ドン・キホーテに不穏な怪文書……SFドラマ『マルクト』の不可解プロモ

都市にあふれるさまざまな落書きや貼り紙……近年では、時にアートやヴァンダリズム(芸術や文化の破壊行為)としても評価されますが、社会への警告や問題提起といった「ノイズ」を模ったもの。ノイズに遭遇した人の心の動きを広告に生かそうというユニークな広告事例が登場しました。

6月初旬から、ドン・キホーテ梅田本店(大阪・梅田)、新宿店(東京・新大久保)のトイレに、「量産型大学生のなかに秘密国家のクローンが潜んでいる」と警告する怪文書が掲出されています。

陰謀論めいた文章が記されたポスターと、「タイプA」などと名付けられ、その特徴が書き込まれた“量産型大学生”の写真が……。

人の少ない深夜帯でなくとも、その不穏な存在感や不可解な言葉に、薄気味悪さや恐怖心を思わず感じてしまうことは間違いありません。

しかし、落ち着いてトイレ内を見回すと、そこには「このドラマはフィクションですか?」というキャッチコピーとともにロゴやQRコードが記された“ネタバレ”ステッカーが見つかります。

このステッカーを見つけることができれば、これらの怪文書が『マルクト』シリーズのプロモーションだとわかる仕組みに。また、量産型学生の画像はAIが生成したものだそうです。

『マルクト』とは、大阪のローカルテレビ局MBS(毎日放送/TBS系列)が、2025年5月24日(土)から放送するテレビ番組『マルクト情報テレビ』と、ショートドラマアプリ「BUMP」で6月6日(金)から配信されているドラマ『マルクト 〜あなた、誰ですか?〜』のこと。株式会社闇が企画し、ホラー作家の梨さんが原案と監修を務めるメディア横断型のドラマシリーズです。

物語の中心となる配信ドラマは、秘密国家を舞台に超監視社会によってもたらされる構造や社会そのものへの恐怖を描いたSF作品。そしてテレビ番組は、“異常な放送”がそのコンセプトだといい、ドラマの世界観を補強してより深く奇妙な体験をもたらします。

秘密国家を題材としたドラマの世界観を、テレビが連動して壮大に演出するアイデアを、番組プロモーションにも落とし込んだ事例です。

商業施設のお手洗いという日常空間にまで一連のドラマシリーズが演出する「違和感」や「恐怖」を持ち込み、視聴者の話題喚起や認知拡大を狙っています。現在、ショートドラマ『マルクト 〜あなた、誰ですか?〜』の1〜8話を1本にまとめた「一気見動画」が、YouTubeBUMP切り抜き【公式】チャンネルで無料公開中です。

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