で販売されていることもあり、中身がなくなった後はより安い競合他社の商品に詰め替えられて、しばしばテーブルに出されるという課題を抱えています。そんな事態を防ぐために同社が2024年に行なったのは、SNS上で“ハインツを置いていることを騙る飲食店の店名と住所を募集する”キャンペーンでした。
“EVEN WHEN IT ISN’T HEINZ, IT HAS TO HEINZ(たとえ中身がハインツじゃなくても、ハインツであるべきだ)”という一見すると哲学的にも見えるタイトルがつけられた施策は、前述のとおりSNS上でハインツの瓶の中に違うメーカーのケチャップを詰めていると思われる飲食店の店名と住所を送ってもらい、後日ハインツが純正の詰め替え商品をその店舗に送るという内容。晒された飲食店からしたらたまったものではありませんが、実際に違うメーカー品を使っている以上あまり言い返す要素はないのでしょう。
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15.「味が雑そう」「なんかいや」 商品へのネガティブ評価をあえて活かす“どんでん返し”広告

ノーベル製菓がミルクキャンデー「俺のミルク」について調査を実施し、その調査をもとにした斬新な交通広告を公開しました。
味には自信があるのにも関わらず、SNSで目にするのはネガティブなイメージについてばかりだったという「俺のミルク」。実はおいしいということを知ってもらうべく、15〜69歳の男女を対象にイメージ調査と実食調査を実施したところ、それぞれの感想に大きなギャップのあることが判明しました。
調査によると、「俺のミルク」を買ったことがある人は8.2%に留まり、競合である他社のミルクキャンデーと比較しても、購入率が圧倒的に低いことが明らかに。さらに、パッケージやネーミングといったイメージについて「味が雑そう」「なんかいや」「品がない」など担当者も思わず読むのが辛くなるようなコメントが寄せられたそう。
しかし、実際に商品名やパッケージを伏せて「俺のミルク」を食べてもらったところ、「おいしい」と答えた人は92%にのぼり、「何度も食べたくなる美味しさ」「ミルクの甘味がやさしい気持ちにしてくれる」といった、イメージ調査でのコメントから一転して好反応だったということです。
そこで同社は、このイメージ調査と実食調査での実際のコメントを使用した交通広告を、2023年11月6日(月)より新宿メトロプロムナードで実施。それぞれの調査でのコメントのギャップが表現されています。
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食べ物の広告、国内外15事例まとめ
意外性のある要素との組み合わせや発想の転換など、さまざまな工夫により食べ物の魅力を引き出してメッセージ発信する広告の数々。
とくに海外の事例は、日本国内の意外性や話題性を狙う仕掛け以上に、大胆なアプローチが多く、刺激的なものとなっています。
その他の事例集についてはこちら
https://predge.jp/search/post?othres=6806
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