鏡月Green宅飲みイベント、企画経緯から効果測定まで担当者に直撃インタビュー|前編
居酒屋「あの人の家」presented by 鏡月Greenは、5日間毎日変わる個性的な家主と、家主にあわせた内装の会場を参加者が来訪し、その世界観に没入して「宅飲み」体験ができるというサントリーのイベント施策。東京・渋谷で開催した2024年4月25日(木)から4月29日(月)の予約は、受付開始からたった2日で全枠満員になるほどの人気ぶりでした。1枠1組限定(45分間の体験時間)で展開したイベントには、5日間で合計33組94名が来店。多くのメディアにも取り上げられ、SNSでの反響も大きなものとなりました。
・※PR EDGE紹介記事:家主5人が日替わりで登場!鏡月Greenを“疑似宅飲み”できる居酒屋「あの人の家」
今回は、そんな話題となった施策の裏側を直撃。サントリーの松浦健太さんに、企画実現の経緯から実施後の効果測定も含めて大いに語っていただきました。前後編の2回に分けてお届けします。
今回の施策の担当者、サントリーの松浦健太さん
まずは、あらためて今回の施策実施の背景について教えてください。
2022年3月のリニューアルを機に、鏡月Greenは主な購買ターゲットを変更して、20〜30代の若年層にシフトしてきました。ここ1〜2年は好調に推移して前年売り上げ比を上回ってきた流れもあり、さらに加速させたいという狙いがありました。
これまで若年層向けに鏡月Greenの割り方として、ちょい足しアレンジなどを提案しています。公式サイトでは、身近にある飲み物との合わせ方やみんなのアイデアから生まれたレシピ、そしてプロのちょい足しアレンジなど、さまざまな楽しみ方を発信してきました。
そういったアレンジ提案を通して、鏡月Greenの楽しい飲み方を知ってもらうだけでなく、仲間とお酒を飲む楽しさにあらためて気づいてもらいたいという思いがありました。そこでターゲットとしている若年層にイベントという形で実際に体験してもらうべく、4月という新しい生活が始まるタイミングで実施しようというのが企画の始まりでした。
・鏡月Green公式サイト:https://www.suntory.co.jp/sho-chu/kyougetsu/howto.html
鏡月Greenを楽しむためのアレンジ提案「ちょい足し食材」を追加して、乾杯
今回の宅飲み体験というイベントは、とても斬新なアイデアだったと思いますが、実施の実現に向けて苦労されたのは、どんなところでしたか?
まず、そもそもこういった企画は、サントリーとしては前例がないものだったので、イベントを本当に行うべきなのかという議論がありました。没入、イマーシブ体験は、世間一般的に流行りとして認知されていると思いますが、サントリーという企業が実施することで考えられるメリットやデメリットなど、実施に関して起こりうる想定を企画チームとも議論しながら、いろいろと洗い出していきました。
それでも、やはり企画自体がとてもおもしろいし、実際に鏡月Greenを飲んでもらうきっかけを作らなければとなったときに効果的な施策になるだろう、というのがチームの共通認識でした。そこで、サントリー社内でも検討して「ここはチャレンジしてみよう」という機運が高まってのスタートでした。
じつは、鏡月というブランドは、良い意味でも悪い意味でも認知度がものすごく高いという特徴があります。昔からある商品なので、飲んだことはなくても認知している人が若年層でも多いです。ただ、学生時代に悪酔いしてしまった経験などでマイナスイメージを持っている方が少なくはないというのも事実であり、若年層から敬遠されてしまっているという課題がありました。
新しい商品ならば、どんなものかという興味から試飲イベントに来てもらえる率が高いのですが、鏡月という歴史の長いブランドでは普通にイベントを開催しても集客が難しいんです。イベントに強い企画性を持たせることで、お客様に関心を持ってもらえるのではないかという思いがありました。
※イベント後のアンケートでは、今回の施策の狙い通りの結果を得られたことわかります
家主が毎日変わる点もユニークですが、それぞれの個性的なキャラクター設定を持つ男女バラバラな家主であることが、より広い範囲のターゲットに届いた施策になっているかと思います。そんな家主たちのキャラクター設定からキャスティングまでは、どのように行われたのでしょうか?
5人それぞれにおもしろい特徴がありますが、昔クラスに一人はいただろう“特徴的なあの人”のイメージを実現することが、こだわった点です。「ああ、あいつね」と、誰もが思い浮かべられる人物像から広げていき、音楽やお笑いというキーポイントを設定して、5人のキャラクターを決定しました。あとは、お客さんとして、男性が来ても女性が来てもどちらでも楽しめる家主であるという部分も大切にしました。それを念頭においてのキャラクター設定とキャスティングでした。
今回、家主を担当した方たちは、オーディションで53名の中から選考しています。事前に配布したキャラクターの設定をもとに、実際のイベントを想定した形で自由にアドリブ対応してもらい、対応力や話しやすさを重視して決めました。
5日間、それぞれ個性あふれる家主と家の内装が展開されました
家主をもっと少なくする、5日間変えないという選択肢も議論されたのでしょうか?
