自然界隈、〇〇ドリル!? Z世代女性が選ぶ、2024年のトレンド予測
若者マーケティング機関「SHIBUYA109 lab.(シブヤイチマルキュウラボ)」は、SHIBUYA109 lab.が保有する独自ネットワーク「SHIBUYA109 lab. MATE」に所属する、around20(15~24歳)の女性443名を対象に実施した2024年のトレンド予測のアンケート結果を発表しました。
SHIBUYA109 lab.トレンド予測2024では、「カフェ・グルメ部門」「モノ・コト部門」「ファッション・コスメ部門」「アーティスト部門」の4つの部門でトレンド予測を決定しています。また、ノミネート候補については、7名の高校生・大学生と実施した「トレンド予測会」の内容を基に選定されています。
「カフェ・グルメ部門」では、くるくる、ぷるぷる、もふもふなど、プロセスを楽しめる食体験への高い関心が見られました。そして、これまでと同様に韓国の食トレンドへの注目が高い傾向が見られます。また、検索したくなるネーミングの食への注目が集まっているようです。Z世代は食体験において、注文から食べ終わるまでの『食以外の体験の充実度』を重視していることから、「作る過程がみえる」「自分で選べる」などのプロセスを楽しめる食が注目されています。また、ショート動画でのコミュニケーションが増えていることから、動画映えすることがより重視されていると考えられます。
「アサイーボウル」は、アサイーという果実で作ったスムージーに、グラノーラやフルーツなどをトッピングしたスイーツ。おしゃれな見た目だけでなく、美容や健康にもよい点が魅力で10年ほど前にブームになりましたが、近頃人気が再燃し、手軽に食べることのできる専門店も増えています。
「サモエドカフェ」は、サモエド(ロシアのシベリアを原産とする犬種)と触れ合えるカフェのこと。韓国でトレンドとなっており、2023年9月に日本初の店舗がオープンしたことで注目を集めています。人気ドラマに登場した犬種ということや、白くてもふもふな見た目に癒されたいという声が多くなっています。
「ぷよぷよ動物プリン」は、動物の形をした、ぷるぷると揺れるプリンのことです。韓国にあるカフェで、ウサギなどの形をしたプリンを激しく揺らすショート動画が話題となっています。日本でも新大久保に猫の形をしたぷよぷよ動物プリンのお店が登場し、さらに注目が高まりそうです。
「おじいちゃん・おばあちゃんの味」は、おじいちゃんやおばあちゃんが個人で経営している喫茶店やレストランで提供される料理のこと。老舗のお店であることから、味で失敗する可能性が低いことも魅力のようです。昔ながらの技法で料理を仕上げる様子や接客の様子なども動画等などで拡散され、話題になっています。
「レコードカフェ」は、文字通りレコードを聴いたり購入したりできるカフェ。レコードで音楽を流しているだけでなく、好きな曲をリクエストできるお店も増えています。
「量り売りケーキ」は、韓国でトレンドとなっている、100g単位から注文できるケーキ。自分の食べたい量だけ注文することができ、食品ロス削減にもつながることがポイントです。ケーキの味に合わせたトッピングでアレンジできることも魅力となっています。
「タンフル」は、こちらも韓国で人気を集めている、フルーツや野菜などを薄い飴でコーティングしたスイーツ。プレッツェルやマシュマロをコーティングしたものや、お酒の上にのせて楽しむアレンジなども生まれています。
「オニワッサン」は、おにぎりのような形をしたクロワッサンのこと。韓国のカフェでスタッフがオニワッサンの被り物をしている動画が話題となり、日本でも注目を集めています。
「クルンジ」は、クロワッサンを潰して、平たく焼いたスイーツ。クロッフル、クロフィンに続き、進化系クロワッサンとして話題となっています。おせんべいのように食べるのはもちろん、アイスなどを挟んで提供するカフェもあります。
「チムニーパン」は、ハンガリー発祥のえんとつのような形をしたパン。端からくるくると取り外しながら食べる様子が動画映えすると話題です。
「モノ・コト部門」では、デトックスと“アゲ”のメリハリを楽しむ消費の傾向が見られ、没入感がキーワードという結果になりました。SHIBUYA109 lab.が毎月実施しているヒアリングの中でも、最近は「自然が豊かな場所に行きたい」「自然に囲まれたい」という声が多く聞かれるようになっています。背景には山や川、バラ園など、自然豊かな場所での写真や動画の撮影が新鮮に感じられるという点と、都会の喧噪やスマホの中の膨大な情報から少し距離を置いて、デトックスをしたいという意識があることがうかがえます。
