カンヌライオンズ2021「Good」グランプリ受賞作品まとめ
6月21日〜25日にオンラインにて開催された「Cannes Lions 2021」。社会通念を前進させるソーシャルグッドな作品に贈られる「Good」部門において、特定の文化に影響を及ぼした作品を評価する「Glass: The Lion for Change」、国を超越して社会そのものの改善を図った作品を評価する「Grand Prix for Good」、SDGsな作品を評価する「Sustainable Development Goals Lions」の3つの賞におけるグランプリをご紹介します。
Glass: The Lion for Change
「I AM」(Starbucks)
世界的に見ると少しずつではありますが向上しているLGBTQの権利。しかし、いまだに自分の性自認に基づいた名前を公的に名乗ることができず、親から与えられたものを使い続けなければいけない人たちは多くいます。
そんな人たちに対し、ブラジルのStarbucksが一部の店舗スペースを開放し、「I AM(わたしの名前は)」という名前の公証人役場を期間限定で開設し、金銭的なものや社会的なものなど、さまざまな理由で自ら公証人役場に足を運ぶのをためらっていた人たちが、自由に出入りし自分の名前を変えることができる機会を提供しました。
実施後に公開されたキャンペーン動画では、しっかりと法的な手順を踏んで自分の”本当の名前”が書かれた文書を手に涙を浮かべる人たちのようすを映しています。
Grand Prix for Good
「#STILLSPEAKINGUP DEEPTRUTH」(Propuesta Cívica AC)
麻薬の製造や売買を行う組織=麻薬カルテルが裏社会のみならず、政治にも大きな影響力を持つメキシコにおいて、2007年にカルテルの真実を暴くことに生涯を捧げた伝説的なジャーナリストJavier Valdezが暗殺されました。
この事件に関して、大統領までもが「ジャーナリストのみなさん、たとえ仕事のためであっても超えてはいけない線があります」とコメントし、大きな波紋を生んだこの事件について風化させないため、ディープフェイク(人工知能にもとづく人物画像合成技術)を活用してValdez氏を”生き返らせた”施策。
メキシコの祭日・死者の日に「#StillSpeakingUp(それでもわたしたちは告発する)」というタイトルで公開された動画では、まるで生きているかのようなValdez氏がジャーナリストの安全と基本的人権を求める様子が映されました。死してなお正義を追い求める姿を描いた衝撃的な動画は、3億5,000万ものオーガニックインプレッションと20億円にもおよぶメディア露出を獲得しました。
Sustainable Development Goals Lions
「THE 2030 CALCULATOR」(Doconomy)
製造業界における多くの会社は、国連気候変動に関する政府間パネル(通称IPCC)のもと、2030年までに二酸化炭素排出量を半減させるという目標を達成しなければいけません。これを受け、スウェーデンの金融系スタートアップDoconomyは現在自分たちがどれくらいの二酸化炭素を排出していて、どのようにしたら減らすことができるかを自動で計算するツール「The 2030 Calculator(2030年計算機)」を開発し一般向けに公開しました。
資金面で二酸化炭素排出量を測ることが困難な中小企業でも簡単に利用できるように工夫された「The 2030 Calculator」は、直接的な利益につながらずとも地球環境の改善に大きく貢献することが期待されています。
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