「太陽のうた」や「湯〜園地」――別府市が取り組む施策について企画担当者に話を聞いた

2021年4月24日に行われた、オリンピック・パラリンピック聖火リレーのセレモニーで流れたアンセムソング「太陽のうた」。本楽曲は、市民の9割が観光産業従事者である大分県別府市が、「障がいの有無・性別・世代・国籍に関わらず、別府市に旅行来る全ての人におもてなしを届けたい」という思いから制作したものです。

本動画は、車椅子の女性が「太陽のうた」を歌いながら、別府市のさまざまなスポットをめぐっていく内容となっており、その道中では、多くの人々が車椅子である彼女をサポートしてくれる姿が描かれています。

この車椅子の女性は、実際に別府市に在住している詩人の豆塚エリさん。豆塚さんは元々、愛媛県に住んでいましたが、重度障がいを負った際に別府市荘園にある国立障がい者センターに入所。そして、そこで感じた別府の人たちのやさしさや思いやりの数々が心の支えとなったことをきっかけに、別府市民となることを決意。今回の「太陽のうた」を別府市とともに作ったとのことです。

「太陽のうた」というタイトルには、「別府の人たちは、よそ者だったわたしをあたたかく迎え入れて癒やしてくれました。誰にでも分け隔てなく注がれる温かい愛情はまさに太陽のようなもの」と当時の思いが込められており、動画のなかでも別府の人たちのやさしさや思いやりが垣間見ることができます。

別府市はこれまでにも、「湯〜園地」や「NO SIDE」、「別府温泉おもてなし再開」といった、世界一の温泉湧出量を誇る別府温泉郷ならではで一風変わった企画を生み出したことで話題です。

「湯〜園地」

2017年7月29日〜31日までの3日間限定で開催された、温泉と遊園地を融合させたアミューズメント施設。本施設は、別府市がYouTube上に投稿した動画の再生回数が100万回を達成した場合、実際に別府市内で計画を実行するという「再生数連動型公約ムービー」によって実現されたものです。実際に、「温泉メリーゴーランド」や「特製ブレンド温泉」といったアトラクションが実現されました。

「温泉メリーゴーランド」

アトラクションにもお湯を入れているので、温泉につかりながら楽しむことが出来ました。

「特製ブレンド温泉」

プールエリアに湯〜園地特製ブレンド湯を入れ、大浴場にしました。

「NO SIDE」


2019年9月20日〜11月2日の期間に開催された「ラグビーワールドカップ2019日本大会」で別府市は、公認キャンプ地として、ニュージーランド、オーストラリア、ウェールズ代表チームを迎え入れました。その際に来訪いただく多くのラグビーファンの方向けに企画されたのがラグビーと温泉を融合させた「NO SIDE」プロジェクト。この別府市ならではなおもてなしの一環として、総勢200人以上の市民が参加した“ウォー・クライ”ムービー「NO SIDE – BEPPU CITY」を全世界にむけて公開しました。

「別府温泉 おもてなし再開」

2020年9月、「別府地獄めぐり」や「別府ラクテンチ」など別府市の観光施設のスタッフが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響のため「来てくれとは言えないけどお客様を待っています」という複雑な思いを訴えた企画。別府市民とその観光施設スタッフが出演する全16種の動画を公開しました。

動画では、それぞれの観光施設が感染対策をしっかりと行っていることをアピールし、3種類の蜜がかかっている「3蜜だんご」や、12個入りの箱に6個だけ饅頭が入っている「ソーシャルディスタンス饅頭」などのお土産の宣伝を行ったりしています。

また、温泉企画以外にも、飲食店応援プロジェクト「#別府エール飯」や、宿泊業への需要喚起策「湯ごもりエール泊」などの企画も行っています。

「#別府エール飯」


2020年3月にスタートした、別府市内の飲食店を応援するプロジェクト。お客さんがテイクアウトした料理の写真を「#別府エール飯」をつけて、TwitterやInstagramなどのSNSに投稿し、同様にお店側も作ったテイクアウト商品の写真を「#別府エール飯」をつけてSNSに投稿するというもの。

「湯ごもりエール泊」

2020年6月にスタートした、大分県民対象のプロジェクト。収容可能人数の6割の受け入れを厳守する宿泊施設を対象に1泊朝食付きプランを用意してもらい、宿泊客1人につき2,000円を別府市が助成するというものです。

今回は、これらの、別府市で行われてきたさまざまな企画について担当者に話を伺いました。

アンセムソング「太陽のうた」を制作することになった企画の経緯を教えていただけますか?