一方で、クラブなどナイトエンタメへの注目の高まりも見られており、友人と共有する時間のテンションのメリハリを楽しむ若者が増えることが予想されます。
「自然界隈」は、高原や川などの自然を好む界隈のことを指します。自然豊かな場所に出向き、デトックスしている写真や動画に「#自然界隈」をつけて投稿をするZ世代が増えてきています。2023年にトレンドになった「BeReal映え」も期待できるという声が聞かれており、自然を楽しむ体験に注目が集まりそうです。
「■●●ヒス構文」は、お笑い芸人ラランドのサーヤさんがラジオで紹介した『お母さんヒス構文』が元ネタになっている、ヒステリックな口調で論理を飛躍・すり替える会話のこと。アレンジされ、「JKヒス構文」「コンビニ店員ヒス構文」など新たな●●ヒス構文としてアレンジが楽しまれています。
「小型チェキ」は、その名の通り手のひらサイズの小型チェキ。小さなサイズのため、アクセサリー感覚で持ち運ぶことができ、撮った写真もすぐスマホで確認できる点が魅力です。
「平成女児」は、平成の女子小学生が幼いころ夢中になっていたコンテンツや世界観を指し、とくに2010年前後に流行ったコンテンツの人気が再燃中です。幼少期に楽しんだ、おもちゃのようなデザインのアクセサリーや小物などもファッションアイテムとして注目されています。
「○○ドリル」は、TikTokを中心に楽しまれている、既存の楽曲をドリルミュージック風にアレンジした楽曲のこと。槇原敬之の楽曲『もう恋なんてしない』をアレンジした「槇原ドリル」の楽曲と振り付けがきっかけとなり、様々な楽曲がドリルMIXされるようになりました。
「빵빵이(パンパンイ)」は、漫画家イ・ジュヨンによるコメディウェブトゥーン『빵빵이의 일상(パンパンイの日常)』の主人公。主に動画配信サービスでアニメとして放送されており、日本ではTikTokで字幕付き切り抜き動画として視聴されています。気の強い彼女と尻に引かれる主人公빵빵이の掛け合いが面白いと話題です。
「クラブ」は、コロナ禍が明け、よりリアルな場や音楽を求める若者が増えたことで人気が再燃しています。K-POP楽曲限定のイベントや、アルコール提供がない高校生限定のイベントなどが開催されていることで、今までクラブに行かなかった人でも行きやすくなっています。
「Temu(ティームー)」は、2023年7月から日本でサービスが開始された格安通販サイト。アパレルや電化製品、アウトドア製品が格安で販売されているのが特徴。SNSで紹介コードをシェアすると商品5つが無料になるキャンペーンが行われていることから、注目が集まっています。
「ヴィンテージ雑貨・蚤の市」は、ヴィンテージの雑貨や服などを取り扱うフリーマーケットに似たイベント「蚤の市」。蚤の市でヴィンテージ雑貨を楽しむ様子がショート動画などでも投稿され始めています。屋外でのゆったりした時間や珍しいアイテムを自ら探し出す楽しさが魅力です。
「ギャル体験」は、黒ギャル、白ギャル、姫ギャルなど、平成ギャルの服装やメイクをしてもらえる体験。これまでも「韓国アイドル体験」など、本格的なヘアメイクと衣装のスタイリングをしてもらえる体験がトレンドになっており、世界観に没入できる体験に注目が集まっています。
「ファッション・メイク部門」では、パンク・ロリータ・バレエコアなど、界隈の軸となる個性がキーワードに。今年、2000~2005年頃に流行した漫画『NANA』や『DEATH NOTE』など、登場人物のファッションに注目が集まっています。Y2Kスタイルは定着しつつありますが、2024年はゴスロリやパンクファッションなど、平成中期の日本のサブカルチャーの影響を受けたY2Kテイストが楽しまれそうです。
「無彩色メイク」は、グレーなどの彩度が低く、くすんだマットカラーを使用したメイクのこと。韓国の女子高校生のデイリーメイクとして注目が高まったことから、「韓国JKメイク」とも呼ばれています。色味を入れないことで垢抜けた印象になることから、注目されています。
「バッグにぬい」は、韓国のファッションブランドやインテリアブランドから販売されているぬいぐるみ(キーリング)をカバンにつけること。お出かけ用のバッグやスクールバッグにつけることで、コーディネイトに抜け感が生まれます。
「フリルカラー」は、肩から斜めにかけて着用するフリルアイテム。一つで様々なコーディネイトの印象を変えることができます。フリルカラーを取り入れることで、ファッション上級者風の着こなしができることでも注目されています。
