<2025年>第59回スーパーボウル広告まとめ

アメリカンフットボール(以下、アメフト)の優勝決定戦である第59回スーパーボウル(以下、スーパーボウル)が、現地時間2月9日に開催されました。スーパーボウルとはプロアメフトリーグNFLに参加している32ものチームの内、レギュラーシーズンとプレーオフを勝ち抜いた上位2チームがその年の頂点の座を賭けて競う、規模、経済効果ともに世界最大級のスポーツイベントです。

昨年2024年に開催された第58回スーパーボウルは、メディア調査会社・ニールセンによると1億2340万人もの視聴者を生み、同社が全米で観測した史上最高の数値を叩き出すなどその注目度は名実ともにプロスポーツ界の頂点を極めていると言っても過言ではないでしょう。30秒のCMを出稿するために必要な費用は800万ドル(約12億円)とも言われ、そのあまりの媒体費の高さから各スポンサーともに渾身のCMを放映する、広告大国アメリカにおける年に1度の広告の祭典としても知られています。

今回はUSA Today社が行っているスーパーボウル中に放映されたCMを視聴者がリアルタイムで評価する独自の指標・Super Bowl Ad Meterによってランク付けされた、第59回スーパーボウルのCMトップ15を1位から順に一挙に紹介します。

「First Delivery」(Budweiser)

1876年よりアメリカ全土においしいビールを運んできたBudweiserが、その長い歴史をアピールしたCMが見事Ad Meterによる好感度トップに。まだ配送に馬車が使われていた時代に、1頭の仔馬が思わぬ事故によって取り残されてしまったBudweiserのビール樽を健気に運ぶ様子が描かれています。アメフトだけでなく、バスケットボールや野球などさまざまなスポーツリーグが絶大な人気を誇るアメリカ人にとって、ビールとスポーツは切っても切り離せない存在。そんな両者の関係性をエモーショナルに描いたアプローチが評価されたのではないでしょうか。

「The Little Farmer」(Lay’s)

日本ではカルビー傘下のブランドとして販売されているポテトチップスブランドのLay’s。1930年代のテネシー州で誕生し、100年近くもの間アメリカをはじめとした世界各国の老若男女に愛されている老舗ブランドです。今では北米大陸に点在する100以上の契約農家からじゃがいもを仕入れているLay’sは、アメリカのみならずカナダの農家をも支えていると言っても過言ではありません。そんなLay’sの地域密着ぶりを描いた長尺CMが視聴者の共感と好意的な反応を呼びました。

主役を務めるのは、家族経営の小さなじゃがいも農家の娘。親の真似をしてある日じゃがいもを地面に埋め、まるで我が子のように育てあげる様子が紹介されています。「アメリカ中の家族経営の農家によって育てられた、本物のじゃがいも」というキャッチフレーズで幕を下ろすCMからは、Lay’sのポテトチップス作りへの熱意だけでなくアメリカの農業全体を支えたいという強い意志が伺えます。

実際にスーパーボウルを観戦中にLay’sのポテトチップスを食べていた人も多かったのではないでしょうか。今まさに食べているポテトチップスがどんな人に育てられたのかを想像することもできるリアルな連動性も高い評価の要因になったのかもしれません。

「The ULTRA Hustle」(Michelob Ultra)

軽やかな味わいと低カロリーであることからカジュアルなスポーツ愛好家だけでなく、多くのアスリートからも支持される人気ビールブランドのMichelob Ultra。その広告クリエイティブの多くはインパクト抜群で、しばしば広告賞を獲ったり大きな話題を生んでいることでも知られています。今年のスーパーボウルで公開されたCMでは、大人気ベテラン俳優のWillem DafoeとCatherine O’Haraがタッグを組んでさまざまなプロアスリートに勝負を挑むことで彼らからMichelob Ultraを奪い取る様子が描かれています。

主役の2人だけでなく、勝負を挑まれるアスリートたちも超豪華であるところがポイント。元NFL選手のRandy Mossやバスケットボール選手のSabrina Ionescu、オリンピックで3連覇を果たしている砲丸投げ選手のRyan Crouserなど、あまりにも“ガチ”すぎるアスリートたちを立て続けに倒していく2人の様子はあまりにもシュールでありつつもどこかかっこよさを隠しきれておらず、見ている側としては不思議な気持ちになってしまうような映像です。