元々は東京オリンピック・パラリンピック開催に伴ったPR動画を作る予定でしたが、コロナ禍で東京オリンピック・パラリンピックが延期となってしまいました。しかし、このような状況だからこそ、動画を作るきっかけでもあった多様性溢れる市民性を市内外へ発信するために、「歌」にメッセージを込めた映像を制作することに至りました。

世界一“あたたかい”おもてなしを掲げて本楽曲を制作したとのことですが、具体的にはどのようなおもてなしなのでしょうか。

国際観光都市として発展を遂げた別府の根底にある寛容さが、バリアのない「訪れても、住んでもあたたかいまちべっぷ」を育んでおり、市民の多くが、誰にでも別け隔てなくふれあい、敬う気持ちを日頃より大切にしております。そんな市民が一体となって行うのが我々の考えるおもてなしです。

本楽曲は4月24日に行われた東京オリンピック・パラリンピック聖火リレーのセレモニーなどでも活用されましたが、反響はいかがでしたか?

飛沫感染対策として声を出して歌うことができませんでしたが、地元小学生を中心に結成された聖火お出迎えチームによって生み出された創作ダンスとともに「太陽のうた」を披露し、ご観客のみなさまに大変ご好評頂きました。

別府市ではこれまでに「湯~園地」や「NO SIDE」などの企画を行ってきましたが、それらに対する反響を教えていただけますか? また、その中で最も反響のよかった企画を教えてください。

観光客を迎え入れるにはまずわたし達が率先して発信しなければいけません。先般の数々のPR動画は「攻めの観光施策」として大きな効果がありました。その中でもとくに「湯〜園地」は、動画のみならず市民あげての一大イベントとなったため、全国から大きな反響をいただきました。

これらの企画を行う前と後で、別府市に何か変化はありましたか?

PR動画の配信により、市民があらためて別府の魅力やポテンシャルに気づくことができ、大きな自信を獲得することができました。これにより耐え難いシビックプライドを醸成することができたと考えております。

今後も別府市を盛り上げるため、どのようなおもてなしを行っていきたいとお考えでしょうか?

これまでの動画プロモーションや観光事業の経験を活かし、アフターコロナに向けて多くの方にお越しいただく準備を市民のみなさまと進めております。また、これまでの観光地としての別府のみならず、「訪れても、住んでもあたたかいべっぷ」を目指し、さらなるまちづくりを推進して参ります。

「太陽のうた」

なつかしい湯の香りに誘われて
ただいま 私を癒す心の故郷
ようこそ おかえりあなたの街へ
あなたの帰りを 待ちわびた日々よ
それぞれの笑顔がそれぞれをささえ
We Are You 誰かへ想いはつながる
やさしい 湯の香りに包まれて
ありがとう 心から 愛しの湯のまち
ありがとう 心から 愛しの湯のまち

すべてを照らす 太陽のうた
ほらね 誰かが あなたを待ってる
さよなら いつかまた会う日まで
ありがとう 心から 愛しの旅人
ありがとう 心から 愛しの旅人
湯-湯-湯 湯-湯- and you
湯-湯- and you

作詞:別府市・清川進也   作曲:清川進也
なつかしい湯の香りに誘われて
ただいま 私を癒す心の故郷
ようこそ おかえりあなたの街へ
あなたの帰りを 待ちわびた日々よ
それぞれの笑顔がそれぞれをささえ
We Are You 誰かへ想いはつながる
やさしい 湯の香りに包まれて
ありがとう 心から 愛しの湯のまち
ありがとう 心から 愛しの湯のまち

すべてを照らす 太陽のうた
ほらね 誰かが あなたを待ってる
さよなら いつかまた会う日まで
ありがとう 心から 愛しの旅人
ありがとう 心から 愛しの旅人
湯-湯-湯 湯-湯- and you
湯-湯- and you

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