「シティ系コーデ」は、ロンドンやフランスのストリートスナップのようなコーディネイトのこと。スウェットなどのカジュアルなアイテムを使いながらも、洗練された脱力感が魅力で、キメ過ぎないのに“だらけて見えない”のがポイントです。
「貼る下まつげ」は、水で濡らし、下まぶた部分に貼って使うシール。難しい下まつげメイクがタトゥーシール感覚で簡単にできることが魅力です。
「ニーハイソックス」は、TWICEのサナが空港コーデで(ニーハイソックスを)着用していたことがきっかけとなり、話題になっています。GUのニーハイソックスもX(旧Twitter)で話題となっており、コーディネートに取り入れる人が増えています。
「クラシカルロリータ」は、2000年代初期にトレンドとなったロリータファッション。その中でも、クラシカルなスタイルのことを指しています。一般的なロリータファッションに比べて上品でシンプルな雰囲気が特徴で、普段使いしやすいアイテムもあることから注目されています。「クラロリ」と略されることもあります。
「パンクファッション」は、2000年代初期にトレンドとなった漫画『NANA』の人気が再燃したことがきっかけとなり、主人公の大崎ナナを意識したパンクファッションに注目が集まっています。パンク系ファッションの代表的なブランドである「Vivienne Westwood」もトレンドになりそうです。
「フェアリーグランジ」は、1980~1990年代に流行したグランジ・ロックから派生して生まれた、色落ちやダメージの加工がしてあるアイテム(主に古着)を取り入れることが特徴のグランジファッションに、レースや蝶々柄などのフェアリー感のあるアイテムがミックスされたスタイルです。
「バレエコア」は、バレエにインスパイアされたファッションのことで、バレエの練習着のようなスタイル。具体的なアイテムとしては、チュールスカートやサテン素材、レッグウォーマーなどがあります。ラグジュアリーブランドや韓国のブランド、国内のプチプラブランドでもバレエコアなアイテムが多く発売されています。近年人気のフレンチガーリーな世界観にマッチするほか、他のファッション系統でも、コーディネイトのアクセントとして取り入れられています。
「アーティスト部門」では、TOPアーティストのDNAを受け継ぐ妹分・弟分の台頭が見られました。ノミネートには次世代アイドル・K-POPアーティスト、邦ロックバンドなど、多岐にわたるジャンル・アーティストが並びました。NCTやBLACKPINKなど、世界で人気を博しているアーティストの弟分・妹分のアイドルグループも多く登場しています。
いかに、SNS投稿の挿入歌として楽しまれるかがトレンドを左右しているため、各界隈のファンたちが「推し」のアーティストの良さを共有する“布教力”に今後注目です。
SHIBUYA109 lab.所長の長田麻衣さんは、2024年のキーワードは「デトックス消費」「ナイトアクティビティ」、そして熱量の高い小コミュニティで生まれる「界隈消費」には引き続き注目と総括されています。
アンケート結果を見てみると、全体的にコロナ禍での行動制限から解放されて、能動的なワードが増えている傾向を感じます。また、SNSや動画といったコミュニケーションの影響が大きく、トレンドをキャッチするためには最新の動向を知ることはマストとなっているのを感じます。認知拡大やトレンドの醸成には、SNSと動画を組み込みながら、いかに行動させるきっかけ作りができるかがポイントと感じます。そのためには、高い熱量の集まる界隈を深く知り、解像度高くした上で施策に取り込むことが必須といえそうです。
【アンケート調査概要】調査方法:WEBでのアンケート調査(独自ネットワークSHIBUYA109 lab. MATEによる回答)/調査期間:2023年10~11月/調査対象:around20(15歳~24歳)女性/有効回答数:n =443/調査実施・分析:SHIBUYA109 lab.(運営:株式会社SHIBUYA109エンタテイメント)
【ノミネート候補の選定について】2023年10月にトレンド予測会議を実施し、SHIBUYA109 lab.の保有する独自ネットワーク「SHIBUYA109 lab. MATE」に所属する高校生・大学生7名とともに、部門ごとのノミネート候補に関する話し合いを実施。その他、毎月実施している館内でのトレンド調査の結果などを基に選定。その後選択式アンケートを行い、ノミネートを決定。
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