家事は「手伝う」ものではない。日常にの不平等に着目した伊IKEAの広告
家庭内で、夫が妻にかける「Can I help?(=何か手伝う?)」という質問。一見、妻の負担を減らすために優しさと気遣いから出る言葉ですが、「家事は妻の仕事」という前提に基づいたもの。
この、日常のなかに存在する不平等に対し異を唱えたのが、「より快適な毎日を、より多くの方々に」というビジョンを掲げるイタリアのIKEA。同社はこの不平等にスポットを当て、家族にとって居心地の良い家を目指すため、人びとに向けて広く問題提起するためのキャンペーンを打ち出しました。
それぞれ「掃除を手伝わないでください」「アイロンがけを手伝わないでください」と書かれているのは、「手伝う」という時点で当事者意識が足りていないことをIKEAは指摘しています。
さらにIKEAはイタリアの百科事典の出版元であるTreccaniにコンタクトを取り、この「手伝う」という言葉の用法についての見直しを求めたことも発表しています。
私たちは、家を一番大事な場所だと考えています。家は、IKEAの世界観を形にする場所であると同時に、小さな社会でもあります。
最近私たちは、言葉とその使い方、そしてその重要性について考えています。 口にした瞬間に非難されるような差別的な言葉から、ぱっと見には分からないけれども陰湿なものまで、様々な言葉があります。
家族の誰かが家事をしているときによく出る「Can I help? 」というフレーズ。これは多くの場合男性から女性に向けて発せられるもので、一見無害な表現に思えます。 しかし実際には、「家事は女性だけの責任」という誤った価値観の裏返しだということを示しているのです。
私たちは、言葉が思考を形成し、性別による固定観念をなくすための文化的革命に貢献する力があると信じています。だからこそ、イタリア語を守る皆さんに伝えたいのです。「Can I help? 」というフレーズについて共に考え、その暗黙の意味を置き換え、私たちの行動に根本的な変化をもたらしていきましょう。
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