勝負の後のMichelob Ultraは格別である……そんなメッセージを暗に匂わせつつ、何がなんでもそれを味わいたいと強く願う2人の偉大な俳優の演技が光るCMでした。

「The Other David」(Stella Artois)

PR EDGEでもしばしば紹介してきたベルギー生まれのビールブランドStella Artois。競合ひしめくアメリカ市場においては“違いがわかる人向けのブランド”としてマーケティングを行っている同社がスーパーボウル中に放映したのは、一見するとあらゆる文脈を無視した、欧米を代表する大スター同士の不思議なコラボCMでした。

CMで描かれるのは誰もが知るサッカー界のレジェンド・David Beckhamがある日両親に「実はお前には言っていなかった双子の兄弟がアメリカいて、名前もお前と同じDavidだ。ただ、区別するためにThe Other David(もう1人のDavid)と呼んでいた」と告げられて、居ても立ってもいられずにアメリカに向かう様子。渡された住所を訪れると玄関の向こうから現れたのは、Matt Damon扮する“もう1人のDavid”でした。

すぐに意気投合し、お互いStella Aritoisを飲んでいることでさらに距離を縮めた2人の微笑ましい様子がとにかく印象的……ですが、特に何の共通点も見られない2人の大スターの謎な共演がシュールな後味を残します。ラストカットで“もう1人のDavid”が「お前は本国ではどれくらい有名なんだ?Matt Damonくらいか?」と聞いた際にDavidが「いや、Ben Affleckくらい有名かな」と答える様子が急にメタ的な要素を生み、わけがわからないまま動画は幕を下ろします。とにかくタレントパワーを前面に出しつつもなぜか引き込まれる脚本の妙が光るCMでした。

「Somebody」(NFL)

アメリカ中に点在する50000もの青年団体を支援するNFLは、国内で最も多くの注目を集めるスポーツだからこそ次の世代に希望を残す活動に日々取り組んでいます。そんなNFLの社会貢献的な側面を描いたCM“Somebody(わたしはわたしだ)”が多くの視聴者の共感を呼んだようです。

現役のNFL選手が、貧困率の高い地域の学校や特別支援学校、ヒスパニック系の子どもたちが集まる学校など、さまざまな場所に出向いて子どもたちに向かってスピーチを行う様子が描かれているというシンプルながらも力強いCMです。「わたしの髪の色はみんなと違えど、肌の色がみんなと違えど、わたしはわたしである。わたしはみんなと同じように尊敬され、守られ、決して拒絶される存在になってはならない。わたしはわたしであるがゆえに」という、恵まれない子どもたちにインスピレーションを与えることが目的の心揺さぶるセリフが印象的です。

たかがスポーツ、されどスポーツ。多くの子どもたちに夢を与える選手たちがフィールドの外でいかにして社会に貢献しているかが伺えるインパクト抜群の広告でした。

「Flag 50」(NFL)

アメリカでトップレベルの人気と知名度を誇る国民的スポーツ・アメフトも、その多くの選手は男性です。NFLも男性だけで構成されたリーグで、プロはおろか、学生レベルであっても女性アメフト選手はまだ世の中的には珍しい存在と言えるでしょう。そんな状況を少しでも変えるべく、NFLが公開した女性アメフトの啓蒙動画が多くの視聴者の関心を得たようです。

“Flag 50”というタイトルで公開されたCMのメッセージは、タックルの代わりに相手プレイヤーの腰に巻きつけられたフラッグを奪う、フラッグフットボールの女性用大学リーグをアメリカにおけるすべての州に導入しようというもの。フラッグフットボールと、50あるアメリカの州にちなんだタイトルであることが伺えます。動画の内容としては、一昔前の時代設定の海外ドラマのような世界観の中で女性フットボーラーが男性フットボーラーたちを蹂躙するというシンプルながらも力強い内容。

リーグの有無の問題で活躍の場が限られている女性フットボーラーたちがこぞって見るであろうスーパーボウルで放映するからこそ絶大な効果があったのではないでしょうか。

「Big Men on Cul-De-Sac」(Bud Light)

