PRストラテジスト本田哲也が審査員に就任 London International Awardsとは?
広告・デザイン・PR・テクノロジーなど多岐にわたる分野の卓越したクリエイティブを表彰する世界5大アワードショーのひとつ“London International Awards”(以下、LIA)。2025年度の審査は、2025年9月25日(木)から10月3日(金)まで、米・ラスベガスで行われました。
1986年に創設されたLIAは、広告・デザイン・PR・デジタル・音楽・イノベーションなど、ジャンルを超えて創造性を評価する国際アワードです。特筆すべきは、100%女性オーナーシップによる運営と、審査の透明性だといいます。
また、PR部門ではEarned Media(報道・共感・参加による拡散)をともなう世論を動かし、影響を与えた活動を対象として、アイデア・洞察・成果の3軸から審査が行われます。本年度は世界各国から77作品が選出されました。

この記事では同部門のグランプリ受賞作を、2025年度から“Creativity in PR”部門の審査員に就任したPRストラテジストの本田哲也さんのコメントとともに紹介します。
“Creativity in PR”部門のGRAND LIAを受賞した、ヒュンダイ「Tree Correspondents」は生物多様性の保全と気候変動対策に取り組む10年にわたるCSRプロジェクトです。
2025年は「IONIQ Forest」プログラムの10周年にあたり、7月には世界13地域で100万本の植樹を達成するという節目も迎えています。また、LIAのみならず、カンヌライオンズ2025においても、Digital Craft部門で2つのGOLDならびにSILVERを受賞しています。
AIとセンサー技術を活用し、木々が環境変化を語る“報道部”を創出。報道の仕組みそのものに変革をもたらしました。同社の「Progress for Humanity(人類のための進歩)」という理念を、実際に“仕組みとして機能する行動”が行われた事例です。
具体的には、HYUNDAIが展開する「IONIQ Forest」プログラムの一環として、世界各地の森林にセンサーを設置。収集した空気・土壌・樹木などの生態学的データをAIが解析することで、木々が自らの視点で環境変化を語る記事を自動生成しました。生成された28本の記事は、8,000人以上のジャーナリストと500を超えるメディアに提供され、気候危機を「数字」ではなく「木の声」で伝えるという新しい報道のかたちを提示しました。
審査員を務めた本田哲也さんは「企業の社会的責任、データの活用、ナラティブの創出、メディアリレーションズの活用など、重要な要素が極めてバランスよく設計されている」と評価。また、国内のPRパーソンに向けて「日本ではCSRが情報開示にとどまるケースも多いなか、ジャーナリストとの関係をレバレッジするという点でも、広報部門に勇気を与える事例にあたる」とコメントしています。
マーケティングツールとして活用されているAIによるデータ分析・要約・自然言語生成(NLG)といった技術を、創造的な報道支援ツールとして活用したこの事例。
本田さんのコメントには、CSRコミュニケーションの現状をめぐる課題意識があることがうかがえます。企業広報担当者やPRパーソンにとって、理念を語るだけでなく、社会に働きかける構造を設計することの重要性を改めて考えるきっかけとなる事例であることは間違いないようです。
その他のPR事例についてはこちら
https://predge.jp/search/post?genre=25
会員登録、メルマガの受信設定はこちら
https://predge.jp/
記事をブックマークする
記事をブックマーク済み
0