1日ごとに変えなくてもよいのではないかという議論もありました。ただ、PRバリュー的にもそうですし、毎日家主を変えるというところは今回の施策の重要なポイントのひとつでもあったので、ここは変えずにやっていきましょう、ということでチームで結論を出したんです。
企画自体は、家主を日替わりにしない、開催日数を減らすなど、もっとコンパクトになる可能性もありました。実際、サントリー社内でもさまざまな意見がありましたが、最終的にはやはりおもしろいということで実現できたイベントでした。最初の段階から描いていたイメージをうまく最後まで残した形で開催でき、それがPRバリューという結果にもつながったと思います。
1日目の家主・芸人志望の幼馴染「吉田」と中田クルミさんらのデモンストレーション
家主ごとの部屋の装飾もこだわりを感じる素敵な空間演出になっていたと思いますが、工夫されたところはどこですか?
それぞれの部屋ごとに最初から設定をしていたことももちろんありますが、実際に家主の私物をけっこう持ち込んでもらいました。そうすることによって、より臨場感やリアリティを持たせることができたという実感があります。お笑い芸人の場合は子どもの頃の写真をはじめ、私服や小物などを持ってきてもらいましたし、参加者が本当に家主の家に来たと錯覚できるような空間になったのは、良かったと思います。
さらに今回のイベントは、関わった全員で楽しみながらやり抜きました。まるで、文化祭のようにひとつの催し物を作っているような感覚があったという話も振り返り時に出てきました。時期もゴールデンウィーク前ということもあって、より高揚感を持って取り組めた施策だったかもしれません。家主の方の私物もそうですが、スタッフチームも現場でどんどんアイデアを出してより良いものを追求していました。そうやって実際に人の手によって生み出されているという感じが、独特の空気感を作り出せたのではないかと思います。
実際に吉田の家に飾られた、子どもの頃の写真などリアルな装飾品
こういうイベントはどうしても都心部での実施が多いと思うのですが、今回の盛況から全国でも展開されるご予定とかはないのでしょうか?
鏡月Greenという商品自体にエリア性があり、焼酎でいうと西の方では乙類焼酎、北海道では甲類焼酎が選ばれやすいんです。そこで、やはり若年層を取り込んでいくには、首都圏を中心に展開するところからという事情があります。
では、渋谷という場所の選定にも若年層狙いという理由や思惑があったのでしょうか?
企画当初は、下北沢で探していたんです。クリエイティブチームから聞いた話によると、下北沢のエリアにある独特な雰囲気が企画の最初のイメージにあったそうなんです。ふらっと飲みにいけるような、帰る場所っぽい雰囲気がある、あの空気感がいいよねという着想から企画を練って提案いただいた、と。実際に探してみると、ぴったりな場所が見つからなかったので、世界観はちゃんと担保しつつも、若者や人が集まる場所はどこだろうと考えて、あの渋谷のNスペースという場所がちょうどよいということになりました。
あとは、Nスペースではポップアップ的なイベントが多く開催されている場所です。そんな自由参加型でふらっと立ち寄って出入りできる使われ方をしているところに、あえて事前予約型の新たな試みをやるのはおもしろいな、と。話題にもなるでしょうし、人通りも多いので、外側からイベントを写真に撮ってSNSに投稿するという使われ方もされやすいのではないかという目論見もあって決めました。今回、訴求したい若者向けのお酒というところと、渋谷という若者が集う街のイメージがマッチしていますしね。
渋谷のど真ん中に現れた鏡月Greenをイメージした緑色の外観が特徴的なおうち
オープン前に実施されたメディア向け内覧会もそうですが、告知段階からメディアの反響もすごかったのではないでしょうか。
そうですね。反響が良かったのはもちろんですが、記事掲載や映像紹介などをはじめ、取り上げられ方も単なるブランドの戦略というだけでなく、エンタメ性の高さや、企画自体の価値を切り口に取り上げてもらえたのがありがたかったです。そこはクリエイティブ担当チームとも一緒に喜んだ部分でした。
また、内覧会では企画内容だけでなく、登場された中田クルミさんをきっかけにした記者の方も来られるなど、いろいろな視点での媒体の参加があったとPR窓口の担当者に聞きました。実演したロールプレイングの内容に触れながら、鏡月のブランドとしての狙いも含めて全体的に理想通りの取り上げ方をしていただいた実感があります。
報告では、告知のリリースに加え、内覧会開催や事後リリースの発信を実施したことで媒体数が予想以上の数になったと聞いています。中身だけでなく、数字の上でも本当に良い施策に成長したと思います。
(前編・了)
6月28日(金)に公開する後編では、さらにイベント施策を通じて実感した手応えや改善ポイントなど、実際のアンケート結果やSNSの反響とともにお届けします。
・※関連リリース:5人の家主が日替わりで登場する“疑似宅飲み体験” 居酒屋「あの人の家」presented by 鏡月Green、4月25日(木)~29日(月)期間限定オープン!
・※関連リリース:予約開始からたった2日で全枠満員の大反響!居酒屋「あの人の家」presented by 鏡月Green5日間、毎日お店が変わる!驚愕の舞台裏を大公開
(取材・文/見野歩)
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