人気コメディアンのShane Gillis、元アメフト選手のPeyton Manning、そして日本でもカルト的な人気を誇るラッパーのPost Maloneという謎な超豪華キャストが一堂に会したBud LightのCMもランクインしました。住宅街で開かれた質素なパーティーに颯爽と登場したShane GillisとPost MaloneがBud Lightを地域中に文字通り“発射”することで見る見る内にパーティーは人で溢れかえり、最終的には大成功へと導く様子が描かれています。

軽やかな喉越しが特長のブランドだからこそ誰もが気軽に楽しむことができる……そんなBud Lightならではのアピールポイントに着目し、片田舎のコミュニティで開かれたつまらないパーティーであっても多くの人を集める存在である。街や州によってはコミュニティ意識が高いアメリカならではのアプローチでスーパーボウルを楽しく演出しました。実際にスーパーボウルを観ていた人の中にも彼らのようにコミュニティで集まって簡易的なパブリックビューイングのように観戦していた人もいたのでしょうか?

「A Century of Cravings」(Uber Eats)

昨年PR EDGEでも紹介したUber EatsのCMにおけるメッセージ「アメフトは食べ物を売るための陰謀である」にまさかの続編が登場しました。前回同様主演を務めるのは大人気俳優のMatthew McConaughey。「アメフトのボールの愛称はピッグスキンだろう?これはベーコンを連想させることを目的としている。バッファロー?バッファローウィングスがあるだろう。昔いたPeyton Manningという選手を覚えているか?やつは試合中のサインにオマハと叫んでいた。それはオマハステーキのことだろう」とにかく何の根拠もなくアメフト用語と食べ物を結びつけていく様子はさらに勢いを増しており、ジョークだとわかっていても不思議と説得力を帯びていることもポイントでしょう。

自宅でスポーツ観戦をしている人にとっては欠かせない存在とも言えるフードデリバリー大手のUber Eatsだからこそ、アメフトと食に関するあらゆる共通点を洗い出してシュールなユーモアへと昇華させた事例でした。1度で終わるかと思っていたこの“陰謀論シリーズ”とも言えるメッセージング、来シーズンも公開されるかが楽しみですね。

「When Sally Met Hellmann’s」(Hellmann’s)

毎年スーパーボウルの時期に合わせて大規模なCMを打つマヨネーズブランドのHellmann’sが今年も渾身のCMを放映しました。今年の主演を務めるのはMeg RyanとBilly Crystalという往年の名俳優。どこにでもありそうなレストランで提供されたサンドイッチの味に満足しなかったMeg Ryanが、たまたまテーブルにあったHellmann’sのマヨネーズを使うことでオーバーリアクションを連発する様子が笑いを誘います。長い説明ではなくとにかくそのおいしさが伝わるような演技が光る一点突破な戦略が伺える映像と言えるでしょう。

実はこのシーン、俳優から舞台設定、セリフの一部にいたるまですべて1989年に公開された映画“When Harry Met Sally(邦題:恋人たちの予感)”の名シーンを完全にコピーしているのです。映画好きであれば気づけたであろうこのオマージュ、リアルタイムで見ていた人の内どれだけ多くがピンと来たのか気になるところですね。

「Knock Out」(Pfizer)

製薬会社大手のPfizerの、力強く、深いメッセージが印象的なCMも多くのスーパーボウル視聴者の心を射抜きました。“Knock Out(ノックアウト)”というタイトルのCMで描かれているのは、病院のベッドから立ち上がり、戦いのゴングを鳴らした後に街へと繰り出す1人の少年。その道中には多くの人が集まり、まるで彼が格闘技のチャンピオンにでもなったかのように盛大に祝福される様子が紹介されています。

動画が後半に差し掛かるにつれて明かされるこのCMの真のメッセージは、実は少年はガンに打ち勝ったから祝福されていたということ。LL COOL Jの名曲“Mama Said Knock You Out”の歌詞は、単に動画のタイトルを匂わせていたのではなく、文字どおり少年がガンに打ち勝った、すなわちノックアウトさせたのだという意味が込められていたのです。

2030年までに8つものガンに関する発明を起こすと宣言しているPfizer社ならではのアプローチで、感動的ながらも力強いCMに仕上げることができたようです。少年は打ち勝ったものの同社にとっての挑戦はまだはじまったばかり。2030年にはどんなCMが公開されるのか今から楽しみです。

「Abduction (For the Bold)」(Doritos)

日本でもお馴染みのスナック菓子・ドリトス。とうもろこしを主原料としたトルティーヤチップスの代名詞とも言える同ブランドはNFLのみならずMLBやNBAをはじめとしたさまざまなスポーツの試合にCMを出稿しており、自宅で観戦をするスポーツファンとの相性がいいからこそ明確なターゲティングがされている商品と言えるでしょう。そんなドリトスが公開した短尺CMが、ほとんどセリフがないにも関わらず多くの話題を生みました。

CMでは、突然現れた宇宙人にドリトスを奪われそうになってしまう男性の様子が描かれています。絶対にドリトスを奪い去りたい宇宙人と、絶対にドリトスを渡したくない主人公の男性……鬼気迫る攻防の末に起きたのは、UFOが爆発するというあまりにもシュールすぎるオチ。YouTubeのコメント欄には「ここ数年のスーパーボウルCMの中で1番笑ったよ、最高だった」など、非常に好意的なコメントが多数集まりました。

出稿費が恐ろしく高いタイミングだからこそ各社揃って深みのあるブランドメッセージなどを打ち出す中、あえてくだらないユーモアを詰め込むことで視聴者に向けてささやかな息抜きを提供したこの動画。自社が何を言いたいのか、ではなく、同じ番組に出稿する他社は何を言いそうかを軸に考えた結果多くの人の好感を得ることができた事例でした。

「Owner’s Manual」(Jeep)

アメリカ生まれの自動車ブランドの代名詞とも言えるJeepは、80年を超える長い歴史に裏付けされたたしかな信頼と高いロイヤリティを土台に、常に多種多様なコミュニケーションを行っているブランドです。そんなJeepが公開した深いメッセージングが印象的な長尺ブランディング動画が視聴者の支持を得ることに成功したようです。

“Owner’s Manual(取扱説明書)”というタイトルが付けられた動画に出演するのは、超大物俳優のHarrison Ford。「人生における取扱説明書はない。だからこそ人生は難しく、楽しいのである」というモノローグから幕を開ける動画は、自ら大切な価値観を定義し、その価値観に基づいた生き方をすることの重要性を説いています。

「別に友だちじゃなくても、ちゃんと挨拶をする。決して同じ考え方じゃない人がいたとしても、その違いを強みとして捉える。何が自分にとって大切なのかを選ぶ行為そのものが自由であるということ。わたしは家族と過ごす時間、友人と過ごす時間、仕事に費やす時間、そしてJeepに乗っている時間が幸せなんだ……名前はFordだけどね」というジョークを交え、思わず考えさせられる内容でありながらもクスッと笑ってしまうようなユーモアもしっかりと詰め込まれています。

誰もが知る大物俳優のキャスティングを通じて自社の人生に対する考え方を説く……どんなブランドでも出来るような手法ではありますが、Jeepならではの説得力とインパクトが何よりも印象的。露骨に競合ブランドの名前をジョークとして使うことができるのもアメリカらしいアプローチと言える長尺CMでした。

「We’re Here」(Instacart)

アメリカ生まれのフードデリバリーサービスInstacartは、Uber EatsやDoordashをはじめとした競合他社とは異なり主にスーパーマーケットなどで販売されている食料品をメインに配達しています。車社会として知られる同国内では一定のニーズがある業態で、日本で言うところのネットスーパーと仕組み自体はほとんど同じではあるもののその規模と需要の大きさにはかなり差があります。そんなInstacartが公開したスーパーボウルのCMでは未だかつてないレベルの企業キャラのコラボが実現されており、慣れ親しんだ会社の公式キャラクターが一堂に会するインパクトが視聴者の間で大きな話題を呼びました。

動画内に登場するのは、P&GのキャラクターMr.CleanからCheetosでお馴染みのChester Cheetah、老舗菓子パンメーカーのマスコットDoughboyに食品加工会社の顔Jolly Green Giant、乾電池の代名詞とも言えるEnergizerのEnergizer Bunnyなど、スーパーマーケットやコンビニの店舗内で頻繁に目にする企業キャラクターの数々。一般的に複数社にまたがるコラボは実現が非常に難しいと言われている中で、すべての会社と取引があるInstacartだからこそ成し遂げることができた奇跡の大型コラボであると言えるでしょう。

自社のサービスをアピールするにあたり、取引がある関係会社をも巻き込んで大規模なプロモーションを行った結果、Win-Winの関係性を実現しようと試みた非常に意欲的なCMでした。

「Dream Job」(Google)

検索エンジンのGoogle、高性能スマートフォンのGoogle Pixelに加え、自社開発のAIアシスタントGeminiの運営元・販売元として知られるアメリカを代表するテック企業Google。Gemini Liveを標準搭載したGoogle Pixel 9の機能をエモーショナルに表現した長尺CMがスーパーボウルで公開され、多くの親世代が共感できるであろうクリエイティブが評価されたようです。

“Dream Job(夢のような仕事)”というタイトルの動画で描かれているのは、就職活動に取り組む1人の男性。面接対策としてGemini Liveに壁打ち相手になってもらいながら、これまでの経歴について語っている様子が紹介されています。「これまでで最も大きな達成感を覚えた仕事は、とても大変な仕事でもありました。緻密な交渉や高度なマルチタスク技術を求められ、上手くいかないときもたくさんありました。自分の意見よりもコラボレーションが求められる場面も多くあり、それでもその先には大きな達成感がありました」そう語る男性ですが、画面に映し出されているのは彼が子育てをしているシーン。

子育てという、人によっては人生で最も大切な“仕事”のことを通じて自分のこれまでのキャリアを振り返るというストーリーが高い評価に繋がったようです。スーパーボウルのCMの視聴者は、会場で観戦する人ではなく自宅で観戦をする人たち……その中には親子で一緒に見ている人もいるでしょう。そんな状況を想像した上で適切なメッセージングを心がけた温かみのあるクリエイティブでした。

「These Legs」(Dove)

シャンプーやボディソープを販売する世界的なブランドとして欧米圏や日本のみならず世界各国で愛用されている日用品ブランドのDoveは、多くの人の手に届く価格で高品質な商品を届けているだけなく、その広告クリエイティブが社会的な文脈を帯びることで絶大な説得力を持っているブランドとしても知られています。今年のスーパーボウルで公開されたCMは、女性アスリートに向けられるルッキズムを社会問題として打ち出した力強いメッセージが印象的な内容でした。

“These Legs(他の誰のでもないわたしの脚)”というタイトルの動画で描かれるのは、誰の目も気にすることなく走り続ける1人の少女。満面の笑みを浮かべながらどこまででも走っていきそうな少女の上に「3歳のとき、この脚は誰にも止められない」というフレーズが映し出されたと思いきや、その直後に「14歳になれば、この脚は誰かの言葉がきっかけで耐えられないものになる」と表示されます。女性アスリートの2人に1人は見た目に関する指摘を気にしてしまいスポーツの道を閉ざしてしまうという事実とともに幕を下ろす動画は、視聴者が日頃スポーツに打ち込む少女たちにどのような言葉をかけているのかを意識させる強烈な読後感を残したのでしょう。

スポーツを愛する人が注目するイベントだからこそ、その文脈に則ったメッセージングが印象的なDoveらしさ満載のCMでした。

以上がUSA Today Ad Meterによって選ばれたスーパーボウルのCM好感度ランキングトップ15に入った作品たちでした。年に1度しかないビッグチャンスだからこそ壮大なブランドメッセージを打ち出す会社、とにかく愚直に商品やサービスの特長を描くことに専念した会社、逆に他社が真面目なメッセージを打ち出すことを見越した上であえてユーモアたっぷりなCMを公開した会社……そのアプローチはさまざまですが、共通して言えるのは各社ともに視聴者はどのような属性の人で、どのような場所でどのような人とどのような物に囲まれながらこのCMを見るのかというターゲットの解像度が非常に高かったですね。

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